レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 登録日時
- 2008/12/20 02:12
- 更新日時
- 2008/12/25 18:11
- 管理番号
- B2008M0560
- 質問
-
解決
ヒノキの葉、松葉、ヒバマタ(海草)、ホンダワラ(海草)の成分を調べています。
調べたい成分は食品成分表に掲載されている程度のもので、具体的には一般成分(水分、たんぱく質、脂質、炭水化物、灰分)、無機質(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅、マンガン)、ビタミン(A、C、D、E等)などです。
- 回答
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ご照会の内容にぴったり一致する文献は、ホンダワラ以外は見当たりませんでした。比較的近い内容の資料を以下に紹介します。(【 】内は当館請求記号です。)
●「ヒノキの葉」について
1, 『世界の薬用植物. 9 』 西村秀敏著 東根 昭報社印刷 2000.12 【SD121-E118】
p.99に「ヒノキ(ヒノキ科ヒノキ属)Chamaecyparis obtusa Endlicher」の項目があり、「成分、葉にアルファピネン、リモネン、枝なカジネン、ピネン、カムフエン、ボルネオール」とあります。各成分の量に関する記載はありません。
(※資料中では、''アルファピネン''のアルファはギリシア文字で書かれております。以後、アルファ、ベータ、ガンマなどのギリシア文字はカタカナで表記しています。また、''枝な''の「な」は本文どおりですが、「に」の誤りと思われます。)
2, 『薬用植物大百科 : 伊沢一男遺稿集』 伊沢一男著 上三川町(栃木県) 伊沢俊夫 1999.4 主婦の友出版サービスセンター(製作) 【SD2-G47】
p.139に「ヒノキ(ヒノキ科ヒノキ属)Chamaecyparis obtusa(Seib.et Zucc.) Endl. 」の項目があり、「成分 材部、葉部、根部に精油を含み、モノテルぺノイドのカジネンcadinene、リグナンのヒノキニンhinokininのこれらは材部に多く含まれる。」とあります。各成分の量に関する記載はありません。
また、当館NDL-OPAC( http://opac.ndl.go.jp/index.html )の雑誌記事索引を論題名「ヒノキ△葉△成分」(△はスペース)で検索したところ、以下の論文にヒノキの葉の成分の記載がありました。
3,廻治雄 他:「日本ヒノキの木部と葉部の精油成分の比較」(『大阪工業大学中研所報』 大阪工業大学中央研究所 (通号 2) [1969.03] p.131~134 【Z14-336】)
樹齢20~25年の直径8~10cmの日本ヒノキの葉部3.2㎏から溶剤摘出法で得た粗精油のガスクロマトグラムの結果より、日本ヒノキの葉部には、アルファ-pinene、camphene、limonene、p-cymene、linalool、campher、bornyl acetate、アルファ-terpineol、アルファ-terpinyl acetateを推定し同定した旨の記載があります(p.133)。ガスクロマトグラムの生データがp.133に、各成分の相対保持値の表がp.134に掲載されています。
4,浅田隆之 他:「ヒノキアスナロ葉油成分が有する殺虫効力,抗菌抗力」(『木材学会誌』 日本木材学会 35(9) [1989.09] p.851~855 【Z17-484】)
この論文のp.854に掲載されている''Table 4. Constituents of leaf oil of T. dolabrata var. hondai''によると、ヒノキアスナロ(ヒバ)の葉油は、Sabinene、ガンマ-Terpinene、Terpinen-4-ol、アルファ-Terpinyl acetate、Elemolなどを含んでいるようです。同表には、成分比も記載されています。
5,吉田恒正 他:「タイワンヒノキ葉精油成分」(『薬学雑誌』 日本薬学会 87(4) [1967.04] p.434~439 【Z19-411】)
タイワンヒノキの葉油に含まれる未知化合物の分析を行っており、ガスクロマトグラフィーにより各成分を分離し、赤外吸収(IR)と核磁気共鳴(NMR)スペクトルにより各々の成分の同定を行っています。p.435にはモノテルペン類に関する分析結果が、p.436にはセスキテルペン類の分析結果が表の形で掲載されており、成分名とともに成分比も掲載されています。モノテルペン類ではSabinene等が、セスキテルペン類ではElemol、Eudesmol、Thujopsene等が主な成分のようです。
●「松葉」について
6, 『世界の薬用植物. 9 』 西村秀敏著 東根 昭報社印刷 2000.12 【SD121-E118】
p.112-122にかけて「マツ科」の22種について、成分などの記載があります。例えば、「アカマツ(マツ科)Pinus densiflora Sieb et Zucc.」の葉については、p.114に「松葉を生のまま食べると喘息に良く、ビタミンCに富み高血圧予防にも良い。」とあります。成分の量についての記載はありません。
