レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023/06/17
- 登録日時
- 2023/07/20 00:30
- 更新日時
- 2023/07/20 00:30
- 提供館
- 宮城県図書館 (2110032)
- 管理番号
- MYG-REF-230026
- 質問
-
解決
宮城県に肥満、メタボ予備軍が多い理由が知りたい。何か環境による原因があるのか、宮城特有の習慣に問題があるのかなどの理由がわかるような文献があれば教えてほしい。
- 回答
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1 宮城県に肥満、メタボ予備軍が多い理由について、下記資料に記載されています。※【 】内は当館請求記号です。
資料1 『みやぎ県政だより』528号, 宮城県, 2017年【PK(PR)/ミ】
p.9 「(前略)宮城県では大人の肥満やメタボだけではなく、子どもも肥満傾向児が多い状況が見られます。また、塩分摂取量が多く、運動不足の方、飲酒者、喫煙者の割合も高いなど生活習慣の問題が深刻です。(後略)」という記載があり、宮城の健康課題として、肥満が多い、メタボが多い、喫煙者が多い、塩分過剰、歩かない人が多い、飲酒者が多いという図が示されています。
これとほぼ同様の内容が下記資料に記載されています。
資料2 『TWO BIRDS』145号, 宮城県成人病予防協会, 2020年【PK498/T】
pp.1-6 河村司「心と体の深い関係を見つめよう」
資料3 『TWO BIRDS』139号, 宮城県成人病予防協会, 2018年【PK498/T】
pp.1-6 奥田奈賀子「データヘルス時代の生活習慣病予防」
資料4 『公衆衛生情報みやぎ』461号, 宮城県公衆衛生協会, 2016年【PK498/コ】
pp.1-3 宮城県保健福祉部健康推進課「スマートみやぎ健民会議による新しい健康づくり県民運動のスタート!」
資料5 『公衆衛生情報みやぎ』462号, 宮城県公衆衛生協会, 2016年【PK498/コ】
pp.11-18 菊谷昌浩「第52回宮城県公衆衛生学会学術総会シンポジウム 「メタボリックシンドローム第2位からの脱却を目指して-部門横断的な取り組みの必要性-」の報告」
なお、宮城県のHPにも健康課題についての記載がありましたので、参考までにお知らせいたします。
「脱メタボ強化中!!」(宮城県保健福祉部健康推進課)
URL https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/kensui/datu-metabo-miyagi.html(最終アクセス日:2023年6月2日)
資料6 『朝日新聞[宮城面集刷]』(マイクロフィルム)朝日新聞東京本社【PN071/ア】
平成29(2017)年2月14日付朝刊29面「メタボ防止へ まず県職員から/「階段で行こう」標語で呼びかけ」
記事中、「「震災の影響か、車社会か。それとも、食べ物とお酒がおいしいからか」(県健康推進課)。明確な理由は分からない」という記述がありました。
2 環境による原因があるのか、宮城特有の習慣に問題があるのかなどについて記載された文献は下記の通りです。
資料3(前掲)『TWO BIRDS』139号, 宮城県成人病予防協会, 2018年【PK498/T】
p.5 「(前略)世界的に見て、寒冷地ほど味付けが塩辛い傾向があります。これは、食品を冷蔵保存できなかった時代に野菜が採れない冬期のビタミンC補給のために野菜を塩蔵する必要があったからではないかと思われます。実際、年間を通して野菜・果物を摂取しやすい温暖な地域ほど、塩蔵の必要性が小さいため食塩摂取量が少ないという特徴があります。日本国内では今も、東北地方は西日本に比べて食塩摂取量が多くなっています。そして、食塩摂取量が多い地域ほど高血圧も多い傾向があることが知られています。(後略)」
資料5(前掲)『公衆衛生情報みやぎ』462号, 宮城県公衆衛生協会, 2016年【PK498/コ】
p.14 「(前略)文部科学省が平成28年1月22日に公表した速報値では、幼稚園から高校までの男女で、高2・3年生の女子を除いて肥満の割合が全国平均を上回り、むし歯の子も多いという結果でした。運動不足や親の意識の低さが原因とみられています。(後略)」
p.15 「(前略)東北地方全体でも、以前から肥満傾向児の子どもが多く、冬に外で運動できないことが影響していると言われています。(後略)」
(栗原市の30~40代男性をターゲットにした健康指導の実践報告から)
p.17 「(前略)平成24年度健診結果より40代男性の肥満は40.9%で他の年代の約3割を大きく上回っています。平成24年度健診問診結果により、30代男性の29.1%は朝食欠食であり、30~40代男性の約2割は夕食後に間食をとっていました。市では現代も「量を多く食べさせることがおもてなし」の傾向があり、郷土料理の餅文化では種類が多く、一度に数種類を提供し食べる風習があります。また、漬物や味噌を使用した保存食が受け継がれ塩分摂取が多くなっています。さらに30~40代男性の食生活の特徴は、炭水化物の重ね食べ(お弁当とカップ麺等)であり、野菜の摂取が少なく、塩分摂取が多くなっています。飲酒の機会も多く、テレビ等の情報から野菜ジュース、スポーツドリンク、栄養ドリンク等を良いと思い取り続けています。(後略)」
(健康づくりに関する意識として)
p.17 「(前略)栗原市では、全ての年代に対し健康づくり事業を実施していますが、働き盛り世代の30~40代男性の参加者が少なく、アプローチの機会が少ない状況にあります。この年代は、働くことが優先され自分の健康に対する関心が薄く、健康行動に結び付きにくいと考えられました。(後略)」
