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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

[転記用URL] https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000259660
提供館
(Library)
国立国会図書館(National Diet Library) (1110001)管理番号
(Control number)
5192327
事例作成日
(Creation date)
2019/07/20登録日時
(Registration date)
2019年08月03日 00時30分更新日時
(Last update)
2019年08月22日 13時32分
質問
(Question)
著作権保護期間中の出版物に掲載された家紋について、二次的著作物性があるか調べています。
貴館所蔵資料に、参考になる資料があるかご教示ください。
回答
(Answer)
ご依頼の件について回答します。以下、【 】内は当館請求記号、[ ]内URLは当館デジタルコレクション(国立国会図書館/図書館送信参加館内公開)です。データベースおよびウェブサイト上の情報への最終アクセス日は、2019年7月19日です。

ご依頼中にある「二次的著作物」とは、著作権法(昭和45年法律第48号)(以下「同法」という)第2条第1項第11号にいう「著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物」すなわち「原著作物に依拠しつつ、二次的著作物作成者の創作性(個性)が付加されたものでなければならない」(参考1, p.226.)と捉えて調査しました。
その場合、「家紋」について「二次的著作物性」があるというとき、当該「家紋」が「著作物」である、すなわち当該「家紋」が同法で保護の対象とされる「著作物性」をもつことが前提となります。
したがって、本件の調査は、「家紋」の「二次的著作物性」ならびにその前提としての「著作物性」および「創作性」を念頭に進めました。
貴館調査済み資料の傾向も踏まえ、まず、著作権法に関する解説書等において「家紋」に関する記述を探しましたが、見当たりませんでした。次に、「家紋」および「著作権」というキーワードを用いて、参考とし得る裁判例を探しましたが、該当する裁判例は見当たりませんでした。

なお、日本の家紋の研究は、日本紋章学の研究として行われています[参考2, p.3.]。「家紋」または「紋章」に関する資料において、「家紋」の「著作物性」等に言及するものを探したところ、明示的に言及するものは見当たりませんでしたが、「家紋」の学術的な定義や「家紋」に関する制度、「家紋」の歴史的経緯や今日的な特質等に言及する資料は見つかりました[参考2-4]。

また、「紋章」および「著作権」というキーワードを用いて裁判例を探したところ、旧著作権法(明治32年法律第39号)適用事例であり、かつ、出版物に掲載されたものではなく、既存の著作物である大判にあしらわれた「(紋章の)桐の模様」に関するものではありますが、「創作性」が問われた裁判例が1件見つかりました[参考5]。この裁判例は、「二次的著作物」における「創作性」の存否が争点とされた判例研究の論文でも言及されています[参考6, pp.349-350.(脚注7)]
付言しますと、参考6は、貴館調査済み6の判例を含む三件の判例を元に、絵画の模写作品に二次的著作物性が認められるかどうかの判断基準について検討した論文です。家紋について触れられたものではありませんが、特に美術などの芸術分野における著作物の二次的著作物としての創作性の有無がどのように判断されてきたかを把握することができます。

さらに、「家紋」の商標登録出願上の取扱いについてではありますが、特許庁が定める現行の商標審査の運用方針において、「(前略)既存の家紋の改変や新たな家紋の創作について法的な制約等がない(後略)」との現状認識が示されていました[参考7, p.2.]。

参考までに、これらの7点をご紹介します。

[参考]
1. 半田正夫・松田政行 編『著作権法コンメンタール 1 第2版』勁草書房 2015【AZ-615-L69】
※「第1章 総則, 第1節 通則, 2条 定義, 一 著作物」(pp.16-51.)「同左, 二 二次的著作物」(pp.221-235.)「第2章 著作者の権利, 第1節 著作物, 10条 著作物の例示~11条 二次的著作物」(pp.533-633.)等が含まれます。
2. 沼田頼輔『日本紋章学』人物往来社 1968【288.6-N993n-z】
[ http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3027495 ]
※「一、定義」(pp.3-6.)「 一二、家紋に関する制度」(pp.167-172.)等が含まれます。
3. 加藤秀幸「もんしょう 紋章」『国史大辞典 第13巻 (まーも)』吉川弘文館 1992, pp.893-902.【GB8-60】
4. 森本勇矢 著, 日本家紋研究会 監修『日本の家紋大事典』日本実業出版社 2013【GB43-L24】
※冒頭「はじめに」の2ページ目に、「日本の家紋の最も優れた点は(中略)その意匠・デザイン性にある。」との記述があります。
5. 昭和45年12月21日 大阪地方裁判所 決定 昭和45年(ヨ)3425号(裁判所ウェブサイト: http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=14565
※D1-Law.com「判例体系」およびTKCローライブラリー「LEX/DBインターネット:判例総合検索」にも収録されています。
6. 村井麻衣子「判例研究 模写における創作性の判断基準--豆腐屋事件[知財高判平成18.11.29]」『知的財産法政策学研究 = Intellectual property law and policy journal』(15) 2007.6, pp.341-370.【Z71-L625】
※北海道大学学術成果コレクション( http://hdl.handle.net/2115/43519 )にも収録されています。
7. 特許庁「42.107.06:家紋からなる商標登録出願の取扱い」『商標審査便覧』
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/trademark/binran/document/index/42_107_06.pdf