7, 『原色牧野和漢薬草大圖鑑』 岡田稔監修 和田浩志,寺林進,近藤健児編 北隆館 2002.10 【SD2-H1】
p.675-678に「マツ科」の6種についての記載があります。例えば、「アカマツ(メマツ)〔マツ属〕(まつ科)Pinus densiflora Sieb. et Zucc.」の葉に関しては、p.675に以下のような記載があります。「[成分] 精油を含み、代表的なものはアルファ-、ガンマ-ピネン、ジペンテン、リモネン、フェランドレン、ボルネオールなどを含む。またビタミンA, C、フラボノイドのクエルセチンを含む。」とあります。各成分の量に関する記載はありません。
また、当館NDL-OPACの雑誌記事索引を論題名「マツ△葉△成分」(△はスペース)で検索したところ、以下の論文に松葉の成分の記載がありました。
8, 小笠原隆三:「樹齢・葉齢によるアカマツの葉内成分の変化」(『日本林学会誌』 日本林学会 56(8) [1974.08] p.271~275 【Z18-340】)
アカマツについて、樹齢や葉齢が高まるとともに、葉内の核酸様物質、クロロフィル、成長物質と成長抑制物質、全炭化水素、全窒素、蛋白様窒素、全燐、カルシウムの量がそれぞれどう変化をするかを調べた結果について、記載しています。
9, 新井賢 他:「アカマツ葉の成分に関する研究--エタノール溶出アミノ酸について」(『薬学雑誌』 日本薬学会/日本薬学会編 107(4) [1987.04] p.279~286 【Z19-411】)
アカマツの葉に含まれるエタノール溶出アミノ酸の量の季節変動について記載しています。新芽、新条、一年葉、二年葉について、分析を行い、1gあたりに含まれるAlanine、GABA、Asparagine、Serineなどの各アミノ酸の含有量を、採取した月ごとに表の形で掲載しています。
なお、この文献は国立情報学研究所が提供する論文情報ナビゲータCiNii( http://ci.nii.ac.jp/ )から全文の閲覧が可能なようです。該当書誌( http://ci.nii.ac.jp/naid/110003649764/ )の「本文を読む・探す」にある「CiNii PDF」をクリックしてください。
●「ヒバマタ」について
西洋では「フーカス」、「ケルプ」、「ブラダーラック」などの名で呼ばれているようです。以下の資料に成分に関する記載がありました。
10, 『機能性食品素材便覧 : 特定保健用食品からサプリメント・健康食品まで』 清水俊雄編著 志村二三夫,篠塚和正著 改訂増補版 薬事日報社 2006.9 【PC21-H83】
p.426のヒバマタの項に、主な成分として「粘液、マンニトール、精油、カリウム、ヨウ素、その他多くのミネラル類(とくに亜鉛、マグネシウム)、アルギン(algin)、フコイダン(fucoidin).」と記載があります。各成分の量に関する記載はありません。ヒバマタはミネラルを豊富に含み、中でもヨウ素を多量に含むことから、サプリメントなどに利用されているようですが、ヒトでの科学的実証の項目では、「ヒバマタの効果については十分なヒトでの科学的根拠となるデータは見当たらない」とあります。
11, 『ハーブ&サプリメント : natural standardによる有効性評価』 キャサリン・E.ウルブリヒト,イーサン・M.バッシュ主編集 渡邊昌日本語版監修 藪盛子,川島由紀子,藤井洋子訳 産調出版 2007.1 【PC2-H18】
p.696-701に、「ヒバマタ/海草/ケルプBladderwrack/Seaweed/Kelp」についての記載があります。それによるとヒバマタには多量のヨウ素やナトリウムが含有しており、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ビタミン類なども含有しているようです。含まれる成分の量に関する記述はありません。
なお、独立行政法人「国立健康・栄養研究所」の「健康食品の素材情報データベース」( http://hfnet.nih.go.jp/contents/indiv.html )の「ヒバマタ」の項目にも同様の記載が見られ、より詳しい情報が記載されていますが、ヒバマタに含まれる成分の量については、「ヒバマタは1g中に600μgのヨウ素を含む」といった記述があるのみで、各成分の量の記載はありません。
当館NDL-OPACの雑誌記事索引を論題名「ヒバマタ△成分」で検索しましたが、ヒットする文献はありませんでした。当館で契約している科学技術振興機構の科学技術系文献データベースJDreamIIや、国立情報学研究所のCiNiiを論題名に「ヒバマタ」と「成分」を含むという条件で検索しましたが、該当する文献は見つかりませんでした。
●「ホンダワラ」について
「ホンダワラ」について、当館東京本館科学技術・経済情報室に開架している和図書を調査したところ、「ホンダワラ」についての解説が記載されている資料はありましたが、成分についての記載がある資料は見当たりませんでした。
そこで、当館OPACの雑誌記事索引を「ホンダワラ△成分」で検索したところ、以下の論文に「ホンダワラ」の成分に関する記載がありました。
12, 桐村ます美:「海藻(ホンダワラ)の食用利用に関する一考察」(『京都短期大学紀要』 京都短期大学成美学会 35(1) [2007.3] p.41~50 【Z22-875】)
