レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020/07/15
- 登録日時
- 2020/08/04 00:30
- 更新日時
- 2021/01/21 16:09
- 管理番号
- 7786062
- 質問
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解決
議論された当時は李氏朝鮮だったのに、「征韓論」が「朝」ではなく「韓」なのはなぜか知りたい。
「征韓論」が「朝」ではなく「韓」となっている理由について記載のある資料はないか。
- 回答
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【 】内は当館請求記号です。
貴館で検索された資料①には、「征韓論」の語源は古事記・日本書紀に記された「神功皇后の三韓征伐」であると考証し、吉田松陰をはじめとする国学者の主張の影響を述べています。
資料②でも、表題の通り、征韓論の起源を「三韓征伐」と捉えており、資料①と同様の考察をしています。
資料③では「から‐くに 【韓国・唐国】」の項に「(韓国)古くわが国で朝鮮を呼んだ名。」とあり、古事記、常陸風土記、万葉集からの引用があります。
資料④、⑤では、江戸期に書かれた豊臣秀吉の朝鮮出兵に関する書物に「征韓」と題するものがあることがわかります。
資料① 矢崎 勉. なぜ「征朝論」ではなくて「征韓論」なの?. 学習の友 / 労働者教育協会 編.. (通号 682) 2010.6. pp.65~71【Z6-70】
資料② 韓 桂玉. 征韓論の原点、「三韓征伐」は虚構の物語--『古事記』『日本書紀』に記された朝鮮蔑視. 理戦.. (通号 78) 2004.Aut. pp.106~121【Z6-3881】
資料③ 日本国語大辞典第二版編集委員会, 小学館国語辞典編集部 編. 日本国語大辞典. 第3巻. 第2版. 小学館, 2001.4【KF3-G103】p.1063
資料④ 戦国史料叢書.戦国史料叢書. 第2期 第6. 人物往来社, 1966【210.47-Se182】pp.136-137 征韓録 解題
資料⑤ 北島万次 著. 豊臣政権の対外認識と朝鮮侵略. 校倉書房, 1990.9【GB318-E17】pp.22-24 川口長孺の「征韓偉略」
その他調査済資料は以下の通りです。
■国史大辞典編集委員会 編. 国史大辞典. 第8巻 (すーたお) . 吉川弘文館, 1987.10【GB8-60】
■日本史大事典. 第4巻. 平凡社, 1993.8【GB8-E67】
■諸橋轍次 著. 大漢和辞典. 巻12. 修訂版 鎌田正,米山寅太郎修訂. 大修館書店, 1986.7【KF4-60】
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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1.『学習の友』 (労働者教育協会/編 682号 2010年6月)
p.65-71「なぜ「征朝論」ではなくて「征韓論」なの?」(矢崎 勉/著)
→雑誌当館未所蔵。国会図書館所蔵。
2.『日本語と韓国語』(大野 敏明/著 文芸春秋 2002年出版)
p.97 「当時は李氏朝鮮だったのですから、「韓」の字の使用は唐突ですが、神話に出てくる神功皇后の「三韓征伐」のイメージから、「征韓論」になったもの」という記述があるとわかる。
3.『いま日本と韓国を考える』(大和出版 1992年出版)
p.33 「戦前、朝鮮(人)という呼称を常用しているのに、征朝論とはいわず、征韓論といっていた。韓とは韓国のことであるが―」
- NDC
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 人文(レファレンス)
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000285379