レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022.7.30
- 登録日時
- 2022/12/13 16:35
- 更新日時
- 2023/01/12 15:17
- 管理番号
- 2022-12.5
- 質問
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未解決
天然痘ワクチンの有効期間はどれくらいか知りたい。
(質問の意図が、サル痘(2022年5月以降の欧米を中心とした流行)に関連してなのかどうかは未確認)
- 回答
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当館資料では該当する内容に行き当たらなかった。参考として下記資料を紹介。
(日本では1976年以降天然痘ワクチンの接種は行われていない。 ⑧によると接種したことのある調査対象のうち、2004年時点で約1/4に感染予防レベルの中和抗体価が保有されているとのこと。1976年近くに生まれた層は接種回数が1回の可能性にも拘わらず、抗体保有率や抗体価が他の年齢層と変わらないとのこと。⑧の論文のみで回答とするには不十分と思われる為、あくまで参考として紹介した。)
- 回答プロセス
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■当館資料にて調査
①『ワクチン 基礎から臨床まで』
日本ワクチン学会/編集 朝倉書店 2018.10 分類:493.82 ISBN:4-254-30115-1
p.332 「図40.1 予防接種法の概要」に、A類疾患として「痘そう(天然痘)」があり、補足として「政令事項。(なお、現在痘そうの定期接種はしていない)」とある。
p.334 「図40.2 定期接種の対象者」
「政令事項」のうちに「痘そう」があり、「定期接種は実施していない(生物テロ等により、まん延の危険性が増大した場合、臨時の予防接種として実施)」とある。
②『感染症の事典』
国立感染症研究所学友会/編集 朝倉書店 2004.12 分類:493.8 ISBN:4-254-30073-5
p.107~ サル痘
概要「…アフリカのリスが自然宿主で(中略)ヒトに感染すると、重症例では天然痘と臨床的に区別できない。…」とある。
治療・予防「…種痘はサル痘にも有効であるが、日本では1976年以降、種痘は行われていない。」とある。
p.175~ 痘瘡(天然痘)
概要「…WHOは1980年5月、天然痘の世界根絶宣言を行った。以降、これまでに世界中で天然痘患者の発生はない。しかし、昨今生物テロに用いられる可能性のある感染症として、残念ながら再び脚光を浴びている。…」
治療・予防 「わが国にこの牛痘由来の痘苗がもたらされたのは1848年のことである。」等、記載はあるが、有効期間については記述なし。
③『感染症事典』
感染症事典編集委員会/編 オーム社 2012.1 分類:493.8 ISBN:4-274-21135-5
p.412~ 天然痘
特徴や感染経路などの詳しいが、「予防法」の項目で、ワクチンについては“天然痘ワクチンは天然痘が根絶された現在、強制種痘は行われなくなった”、程度の記述のみ。
④『感染症』
竹田 美文/編集 木村 哲/編集 朝倉書店 2004.9 分類:493.8 ISBN:4-254-32204-6
p.21~ 天然痘(痘瘡)
天然痘の説明には詳しいが、ワクチンの有効期間の記述は無し。
⑤『まるわかりワクチンQ&A 予防接種の現場で困らない』
中野 貴司/編著 日本医事新報社 2017.12 分類:493.82 ISBN:4-7849-4472-9
p.6~ 「2 現在の日本の予防接種」
⑵ 接種年齢と標準的接種期間
天然痘ワクチン記載なし
⑶ 日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール
天然痘ワクチン記載なし
また、下記の表1~3にも天然痘ワクチンの記載なし
p.12~ 表1 日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール(2016年10月1日版)
p.14~ 表2 日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール 標準的接種期間、日本小児学会の考え方、注意事項(2016年10月1日版)
p.18~ 表3 日本小児科学会が推奨する予防接種キャッチアップスケジュール(2017年1月15日版)
⑥『海外渡航者のためのワクチンガイドライン/ガイダンス 2019』
日本渡航医学会『海外渡航者のためのワクチンガイドライン ガイダンス2019』作成委員会/作成 協和企画/編集・制作 協和企画 2019.8 3 分類:493.82 ISBN:4-87794-204-5
天然痘に関して記載なし
■インターネット調査
⑦国立感染症研究所感染症情報センター WEBサイトより
天然痘(痘そう)とは(IDWR 2001年第40号掲載)
(https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennahanashi/445-smallpox-intro.html)
ワクチンの有効期間についての内容には行き当たらず。
⑧論文「種痘廃止して28年目の痘瘡抗体保有状況」
(モダンメディア 52巻2号2006[免疫〕)
(https://www.eiken.co.jp/modern_media/backnumber/?literature_y=2006)
「Ⅲ.痘瘡ウイルス抗体の保有状況について」より
種痘が廃止されて28年目にあたる2004年に痘瘡抗体を測定した結果、未種痘の人には全く抗体が認められなかったが、「28歳以上(1~3回接種)ではほとんどの人達に抗体の保有が認められたが抗体価については個体差のバラツキが大きいことが分かった。このことにより過去の種痘の接種回数および接種後の時間的経過、性別などによる差異がないことが分かった。」(p.25)とある。
図2 痘瘡(ワクシニア)ウイルス抗体保有状況(p.25)
表2 年齢層別抗体保有状況(p.26)
「Ⅴ.天然痘に対する種痘の感染防御効果」より
「Dixonの集計が有名であり、初種痘後の年数と推定防御効果は、1年で99.9%、3年で99.5%、10年で87.5%、20年で50.5%、20年以上では推定不能とされている。」「過去に種痘を受けた世代の約80%に4倍以上の中和抗体が認められ、約1/4(22.83, 26.5%)に感染予防レベルの中和抗体価が保有されていることが判明した」(p.26)
以上
- 事前調査事項
- NDC
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- 医学.薬学 (49)
- 参考資料
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日本ワクチン学会 編集 , 日本ワクチン学会. ワクチン = Vaccine : 基礎から臨床まで. 朝倉書店, 2018.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I029253191-00 , ISBN 9784254301151 -
中野貴司 編著 , 中野, 貴司. 予防接種の現場で困らないまるわかりワクチンQ&A 2版. 日本医事新報社, 2017.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I028668599-00 , ISBN 9784784944729
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日本ワクチン学会 編集 , 日本ワクチン学会. ワクチン = Vaccine : 基礎から臨床まで. 朝倉書店, 2018.
- キーワード
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- 天然痘
- 痘そう
- ワクチン
- 種痘
- 痘瘡抗体
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- インターネット最終確認 2022.7.30
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000325637