レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2024/02/22
- 登録日時
- 2024/03/30 00:43
- 更新日時
- 2024/03/30 00:43
- 管理番号
- M23121715341811
- 質問
-
犯罪を見逃したり、通報しなかったりすると、罪に問われるのか。
- 回答
-
①『にゃんこ刑法』では、「NYANKO CASE7 穢れなき傍観事件」において、「正真正銘「何もしていない」場合であっても、罪に問われることがあるのか」について説明している。これによれば、刑法は「「~してはいけない」と特定の“作為”を禁止」しているが、「~しない(不作為)」ことを禁止すると「特定の行為が強制され」、「それに逆らったら罰まで科されるのは、あまりに理不尽だから」「不作為を罰することは基本的に認められない」としている。
②『よくわかる刑法』では不作為犯について説明があり、その中で作為については、「刑法は通常、してはならないことを行うこと、すなわち禁止に違反する「作為」を処罰している」とし、不作為については、「しなければならないことをしないでおく、すなわち法の命令に違反したことによって結果を発生させる」と説明している。また、「刑法では原則的に作為犯を処罰することとし、不作為犯については例外的に処罰するにとどめている」としている。
③「殺人しようとしている人を「見て見ぬふり」は犯罪か」というインターネットの記事では、「犯罪を止めなくても110番通報しなくても犯罪にはなりません」「法律では明文で規定されている場合を除き、何もしなかったこと(これを「不作為」と言います。)に対して処罰されることはありません」と弁護士が説明している。ただし、「公務員の場合は例外的に、「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」という規定が刑事訴訟法にあり、一定の犯罪について捜査機関への申告義務があります」としている。
③にあった公務員の申告義務については、④『大コンメンタール刑事訴訟法 第4巻』によると、刑事訴訟法の第239条〔告発〕の1項では「何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる」とあるのに対して、2項において「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない」とある。これは「当該官公吏に対し告発をする法律上の義務を負わせた規定」であるとし、「官吏又は公吏」は国家公務員及び地方公務員を意味しているという。
⑤『新・コンメンタール刑事訴訟法』でも④と同様に、第239条2項について「公務員の告発義務」として説明している。
⑥『裁判例コンメンタール刑事訴訟法』では、刑事訴訟法第239条2項について「本条2項は公務員の告発義務について定める」として説明するとともに、「公務員の告発事案に関する裁判例」についても述べられている。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 刑法.刑事法 (326 9版)
- 参考資料
-
-
①五十嵐律人『にゃんこ刑法』 講談社,2023,268p. 参照はp.64-71.
②井田良, 榎本桃也 ほか『よくわかる刑法』第2版, 京都 ミネルヴァ書房,2013,224p. 参照はp.28-29.
③山口政貴「殺人しようとしている人を「見て見ぬふり」は犯罪か」シェアしたくなる法律相談所(最終閲覧日:2024/02/22)
https://lmedia.jp/2014/10/20/57420/
④河上和雄, 中山善房 ほか『大コンメンタール刑事訴訟法 第4巻』第2版, 青林書院,2012,904p. 参照はp.754, 769-771.
⑤後藤昭, 白取祐司『新・コンメンタール刑事訴訟法』 日本評論社,2018,1297p. 参照はp.614, 617.
⑥井上正仁 ほか『裁判例コンメンタール刑事訴訟法 第2巻』立花書房,2017,681p. 参照はp.275, 278-280.
-
①五十嵐律人『にゃんこ刑法』 講談社,2023,268p. 参照はp.64-71.
- キーワード
-
- 犯罪
- 罰則
- 通報
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- M2023121715355841811
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 全年齢
- 登録番号
- 1000348284