p.18 「(前略)30~40代男性は健康に対する関心が薄いという予想をしていましたが、実際に関わっていくと無関心ではなく興味はあるが、知る機会がなかったと感じました。教室参加前は「食事は空腹が満たされればよい、組み合わせて食べる等は考えたこともない」の意見がほとんどでした。しかし、栗原市の健康課題や、食事が健康に影響することを学んだことで、自分自身の健康状態を理解し、より健康意識は高まったと思われます。(中略)しかし3食汁物を欲しがる人がおり、食事全体の味付けの適塩を推進するとともに汁物の適量を強調して伝える必要性があると考えられます。(後略)」
資料7 『公衆衛生情報みやぎ』474号, 宮城県公衆衛生協会, 2017年【PK498/コ】
pp.7-9 木村るみ子「食と健康 小児期からの生活習慣病予防対策について」
女川町で実施された生活習慣アンケート結果の抜粋に基づいた下記の記述がありました。
p.8 「ここで、震災前と震災後で特に差が出たところを紹介する。例えば、問9は「平日にゲームをしているか」という設問に対し、震災前は「はい」と答えた割合が32%だったのに対し、28年度は62.1%の児童が「はい」と答えており、これは、震災の影響で女川町は今なお復興のための工事が町全体で行われており、運動をする場所も少なくなってきていること、震災の影響で徒歩通学ができず、ほぼ全員がバス通学となっていることが要因と考えられる。(後略)」
p.9 「(前略)子ども達の食生活を考える際に見えてくるのが女川の食文化である。女川の食文化の特徴は、(1)基本的に大皿料理のため大食い、(2)秋刀魚の時期になると、1回に3本は食べてしまう、(3)朝早い漁等の仕事についている住民は、缶コーヒーや栄養ドリンクを飲んでから仕事に出かける、(4)魚介類や海藻類がたくさん捕れるにも関わらず、自分たちは食べず、おもてなしとして来客に大量に提供することが多い。これらに関しては何年も前からの地域の特性である。食文化を考えると、決して子ども達だけの問題ではなく、女川町民全体の問題として捉え私たち保健師、栄養士は町民全体に働きかけていかなければならない。(後略)」
参考までに、心と生活習慣の関係について記載された内容も御紹介します。
資料2(前掲)『TWO BIRDS』145号, 宮城県成人病予防協会, 2020年【PK498/T】
p.4 「(前略)メタボの診断基準として重要視される「内臓肥満」は、過食や喫煙・飲酒・運動不足などの悪い生活習慣によって起こります。メタボになる人が、こうした生活習慣をなかなか改善できないのは「こころ」が正常に働かないからなのです。(後略)」
p.5 「(前略)脳の機能失調により「こころ」が正常に働かなくなると、快感を求める感情が制御できず、食べ過ぎたりお酒を飲み続けたりします。アルコールや薬物の依存症は、この機能失調をきっかけに始まるのです。悪い生活習慣によってメタボが進むと、今度は脂肪細胞が機能異常を起こして食欲をコントロールできなくなります。タバコやアルコールによる意識レベルの低下などの要因が重なると、ますますコントロールが弱まります。(後略)」
- 回答プロセス
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資料1-7を案内した。
下記資料も確認したが、宮城県特有の習慣などに関する記述は見当たらなかった。
資料8 大櫛陽一著『メタボの罠』角川SSコミュニケーションズ, 2007年【493.12/2007.X】
資料9 和田高士著『専門医がすすめる「特定健診・メタボ」攻略法』アスキー, 2007年【493.12/2007.Y】
資料10 田中秀一著『メタボの常識・非常識』講談社, 2010年【493.12/2010.5】
資料11 堀美智子, 益崎裕章編集『生活習慣病の予防と対策』新日本法規出版, 2009年【493.12/2009.1】
資料12 鎌田実著『ちょい太でだいじょうぶ』集英社, 2006年【498.3/2006.9】
資料13 小澤祥司著『メタボも老化も腸内細菌に訊け!』岩波書店, 2019年【491.7/2019.1】
資料14 飯島裕一編著『健康不安社会を生きる』岩波書店, 2009年【498.04/2009.X】
資料15 大関武彦著『小児のメタボリックシンドローム』少年写真新聞社, 2011年【493.93/2011.7】
資料16 『公衆衛生情報みやぎ』471号, 宮城県公衆衛生協会, 2017年【PK498/コ】
資料17 『公衆衛生情報みやぎ』472号, 宮城県公衆衛生協会, 2017年【PK498/コ】
資料18 『公衆衛生情報みやぎ』473号, 宮城県公衆衛生協会, 2017年【PK498/コ】
資料19 『公衆衛生情報みやぎ』486号, 宮城県公衆衛生協会, 2018年【PK498/コ】
- 事前調査事項
- NDC
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- 衛生学.公衆衛生.予防医学 (498 9版)
- 参考資料
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- . みやぎ県政だより 3.4月号(528号). 宮城県, 2017【PK(PR)/ミ】:
- . TWO BIRDS 145号. 宮城県成人病予防協会, 2020【PK498/T】:
- . TWO BIRDS 139号. 宮城県成人病予防協会, 2018【PK498/T】:
- . 公衆衛生情報みやぎ 461号(2016年9月号). 宮城県公衆衛生協会, 2016【PK498/コ】:
- . 公衆衛生情報みやぎ 462号(2016年10月号). 宮城県公衆衛生協会, 2016【PK498/コ】:
- . 朝日新聞 [宮城面集刷] [マイクロフィルム] . 朝日新聞東京本社, 【PN071/ア】:
- . 公衆衛生情報みやぎ 474号(2017年11月号). 宮城県公衆衛生協会, 2017【PK498/コ】:
- キーワード
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- 健康管理 -- 宮城県
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000336114