レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018/06/11
- 登録日時
- 2018/07/03 00:30
- 更新日時
- 2018/10/18 13:39
- 管理番号
- 1321325
- 質問
-
未解決
タイのククリット・プラモード氏による「サイヤム・ラット」紙の記事「十二月八日」の出典が知りたい。
名越二荒之助編『大東亜戦争その後 : 世界の遺産』(展転社、2000)のp.126において、タイのククリット・プラモード氏が、オピニオン紙「サイヤム・ラット」に発表した記事が引用されている。「十二月八日」と題された署名記事。しかし出典が不明瞭で、「サイヤム・ラット」の何年何月何日の記事であるか不明である。また現地の新聞であればタイ語で書かれているであろうと推測されますが、日本文として引用されている。誰が訳したのかも不明。このククリット・プラモートの新聞記事の出典を知りたい。
p.199に参考文献一覧があり、おそらくソムバット・プーカーンの『ククリット』(タイ国内出版)という書籍だと推測されるが、正確には不明。
- 回答
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【 】内は当館請求記号です。インターネットの最終アクセス日は2018年6月1日です。
お尋ねの、タイのオピニオン紙『サイヤム・ラット』(=サイアム・ラット)に「十二月八日」というタイトルで掲載されたとされるククリット・プラモート氏の署名記事につき、調査した結果を回答いたします。
<『サイヤム・ラット』の記事が検索できる資料について>
当館では、『サイヤム・ラット』(タイ語表記สยามรัฐ、ローマ字翻字Sayām rat)【Y745-SN-6】の記事検索が可能な資料は所蔵しておりません。また、『サイヤム・ラット』紙のウェブサイト(https://siamrath.co.th/)を確認しましたが、記事検索はできないようです。
オーストラリア国立図書館のOPAC(https://catalogue.nla.gov.au/)を「sayam rat」で検索したところ、『サイヤム・ラット』に掲載されたククリット・プラモート氏のコラムをまとめた、資料①が存在することがわかりました。収録期間は不明です。
https://catalogue.nla.gov.au/Record/1096397?lookfor=Say%C4%81mrat%20n%C4%81%205&offset=1&max=1
Cinii Booksで検索したところ、国内では、京都大学東南アジア地域研究研究所図書館が資料①を所蔵しているようです。
https://m.kulib.kyoto-u.ac.jp/webopac/BB03249117
<『サイヤム・ラット』の所蔵について>
当館では、『サイヤム・ラット』は、2004年以降のもののみ所蔵しております。
京都大学東南アジア地域研究研究所によって運営されている「東南アジア逐次刊行物総合目録データベース」(http://www.cseas.kyoto-u.ac.jp/databases/sealibdb/)によると、国内には1950年代の『サイヤム・ラット』を所蔵している機関はありません。
WorldCatで検索したところ、米国議会図書館等で1955年ごろのマイクロフィルムを所蔵しているようです。
http://www.worldcat.org/search?q=ti%3A+sayam+rat&fq=ln%3Atha&qt=advanced&dblist=638#x0%253Anews-format
https://catalog.loc.gov/vwebv/search?searchCode=LCCN&searchArg=sn%2099047498&searchType=1&permalink=y
<関連情報>
資料②に、昭和30年の中村明人氏のタイ訪問に際して、ククリット・プラモート氏が新聞に掲載したコラムの、一部英訳が掲載されていました。ただし、内容は中村氏及び彼の指揮した部隊への賛辞であり、『大東亜戦争その後 : 世界の遺産』【GB531-G296】に掲載されている「十二月八日」の署名記事とは異なるようです。
また、資料③に、「…一九五〇年、タイの有力高級紙「サイアム・ラット」を創刊…同紙の第五面に、ククリット主筆が二十年間にわたって書き続けたコラム「時事問題」は…」とあり、ククリット氏は『サイヤム・ラット』紙の第5面に、継続的にコラムを書いていたようです。資料①のタイトルは、このことに由来していると思われます。
『大東亜戦争その後 : 世界の遺産』【GB531-G296】p.199に参考文献として掲載されているソムバット・プーカーン『ククリット』(平10=1998)は、当館では所蔵していないほか、国内で所蔵している機関はないようです。
WorldCatによると、国外では、米国議会図書館、オーストラリア国立図書館等が所蔵しています。(資料④)
http://www.worldcat.org/title/khkrit/oclc/41909392
また、タイ国立図書館にも所蔵があり、原綴りはこちらで確認できます。
http://www.library.nlt.go.th:8991/F/97XHYLFGSGTKPPLVIHCXBRJE3UUKGLE6741FK93EG7RK6UPA6R-04080?func=direct&=&=&local_base=NLT01&doc_number=000167126&pds_handle=GUEST
