レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019/11/02
- 登録日時
- 2019/11/03 00:30
- 更新日時
- 2019/11/03 00:30
- 提供館
- 宮城県図書館 (2110032)
- 管理番号
- MYG-REF-190003
- 質問
-
未解決
1 河北新報 昭和六年十月八日付の記事によれば,内務省では津山から開削した川を「北上新川」と命名し,従来の川はそのまま「北上川」と呼称することになるとあった。現在では開削したほうを「北上川」とし,従来の川は「旧北上川」と称しています。いつごろから現在の呼び方をするようになったか。
2 「新飯野川橋」という橋がありますが,飯野川という川があるのか。
3 新北上大橋の橋名は公募によるものなのか。
- 回答
-
1 「北上川」及び「旧北上川」の呼び方について
現行「河川法」(昭和39年法律第167号)下での「一級河川の指定」を確認したところ,「北上川」及び「旧北上川」の名称が見られました。また,一級河川の第一次指定は昭和40年3月24日とあり,該当年月日の官報を確認したところ,同様に「北上川」及び「旧北上川」の名称が見られました。
資料1 『現行法規総覧 85 建設(3)河川』第一法規(内容現在:令和元年6月27日)
「第二十一編 建設(3) - 第五章 河川・水利 - 第一節 河川 - 第一款 通則」収載の
「一級河川の指定(平成三十年七月一三日号外国土交通省告示第九三二号〔第五六次改正〕」内にある「第十七 北上川水系」の項に,次の内容を含む表があります。
「名称 北上川」(p.4973)
区間 上流端 左岸 岩手県岩手郡岩手町大字沼宮内第三十五地割三十五番の三地先 右岸 同町大字御堂五地割四十六番の二番地先 下流端 (空欄)」
「名称 旧北上川(p.4973ノ2)
区間 上流端 北上川からの分派点 下流端 (空欄)」
※表中「下流端」の空欄部分については,次のような説明がありました(p.4859)。
「これらの表中(中略)下流端の欄に記載のない河川の区間は,当該河川の上流端に記載されている場所から海に至るもの(後略)」
資料2 『官報』号外第16号,昭和40年3月24日【G/カ】
「政令第四十三号 河川法第四条第一項の水系及び一級河川を指定する政令」内にある「別表第二 北上川水系」(p.7)に,次の内容が見られます。
「名称 北上川
区間 上流端 左岸 岩手県岩手郡岩手町沼宮内第三十三地割二十八番の一地先 右岸 同町沼宮内第二十地割二番地先 下流端 (空欄)」
「名称 旧北上川
区間 上流端 北上川からの分派点 下流端 (空欄)」
※表中「下流端」の空欄部分については,次のような説明がありました(p.2)。
「(前略)これらの表中下流端の欄に記載のない河川の区間は,当該河川の上流端の欄に記載されている場所から海に至るもの(後略)」
また,昭和40年3月24日以前の官報について,「国立国会図書館デジタルコレクション」及び当館で契約しているデータベース「官報情報検索サービス」にて検索しましたが,おたずねの河川の命名に関する記述は見あたりませんでした。
なお,下記資料に当該河川に関する記述が見られましたので,参考までに紹介します。
資料3 『日本歴史地名大系 4 宮城県の地名』平凡社, 1987【K290.3/ミ43】
pp.89-90「北上川」の項
「宮城県に入り,登米郡東和町米谷辺りでS字形に蛇行し,本吉郡津山町柳津付近で,ほぼ南流する新北上川と南西流する旧北上川に分流する。新北上川は桃生郡河北町で流路を東に変え,同郡北上町で追波湾に注ぐが,この間柳津より下流を追波川とも称していた。旧北上川は桃生郡桃生町と遠田郡涌谷町の境付近で迫川を合せ,すぐ南の桃生郡河南町と桃生町の境で江合川を合流し,石巻湾に注ぐ。(中略)なお,新北上川は公式には北上川だが,一般に新北・旧北と呼びわけており,追波川という呼称は地元ではあまり用いられていない。(後略)」
資料4 『石巻の歴史 第2巻』石巻市, 1998【K253.3/イ1-2/2-2】
「第五章 変貌する石巻」-「第三節 北上川改修と港湾」-「1 北上川改修工事」-「第一期北上川改修工事」