熱乾燥および凍結乾燥したホンダワラについて、京都府中小企業センターが行った成分分析結果が記載されています。p.43に、一般成分として、水分、たんぱく質、粗脂肪、灰分、炭水化物、食物繊維の含有量を記載した表があり、p.44に、無機成分として、カリウム、カルシウム、ナトリウム、マグネシウム、リン、鉄、マンガン、亜鉛、銅の含有量を記載した表が掲載されています。
なお、この文献も国立情報学研究所が提供する論文情報ナビゲータCiNiiから全文の閲覧が可能なようです。該当書誌( http://ci.nii.ac.jp/naid/110006487210/ )の「本文を読む・探す」にある「CiNii PDF」をクリックしてください。
以下は、その他の調査済み資料です。
13, 『原色牧野和漢薬草大圖鑑』 岡田稔監修 和田浩志,寺林進,近藤健児編 北隆館 2002.10 【SD2-H1】
14, 『和漢薬の事典』 富山医科薬科大学和漢薬研究所編 難波恒雄監修 朝倉書店 2007.11 【SD2-J2】
15, 『原色百科世界の薬用植物』 マルカム・スチュアート原編 難波恒雄編著 難波洋子,鷲谷いづみ訳 エンタプライズ 【SD121-E11】
16, 『最新生薬学』 奥田拓男編 廣川書店 2007.3 【SD121-H77】
17, 『くらしの生薬』 山田光胤監修 後藤實著 たにぐち書店 2005.9 【SD2-H56】
18, 『生薬単 : 語源から覚える植物学・生薬学名単語集』 伊藤美千穂,北山隆監修 原島広至著 エヌ・ティー・エス 2007.11 【SD2-J4】
19, 『薬用植物 : カラーグラフィック』 滝戸道夫,指田豊編 第3版 廣川書店 2007.12 【SD2-J5】
20, 『メディカルハーブ安全性ハンドブック』 マイケル・マクガフィン〔ほか〕編 メディカルハーブ広報センター監修 林真一郎,渡辺肇子監訳 若松英輔訳 東京堂出版 2001.12 【SD121-G139】
21, 『西洋生薬 : カラーグラフィック』 Max Wichtl〔編著〕 井上博之監訳 1999.3 廣川書店 【SD121-G86】
22, 『薬草カラー大事典 : 日本の薬用植物のすべて』 伊澤一男著 主婦の友社 1998.4 【SD121-G66】
23, 『世界薬用植物百科事典』 アンドリュー・シェヴァリエ原著 難波恒雄監訳 誠文堂新光社 2000.10 【SD2-G62】
24, 『原色中国本草図鑑』 原色中国本草図鑑編集委員会編著 京都 雄渾社 1982.9 【SD2-55】
25, 『中薬大辞典』 上海科学技術出版社,小学館編 小学館 1990.6 【SD2-E25】
26, 『原色新海藻検索図鑑』 新崎盛敏著 徳田廣編 北隆館 2002.9 【RA5-G122】
27, 『健康食品全書』 長坂達夫編著 ブレーン出版 2005.4 【PC2-H13】
28, 『健康・栄養食品事典 : 機能性食品・特定保健用食品』 奥田拓道監修 漢方医薬新聞編集部企画・編集 東洋医学舎 2006.3 【EF27-H763】
29, 『健康食品全書』 長坂達夫編著 ブレーン出版 2005.4 【PC2-H1】
30, 『原色日本海藻図鑑』 大阪 保育社 1977.7 【RA5-H46】
31, 『日本の海藻 : 基本284』 田中次郎解説 中村庸夫写真 平凡社 2004.10 【RA5-H43】
32, 『海藻の本 : 食の源をさぐる』 西沢一俊,村杉幸子著 研成社 1988.4 【RB841-E2】
33, 『海藻』 宮下章著 法政大学出版局 1974 【RB841-1】
34, 『海藻のはなし』 新崎盛敏,新崎輝子著 東海大学出版会 1978.7 【RB841-3】
35, 『海藻の食文化』 今田節子著 成山堂書店 2003.3 【GD51-H26】
インターネット最終アクセス日は2008年4月30日です。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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『五訂増補 食物成分表2007』(女子栄養大学出版 2006)
『五訂増補 日本食物成分表』(医歯薬出版株式会社 2006)
『海草の栄養学』(成山堂書店2007)
『日本植物成分総覧』(佐々木図書出版株式会社 1949)
『メディカルハーブの事典』(東京堂出版 2007)
『食品薬学ハンドブック』(講談社サイエンティフィック 2005)
『山の幸利用百科』(農文協 2003)
『香料入門』(フレグランスジャーナル社 2002)
『食べもの香百科事典』(日本香料協会 2006)
鳥取県衛生研究所
- NDC
-
- 一般植物学 (471 9版)
- 参考資料
- キーワード
-
- 生物学
- 植物
- 海草
- 成分
- 檜
- 松
- 葉
- ヒバマタ
- ホンダワラ
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- NDC副出:478;474
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 公共図書館
- 登録番号
- 1000049848