[調査済み資料]
・井上一平「(第二章第一五節)家紋と商標」『日本商標の研究』実業之日本社 1957 2版, pp.54-56.【507.26-I429n】
[ http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2426349/38 ]
・中野正男「我が国家紋の擬態性について」『デザイン理論 = Journal of the Japan Society of Design』(6) 1967.11, pp.78-88.【Z11-1416】
[ http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/4423294/41 ]
・田代町 編「第四章 名字と関係深い家紋の役割」『田代町史資料. 第21輯』田代町 1990, pp.84-97.【GC28-138】
[ http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9540772/46 ]
・「第6章 その他のマーク (1)家紋と店印」『商品表示マーク事典』サンケイマーケティング 1976, pp.488-492.【DH451-18】
・沼田頼輔『綱要日本紋章学』新人物往来社 1977【GB43-84】
・沼田頼輔『紋章の知識100』新人物往来社 1978【GB43-102】
・文化庁内著作権法令研究会 監修『著作権事典 新版』出版ニュース社 1999【A112-G156】
(「家紋」「紋章」いずれの項目もなし。「意匠」「応用美術」「サービスマーク」「商標」「シンボルマーク」「二次的著作物」等の各項目に「家紋」「紋章」への言及なし。)
・橋本良郎『特許関係条約 第3版』発明協会 2002, pp.79-82.【A411-H5】
・加戸守行『著作権法逐条講義 6訂新版』著作権情報センター 2013【AZ-615-L22】
・作花文雄『詳解著作権法 第5版』ぎょうせい 2018【AZ-615-L113】

[調査済み情報]
・特許庁「商標審査便覧の改訂のお知らせ」平成30年3月
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/trademark/binran-kaitei/h30-03_oshirase_syouhyoubin_kaitei.html
(「新設(平成29年8月)」の項に「42.107.06:家紋からなる商標登録出願の取扱い」が含まれる。)

[調査済みデータベース]
・国立国会図書館オンライン( https://ndlonline.ndl.go.jp/
・国立国会図書館デジタルコレクション( http://dl.ndl.go.jp/ )
・リサーチ・ナビ( https://rnavi.ndl.go.jp/rnavi/
・新潟県立図書館「本・雑誌・CDの検索」( https://www.pref-lib.niigata.niigata.jp/?page_id=522
・裁判所ウェブサイト「裁判例情報:知的財産裁判例」( http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/search7
・D1-Law.com「判例体系」(当館契約データベース)
・TKCローライブラリー「LEX/DBインターネット:判例総合検索」(同上)
回答プロセス
(Answering process)
事前調査事項
(Preliminary research)
1『そこが知りたい著作権Q&A100 CRIC著作権相談室から』(早稲田祐美子/著 著作権情報センタ- 2011年 ISBN978-4-88526-069-8)
2『ビジネス著作権法 侵害論編』新版(荒竹純一/著 中央経済社 2014年 ISBN978-4-502-07580-3)
3『出版・マンガビジネスの著作権』第2版(桑野雄一郎ほか/著 福井健策/編 著作権情報センター 2018年 ISBN978-4-88526-086-5)
4『Q&A著作権法 実務経験に基づく重要事例108』(鈴木基宏/著 青林書院 2011年 ISBN978-4-417-01527-7)
5 京都地裁/平成30年1月31日判決
6 東京地裁/平成11年9月28日判決
NDC 
参考資料
(Reference materials)
キーワード
(Keywords)
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
議官(レファレンス)
調査種別
(Type of search)
内容種別
(Type of subject)
質問者区分
(Category of questioner)
登録番号
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