pp.374-375「(前略)この第一期北上川改修工事は,第一次世界大戦勃発(一九一四~一八)等の影響で工期を延長し,事業開始二四年目にあたる一九三四(昭和九)七月三十一日の北上川改修事務所および石巻工場廃止をもって終了した。(中略)本工事によって,柳津~飯野川~追波湾への新北上川が形成され,柳津~和淵~鹿又~石巻湾への旧来の流路は旧北上川と称されるようになった。(後略)」
資料5 『北上町百年の概要』北上町, 1975【K251.7/キ1】
「北上川改修事業」の項
p.147「この北上川改修工事は,(中略)明治四十四年度より昭和九年度に至る二十四ヶ年継続事業として,(中略)一応完成したのである。この改修の結果,県境より柳津までを北上川,柳津より合戦谷,飯野川を経て追波河口に至る間を新北上川,柳津より赤生津,和渕をへて石巻に至る間を旧北上川と,それぞれ俗称されることになった(後略)」
資料6 宮城県土木部編『宮城の土木史』宮城県建設技術協会, 1972【K510/ミ4-5】
「第5編 河川海岸」-「第一章 概説」-「1.地勢と水系」-「2 水系」-「イ 北上水系」
pp.395-396「北上川は,岩手県境弧弾寺狭さく部を過ぎて登米郡にはいってから田畑が開け,浅水,水越地内で東に曲折し,左支川二股川を合流する。米谷町北端では南に曲がって登米町にはいるが,その後羽沢川の左支川を入れて山あいを縫い津山町柳津で南沢川と合流,ここで新,旧北上川に分かれる。旧北上川は柳津より豊里町に流下して最大の支川迫川と旧迫川を合流し,遠田郡,桃生郡境の神取山附近で江合川がはいるが,そのあとは,河南町鹿又で東北に追波川を分派して南に折れながら石巻市に至り,市街部を南流して石巻湾にはいる。一方,柳津より分かれた新北上川は,河北町飯野川で東に折れ,途中で皿貝川,富士川の諸支川を入れて追波湾にはいる。(後略)」
資料7 津山町史編さん委員会編『津山町史 後編』津山町, 1989【K263.2/ツ2/2】
「第三部 歴史画す七大証言」-「第二章 北上川改修史」-「三 近代(自明治四四年至昭和九年)の北上川改修」
pp.147-150「北上新川の通水」の項
p.148に,お示しのありました「昭和6年(1931)10月8日付『河北新報』」の記事の写真が掲載されています。
2 「飯野川」について
次の資料に「飯野川橋」についての記載がありました。
資料8 『角川日本地名大辞典 4 宮城県』角川書店, 1979【K290.3/ニ2】
p.65「いいのがわばし 飯野川橋〈河北町〉」の項
「新北上川に架かる橋名。桃生郡河北町小船越〔こぶなこし〕と同町飯野川を結ぶ。(中略)現在では老朽化したため,上流に新飯野川大橋が架設された。」
また,下記の資料には「飯野川」の地名についての記載がありました。
資料9 菊地勝之助『宮城県地名考』 宝文堂, 1970【K290.3/キ1】
「第五章 市町村地名考」「第二節 市部の地名考」―「第十四,桃生郡の主な地名」―「二 河北町の地名」
pp.605-606「2 飯野川」
「飯野川の地名につき地名辞書に於て,吉田東伍博士は「飯野川とは水名に出づ。(中略)往昔二股川は柳津茶臼山の下より屈折して東南に流れ,太田・飯野を経て相野谷に至れり。是れ即ち北上川の故道と悟られ,飯野川の名も之に因れるなり」と述べている。飯野村を経てこの地に流れた飯野川が地名の起りであることが推察される。」
3 新北上大橋について
橋名の命名の経緯に関する記述は見あたりませんでしたので,公募によるかどうかも含め不明ですが,次の関連記述がありましたので,御参考までに御紹介します。
資料10 『広報かほく』河北町, 246号(1976)【PN318/コ】
p.3「12月17日 待望の新北上大橋開通 姿を消す県営渡船」―「新北上大橋の概要」
「(前略)大橋は,昭和38年に地元河北,北上町が中心となって結成された新北上大橋建設推進期成同盟会(会長木村幸四郎県議会議長)を軸として,国あるいは県の関係機関へ早期建設を強力に働きかけた努力が実を結び昭和43年から宮城県が総事業費十七億八千六百万円で建設を進めてきたものです。(後略)」
また,下記資料にも関連記事はありましたが,橋名についての記載は見あたりませんでした。
資料11 『河北新報』(マイクロフィルム)河北新報社【PN071.2/カ】 昭和51年12月18日付8面
なお,下記資料にもあたりましたが,関連する記述は見あたりませんでした。
資料12 『河北町誌 下巻』河北町, 1979【K251.1/カ1-2/2】