同じく『大東亜戦争その後 : 世界の遺産』p.199に参考文献として掲載されている、名越二荒之助『大東亜戦争を見直そう』(平3=1991, 原書房)についても、当館では所蔵していないほか、国内で所蔵している機関はないようです。ただし、1968年刊行の資料⑤については、Cinii Books及び国立国会図書館サーチで検索したところ、八戸学院図書館、東北大学附属図書館、京都府立図書館等に所蔵があります。なお、資料⑤の復刊として刊行された資料⑥には、掲載紙及び掲載日に関する情報並びに参考文献としての『サイヤム・ラット』の掲載はありませんでした。
<資料一覧>
資料① “คึกฤทธิ์ ปราโมช “สยามรัฐหน้า ๕””(訳:ククリット・プラモート『サイヤム・ラットの5ページ』)(ก้าวหน้า, 2515 [1972]-) (京都大学東南アジア地域研究研究所図書館請求記号:IV Th||0||028.1~028.13)
資料② edited by Chaiwat Khamchoo, E. Bruce Reynolds “Thai-Japanese relations in historical perspective” (Innomedia Co., Ltd. Press, 1988) pp.193-194(注p.202)【A99-ZT2-A4】
資料③ 「タイ新首相になったククリット・プラモート氏」『毎日新聞』(東京版夕刊)1975.3.20 p.2【Z99-6】【YB-6】
資料④ Sombat Phūkān.; Kukrit Pramoj, M.R. “Khưkrit”(Samnakphim Bō̜risat Phī. Wāthin Phaplikhēchan, 2541 [1998])
資料⑤名越二荒之助『大東亜戦争を見直そう』(原書房, 1968.8)(京都府立図書館請求記号:217/N/)pp.61-63, pp.206-208
資料⑥名越二荒之助『大東亜戦争を見直そう : アジア解放の理想と花開く武士道物語』(明成社, 2007.8)【GB531-H352】pp.14-15(前書き言及部分), pp89-91(本文該当箇所), p.288(参考文献)
<主な調査済み資料>
・吉川利治 著『同盟国タイと駐屯日本軍 : 「大東亜戦争」期の知られざる国際関係』(雄山閣, 2010.11)【GE561-J39】
・加藤和英 著『タイ現代政治史 : 国王を元首とする民主主義』(弘文堂, 1995.10)【GE561-G9】
・赤木攻 著『タイ政治ガイドブック』(国際語学社 (発売), 1994.1)【GE561-E54】
・渋沢雅英, 斎藤志郎 編『東南アジアの日本批判 : <シンポジウム>アジア共同体を考える』(サイマル出版会, 1974)【A99-ZT2-2】
・高橋 勝幸「タイにおける第二次大戦の記憶--自由タイ、『メナムの残照』、『王朝四代記』を中心に」『地球宇宙平和研究所所報』2号, 2007, pp.126-142.
・Michael Kelly Connors “Democracy and national identity in Thailand” (RoutledgeCurzon, 2003)【(GE561-P10)】
・John B. Haseman “The Thai resistance movement during World War II” (Silkworm Books, 2002)【GE561-B2】
・”คึกฤทธิ์ : ที่สุดของความเป็นไทย”(訳:『ククリット:タイの大部分』)(สำนักพิมพ์ดอกหญ้า 2000, 2554 [2011])【Y745-TS-331】
・สายชล สัตยานุรักษ์ “คึกฤทธิ์กับประดิษฐกรรม "ความเป็นไทย"”(訳:『ククリットと「タイの伝統」の創造』) (มติชน, 2550[2007])【Y745-S346】
・ศึกฤทธิ์ ปราโมช, สมเกียรติ อ่อนวิมล บทนำ “ฉากญี่ปุ่น”( 訳:ククリット・プラモート『日本の風景』) (นานมีบุ๊คส์พับลิเคชั่นส์, 2548 [2005])【Y745-K283】
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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Googleで検索するとたくさんヒットするが、どれも典拠は無い。
例:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1186520766
NDLデジタルコレクションを「ククリット・プラモート」で検索したが、該当する記事はなかった。
ほとけの司令官:駐タイ回想録 / 中村明人(日本週報社、1958)に記載はなかった。
ククリット・プラモート「チャーク・ジップン(日本印象記)」--タイ"才人宰相"の日本観(掲載誌 朝日アジアレビュー 6(3) 1975.09 p.p182~184)に12月8日のことは記載がなく、タイ語から日本語に翻訳された図書は検索できなかった。
M.R. Kukrit Pramoj, his wit and wisdom : writings, speeches, and interviews 英語の図書( https://ci.nii.ac.jp/ncid/BA18630523 )があるが、本学には所蔵が無く、記載を確認できなかった。
- NDC
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- アジア(レファレンス)
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000237913