レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2017年06月09日
- 登録日時
- 2017/07/06 11:55
- 更新日時
- 2018/06/21 17:58
- 管理番号
- 埼久-2017-011
- 質問
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解決
キャサリン・ストー作のポリーとおおかみの物語はふたつの出版社から出ている。この作品の版権の問題について知りたい。
- 回答
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下記の情報と資料を提供した。
1 ポリーとオオカミの物語の日本語訳は、次の2社から出版されている。いずれも原作は「Clever Polly and the Stupid Wolf」(Catherine Storr 1955)である。
(1)『かしこいポリーとまぬけなおおかみ』(キャサリン・ストー作 佐藤涼子訳 金の星社 1979)
(2)『ポリーとはらぺこオオカミ』(キャサリン・ストー作 掛川恭子訳 岩波書店 1979)
2 版権について
《著作権なるほど質問箱》(http://www.bunka.go.jp/chosakuken/naruhodo/outline/4.4.html 文化庁)
「4 著作者の権利」のページに「(4)保護期間 ④条約により保護すべき著作物の保護期間について」の「イ 外国人の著作物の保護期間の特例(c)翻訳権の保護期間」の(イ) 翻訳権10年留保」に、「我が国はかつて、著作物が最初に発行された年から10年以内に翻訳物が発行されなかった場合翻訳権が消滅し、自由に翻訳することができる制度(翻訳権不行使による10年消滅制度)を適用することを、ベルヌ条約上、宣言していました。しかし、現行法制度制定当時に、同宣言を撤回したことから、現行著作権法施行前に発行された著作物についてのみ、翻訳権不行使による10年消滅制度が適用されます(附則第8条)。」とあり。
『翻訳出版の実務 第4版』(宮田昇著 日本エディタースクール出版部 2008)
p196 「日本における海外著作物翻訳の変遷」の章〈十年留保〉の項に、「一九七〇年十二月三十一日までに発行された海外著作物の翻訳権は、その著作が発行された翌年一月一日より計算して十年以内日本で適法に出版されたことがなければ、その権利は消滅して自由になる」とあり。
- 回答プロセス
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1 ポリーとオオカミの物語が所収されている資料と原作を確認する
『かしこいポリーとまぬけなおおかみ』のあとがきに原作「Clever Polly and the Stupid Wolf」の発行は1955年とあり。
2 参考図書を調べる
『児童文学事典』(日本児童文学学会編 東京書籍 1988)
p414「ストー キャサリン Catherine Storr」に「イギリスの児童文学作家(中略)『りこうなポリーとまぬけなおおかみ』(一九五二)に代表されるシリーズがある」とあり。
3 インターネットで調べる
《著作権なるほど質問箱》(http://www.bunka.go.jp/chosakuken/naruhodo/outline/4.4.html 文化庁)
4 図書を調べる
『翻訳出版の実務 第4版』
『翻訳権の戦後史』(宮田昇著 みすず書房 1999)
p2 「はじめに」の章内に、翻訳権の十年留保について『翻訳出版の実務』と同様の記述あり。
ウェブサイト・データベースの最終アクセス日は2017年5月20日。
- 事前調査事項
- NDC
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- 小説.物語 (933 9版)
- 参考資料
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- 『翻訳出版の実務 第4版』(宮田昇著 日本エディタースクール出版部 2008) , ISBN 978-4-88888-384-9
- キーワード
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- Storr Catherine(ストー キャサリン)
- イギリス-児童文学
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 児童
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000218388