レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2012年03月26日
- 登録日時
- 2012/03/28 16:34
- 更新日時
- 2012/03/30 09:17
- 管理番号
- 2009-0079
- 質問
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解決
「納豆汁」について記載されている江戸時代の文献はありますか。
- 回答
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当館では、江戸時代の風俗について説明がなされている『守貞謾稿』(喜田川守貞著)を翻刻した、『近世風俗志(守貞謾稿) 岩波文庫 喜田川守貞著』(資料①)の所蔵があります。この資料①のP296に、「納豆売り 大豆を煮て室に一夜してこれを売る。昔は冬のみ、近年夏もこれを売り巡る。汁に煮あるひは醤油をかけてこれを食す」という記載がありました。
また、江戸時代に食された「納豆汁」についての記載がある資料として、次の資料がありました。
資料②は、江戸時代の料理や料理用語について、当時の料理書にもとづき、その料理をつくることができるように解説したもので、そのP86には、「なっとうじる【納豆汁】 納豆をたたいたりすったりして加えたみそ汁。菜、豆腐、小つみ入れなど取り合せ、吸口にきざみ葱、からしなどを用いる」との記載があり、出典として、『料理物語』(1643)、『黒白精味集』(1746)、『料理早指南』(1804)などがあげられています。
資料③は、今日の食卓を構成するたべものについて、日本人の食文化に関わりの深い項目を選んで、その起源発生をまとめたものです。この資料③のP335には、「江戸期には、納豆汁が盛んであった。『松屋筆記』(1815~1846頃)によると、納豆をすり鉢で擂り、出汁でのばしして味噲汁に加え、豆腐と青菜を細かに切り、水辛子・柚子を添えるとある」旨の記述があります。
資料④は、川上行蔵博士の料理五種(『料理物語』『茶湯献立指南』『ちから草』『料理歌仙の組糸』『料理秘伝記』)による註釈を五十音順に排列したものです。この資料④のP222に、「【納豆汁】(料理物語〈集成1一七〉) 天正元年(1573)の『りうりの書』にある納豆汁が最も古い」、「【納豆汁】(秘伝記2オ) 『松屋(久好)茶会記』の天正16年(1588)11月5日朝にあるのから始まり、江戸時代に入り『献上料理集』(1786)あたりで一応料理書では見られなくなる」と記載されています。
資料⑤は、江戸時代に刊行された料理書から、家庭料理に適した料理を選んだもので、料理方法は江戸時代の料理書に添って解説されています。この資料⑤のP261に、「納豆汁 味噲を漉してだしを加える。青菜類の塩漬け(つまり、保存食)、豆腐を細かく切るのがいい。小鳥をたたき、入れるのもいい。青菜類の塩漬けはよく洗い、出す時に入れる。納豆はだしでよく摺りのべるとよい。吸口に辛子、柚子、にんにく」とあり、出典は『料理物語』(1643)と記載されています。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 衣食住の習俗 (383 9版)
- 参考資料
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- 資料①近世風俗志(一)(守貞謾稿) 岩波文庫/喜田川守貞/1996(382.1/キタ/1)
- 資料②図説江戸料理事典/松下幸子/1996(383.8/マツ)
- 資料③たべもの起源事典/岡田哲/2003(383.81/オカ)
- 資料④食生活語彙五種便覧/川上行蔵/2006(383.81/カワ)
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資料⑤再現江戸惣菜事典/川口はるみ編/1995(596.21/カワ)
※( )は当館の請求記号です
- キーワード
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- 納豆汁
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 所蔵調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000104435