資料13 『北上川改修工事概要』内務省仙臺土木出張所, 1914【K517/1914.X】
資料14 宮城県土木部河川課編『宮城県河川行政関係例規集 昭和58年度版』第一法規出版, 1983【K517/ミ3-4】
資料15 『宮城県史 第8巻』宮城県史刊行会, 1987【K201/ミ1-2/8】
資料16 立花改進『わがふるさとの町飯野川』わがふるさとの町飯野川刊行後援会, 1965【K251.1/タ1】
資料17 『北上町史通史編』北上町, 2005【K251.7/2004.9】
資料18 『みやぎ北上川今昔』みやぎ北上川の会, [1997]【K517/1997.7/タ】
資料19 三陸河北新報社編『北上川物語』河北新報社, 1989【K201/サ1】
資料20 『北上川河口地域の人と暮らし』北海道大学大学院文学研究科宮内泰介研究室, 2007【K382/2007.9】
資料21 東北地方建設局編『北上川百十年史』東北地方建設局, 1991【K517/ト8-3】
資料22 佐藤勝義著, 豊里町郷土史研究会監修『北上川流域の学べる年表』仙台共同印刷, 2015【K200.3/2015.3】
※【 】内は当館請求記号
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 河海工学.河川工学 (517 9版)
- 参考資料
-
- . 現行法規総覧 85 建設(3)河川. 第一法規, 【】:
- . 官報 号外第16号(昭和40年3月24日). , 【】:
- 平凡社地方資料センター/編. 宮城県の地名. 平凡社, 1987【K290.3/ミ43/イ】:
- 石巻市史編さん委員会/編. 石巻の歴史 第2巻. 石巻市, 1998.3【K253.3/イ1-2/オ2-2】:
- 北上町史編纂委員会/編. 北上町百年の概要. 北上町, 1975【K251.7/キ1/ウ】:
- 宮城県土木部/編. 宮城の土木史. 宮城県建設技術協会, 1972【K510/ミ4-5】:
- 津山町史編さん委員会/編. 津山町史 後編. 津山町, 1989.10【K263.2/ツ2/エ2】:
- 「角川日本地名大辞典」編纂委員会/編. 角川日本地名大辞典 4 宮城県. 角川書店, 1979【K290.3/ニ2/イ】:
- 菊地勝之助/著. 宮城県地名考. 宝文堂, 1970【K290.3/キ1/イ】:
- . 広報かほく (246号 (1976)). 河北町, 【PN318/コ】:
- . 河北新報 昭和51年12月18日付. 河北新報社, 【】:
- 河北町/著 河北町誌編纂委員会/編. 河北町誌 下巻. 河北町, 1979【K251.1/カ1-2/エ2】:
- 内務省仙臺土木出張所∥編. 北上川改修工事概要. 内務省仙臺土木出張所, 1914.10【K517/1914.X】:
- 宮城県土木部河川課/編. 宮城県河川行政関係例規集 昭和58年度版. 第一法規出版, 1983【K517/ミ3-4】:
- 宮城県史編纂委員会/編. 宮城県史 第8巻. 宮城県史刊行会, 1987【K201/ミ1-2/8】:
- 立花 改進/著. わがふるさとの町飯野川. わがふるさとの町飯野川刊行後援会, 1965【K251.1/タ1】:
- 北上町史編さん委員会/編. 北上町史 通史編. 北上町, 2005.3【K251.7/2004.9】:
- みやぎ北上川の会/[編]. みやぎ北上川今昔. みやぎ北上川の会, [1997.7]【K517/1997.7/タ】:
- 三陸河北新報社/編. 北上川物語. 河北新報社, 1989【K201/サ1】:
- 北海道大学大学院文学研究科宮内泰介研究室∥編. 北上川河口地域の人と暮らし. 北海道大学大学院文学研究科宮内泰介研究室, 2007.9【K382/2007.9】:
- 東北地方建設局/編. 北上川百十年史. 東北地方建設局, 1991【K517/ト8-3】:
- 佐藤/勝義∥著 豊里町郷土史研究会∥監修. 北上川流域の学べる年表. 仙台共同印刷, 2015.3【K200.3/2015.3】:
- キーワード
-
- 河川行政--歴史
- 河川--石巻市
- 河川--登米市
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000263629