レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022/10/12
- 登録日時
- 2022/11/03 00:30
- 更新日時
- 2022/11/17 15:12
- 管理番号
- 13065360
- 質問
-
未解決
・『御腰物元帳』(おんこしものもとちょう)という、徳川将軍家に献上された品物を記録した資料がある。
この資料の原本、もしくは翻刻、複製などした資料を国立国会図書館で所蔵しているか。
・所蔵している場合、元禄七年八月二十八日が記録されているか。
・記録されている場合、「来国俊」(らいくにとし)御刀を太田原備前守が遺物献上したことが記録されているか。
御刀の箱書には「二百八十二」との番号が付与されており、おそらく記録された際に付与された物と考えられる。
- 回答
-
ご照会の御腰物元帳(原本・翻刻・複製資料)について、当館での所蔵は確認できませんでした。以下に、参考情報をお知らせします。
【 】内は国立国会図書館請求記号です。
ご照会の元徳川将軍家の御腰物元帳について、資料①に記載があります。
①佐野美術館, 徳川美術館, 富山県水墨美術館, 根津美術館 編『名物刀剣 : 宝物の日本刀』佐野美術館, 2011.8【KB16-J931】
本書のp.163(no.76)に次の記載があります。
“御腰物元帳(明治二年改) 七冊 三〇・三cm ×二一・五cm 江戸時代(十八~十九世紀) 佐野美術館”
当館では、上記『御腰物元帳』を所蔵していません。上記①の記載によれば佐野美術館で所蔵しているようですが、同館以外の所蔵機関は不明です。翻刻資料に関する情報も見当たりませんでした。元禄7年8月28日に徳川将軍家に献上された「国俊」に関する記述の有無も不明です。
また、以下の資料②は、江戸時代に全国に存在した「名」のある刀剣を記した『享保名物帳』に関する論文です。同『名物帳』には徳川将軍家が所蔵した刀剣も記載されており、各種「来国俊」の記載もあります。ご照会の大田原純清が献上した「国俊」に該当すると思われる記述は見当たりませんが、ご参考までに紹介します。
②酒井 元樹「いわゆる『享保名物帳』に関する一考察 : 島根・和鋼博物館保管『名物扣』影印・翻刻」(『東京国立博物館紀要』(56):2020年度 pp.139,141-381,383【Z21-218】)
本論文では『享保名物帳』、及び各種伝本を解説し、そのうち和鋼博物館保管(島根県)の『名物扣』の影印、翻刻(pp.195-323)を収載します。また同『名物帳』に記載のある刀剣を記載の順番にまとめた「表1」(pp.324-343)、「表2」(pp.344-381)を収録しています。
「来国俊」という刀剣名は「表1」のno.147-149(p.333)にみえますが、いずれも所有者は「徳川将軍家(御物)」ではありません。「表2」のno.127-130、148-155(pp.359-363)にも「来国俊」がみえ、no.128の再鑑定依頼の記載(p.361)に「御城」「徳川綱吉」とありますが、鑑定依頼時期は「元禄6年」とあり、ご照会の「来国俊」が献上された元禄7年より前です。表1、表2により、刀剣毎に、『享保名物帳』の掲載箇所(何丁目の裏か表か)がわかりますので、翻刻資料の記述を確認することは可能です。詳細は資料②をご覧ください。
この他、資料③を確認しましたが、元禄7年8月19日の箇所に大田原備前守典清の家督を和泉守純清が継いだ記載はあるものの、同28日に献上品の記載はみあたりませんでした。
③黒板勝美 編『国史大系 第43巻 徳川実紀 第6篇 新訂増補』国史大系刊行会, 昭和6【210.08-Ko548-K】国立国会図書館デジタルコレクション(国立国会図書館内/図書館・個人送信)
元禄七年八月十九日、同廿八日(p.208)
将軍家に献上された刀剣類について述べた次の論文を通覧する限りでは、徳川将軍家の『御腰物元帳』、或いは徳川将軍家への献上品をまとめた文献(元禄時代を含み、現存するもの)に関する情報は得られませんでした。
・深井雅海 著『刀剣と格付け : 徳川将軍家と名工たち』吉川弘文館, 2018.6【KB335-L79】
・徳川黎明会徳川美術館 編『徳川美術館所蔵刀剣・刀装具』徳川黎明会徳川美術館, 2018.7【KB16-M72】
・髙橋 聖子「大名家の献上品にみる幕藩関係 : 家督御礼を中心に」(『聖心女子大学大学院論集』36(1)=46:2014.7 pp.31-53【Z12-433】)
本論文では、(大名家の)家督相続時や婚礼時等の御礼献上について記載のある資料として、『徳川実紀』の他に、「礼献式」(『丹鶴城旧蔵幕府史料 : 学習院大学図書館所蔵 第11、12巻』ゆまに書房, 2008.12)を参照していますが、収録年代は享保年間~天保年間のみとのことです。
・野田 ゆりえ「近世における将軍家と大名家間の刀剣贈答」(『聖心女子大学大学院論集』39(1)=52:2017.7 pp.5-21【Z12-433】)※聖心女子大学学術リポジトリで参照可能:http://id.nii.ac.jp/1045/00000764/
本論文では、将軍家と大名家間の刀剣贈答に関する情報源として、『寛政重修諸家譜』を参照しています。
また、将軍家、大名家の刀剣に関する台帳の翻刻等を収録した以下も確認しましたが、該当する記載は見当たりませんでした。
・福永酔剣 著『皇室・将軍家・大名家刀剣目録 復刻版』雄山閣, 2020.11【K3-M150】
・福永酔剣 著『大名家・著名家刀剣目録 復刻版』雄山閣, 2020.11【K3-M151】
ウェブサイトの最終アクセスは、2022年10月12日です。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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『寛政重修諸家譜』第11, 続群書類従完成会, 1970年
七十七の「大田原(丹治氏)」の中の「純清」の項目に次の文章がある。
「(前略)[元禄]七年八月十九日遺跡を継,二十八日父が遺物来國俊の刀を献ず。(以下省略)」
- NDC
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- 金工芸 (756 10版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 人文(レファレンス)
- 調査種別
- 文献紹介 所蔵調査 所蔵機関調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000323348