レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年01月04日
- 登録日時
- 2019/03/22 12:31
- 更新日時
- 2019/03/22 12:31
- 管理番号
- 相-180020
- 質問
-
解決
葛飾北斎の「神奈川沖波裏」について
1.版画作品としての批評から刷りの解説まで記載のある資料を紹介して下さい。
2.この作品は青系の色が多いですが、顔料等として何をどのように使ったか分かる資料を紹介して下さい。もしこの作品について、顔料等まで紹介したものが無ければ、一般的な浮世絵の青色は何を使ったのかが分かる資料でもよいです。
- 回答
-
次の資料、文献を紹介しました。
1について
・『富嶽三十六景 北齋と廣重』楢崎宗重著 講談社 1971
p.111~114「神奈川沖浪裏」と題した解説が記載されています。
・『【浮世絵を読む4】北斎』浅野秀剛、吉田伸之編 朝日新聞社 1998
p.80~95「鼎談 北斎「富嶽三十六景」をめぐって」において、「「神奈川沖浪裏」etc.」が立項されています。
・安井雅恵「葛飾北斎筆「神奈川沖浪裏」をめぐって」『待兼山論叢 美学篇』 30巻 p.49-p.70 1996
「神奈川沖浪裏」について波の描法について記述されています。
(http://hdl.handle.net/11094/48217)
・『いま、北斎が甦る 浮世絵版画が摺りあがるまで』TBS文化情報部編 定村忠士著 河出書房新社 1987
「神奈川沖浪裏」ではありませんが、ボストン美術館に所蔵されていた北斎の版木から、新たに摺りおこす過程が写真付きで記載されています。
2について
・「材料科学から読み解く北斎ブルー」佐藤勝昭講演 第65回日府展市民講座
(http://nipputen.sakura.ne.jp/exhibition/65kai/workshop/hokusai_blue_from_materials_scence.pdf)
インターネット上に公開されている資料ですが、一般社団法人日本画府が2018年5月20日に開催した講座の資料によりますと、「はじめに」の中で「葛飾北斎(1760-1849)の版画「神奈川沖浪裏」は(中略)「北斎ブルー」として注目されてきました。 北斎ブルーの正体は、分析によってプルシアンブルーという鉄のシアン化物であることが明らかにされています。」とあります。講演資料では、浮世絵版画にプルシアンブルーが使われた経緯や、青色染料、顔料等についても紹介されています。
・『小学館ギャラリー 新編名宝日本の美術 第30巻 北斎・広重』松木寛著 小学館 1991
p.144~147「(3)富士と人間」の項において「「富嶽三十六景」は(略)それまで浮世絵版画に使用していた植物性のものではなく、西洋から輸入された「ベロ藍」(ベルリン・ブルー)といわれる化学合成による新しい絵具」「「藍摺」の藍にベロ藍を使用すること(中略)「富嶽三十六景」は、北斎がこれらの技法をとりこみながら、それを多色摺版画に巧みに応用し、転用させた」との記述があります。
・『北斎-東西の架け橋』日本経済新聞社編 日本経済新聞社 1998
p.11~23「北斎の作品に於ける西欧の影響」マティ・フォラー著において、富嶽三十六景シリーズは「藍の主版を用いた色摺りである。」としたうえで、「ベルリン・ブルーもインディゴ・ブルーも、当時、国内で入手可能で、とりわけ肉筆画においてはすでにかなり長く使用されていた顔料であった。輸入されていたベルリン・ブルーは合成顔料で、一七〇四年にヨーロッパで発見され、一七二〇年以降は広く用いられるようになっていた。」との記述があります。
・『世界にほこる日本の伝統文化 はじめての浮世絵1』深光富士男著 河出書房新社 2017
p.28~33「「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」ができるまで」の中で、「色版が摺られていく過程」では「この作品は、墨(黒色)ではなく藍色で摺られました。」とあります。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 日本画 (721 9版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000253537