レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020年10月28日
- 登録日時
- 2023/01/06 16:51
- 更新日時
- 2023/02/17 10:17
- 管理番号
- ASN2020-23
- 質問
-
解決
日常的に起こる環境音が、集中力と感情にどのように影響するか、について書かれた資料を探している。
実験・観察を行っている研究例などもあれば知りたい。
【質問の背景・研究テーマ】
日常的な環境音(電車や飛行機の音、人のざわざわ声、テレビの音など)が、部屋に一人で課題をこなす時の集中力に及ぼす影響。
- 回答
-
検索キーワードとその結果を紹介します。
詳細は回答プロセスを参照ください。
- 回答プロセス
-
1. 基本事項
1-1 JapanKnowledge [契約DB]
<キーワード:環境 雑音 集中 / 全文検索>
A.「聞く」(『日本大百科全書(ニッポニカ)』) 執筆:角田忠信
◎「聞く」メカニズム
◎「聞く」ことにおける日本人の特徴
◎日本人は左脳に偏る
◎ハーモニックな音を聞く・ハーモニックでない音を聞く
右脳(音楽脳)で処理されている音は、あらゆる周波数の純音、ホワイト・ノイズ、整然とした構成
音、すなわちブザー音や矩形波、振幅の変わるAM音、西洋楽器音、オーケストラの音など。
◎カクテル・パーティー効果
パーティーなどで、多くの人が三々五々に分かれて談笑しているとき、多くの声が耳に入っても、話し
相手の声だけが聞こえ、他の声が話し相手の声より大きくても、それが聞こえないことがある。また、
オーケストラの特定の楽器、奏者の音だけを聴くこともできる。
参考文献を確認できる。
*調査の過程で見つかった言葉
「ホワイトノイズ」(『デジタル大辞泉』)
あらゆる周波数成分を同等に含む雑音。白色雑音。
「ピンクノイズ」(『デジタル大辞泉』)
周波数に反比例し、高い周波数の音ほど弱くなる雑音。
1-2 レファレンス資料 <分類:1412(感覚・知覚),547(電気通信) など>
【★1】『新編感覚・知覚心理学ハンドブック pt.1』
p.1038-1040「4・4マスキング」 「4・4・3雑音によるマスキング」
聞こえていた音が別の音によって聞こえなくなることをマスキング効果という。
純音、雑音、音声などを用いて純音をどのようにマスク(遮蔽)するか、概説している。
p.1146-1148「9.騒音」 「9・1・2騒音の影響 3)作業への影響」
実験室的に騒音が作業等に及ぼす影響について検討した研究も多くみられる、と記載。
航空機騒音による学業成績の比較、など実験例を紹介し、騒音の影響に関する考察を
記述している。参考文献も確認できる(p.1163-1165)。
【★2】『プロ音響データブック』
p.33「カクテルパーティー効果」
騒々しいパーティー会場でも、重要な会話に集中すると騒音が気にならなくなる心理的な状態。
p.124「ホワイトノイズ【(英)wihte noise】」
p.126「マスキング効果【(英)mask-ing】」
2つの音が出ているとき、小さい音が大きい音にかき消されて聞こえなくなる現象。
「高音で低音を」よりも、「低音で高音を」のほうがマスキングされやすい。
2.図書
2-1 [1-1-A]、【★1】の参考文献より
【★3】『聴覚ハンドブック』
p.234-275「第6章 非定常音の知覚」
日常生活の音=変化する音=非定常音。音のパターンによる認識・とらえ方の変化の概説と実験例。
2-2 ブラウジング <分類:14122(感覚・知覚-聴覚),491375(聴覚)>
【★4】『音と聴こえ』
p.167-189「8 騒音」
騒音と日常生活など概説。騒音(音の大きさを問題とする状況に多く使用)と
雑音(音の大きさを問題としない時でも使用)の定義。
2-3 OPAC検索 <件名:音響学,音響心理学>
【★5】『音と生活』
生活の中の音、環境騒音などについて基本的な事柄を解説している。生活音、環境音について押
えられる。
【★6】『音の評価のための心理学的測定法』
音に関する心理学的測定法について解説。
p.145-「4 その他の測定法」 で掃除機など生活音への慣れの評価測定、読書中の音の評価測定、
飛行機等の音に関する感情測定などの事例を確認できる。
【★7】『音の環境心理学 : いい音悪い音』
p.10-24「第1章 生活環境と音」
よい雰囲気の騒音、小さな音でも環境によって気になることがある、など状況と音の関係について
概説。
p.143-168「第5章 音と文化―騒音意識の国際比較」
参考文献あり。
*次の資料には、記述を確認できなかった。
『認知の構図』(ナイサー著、古崎敬・村瀬旻訳 サイエンス社 1978 141/N62)
『右脳と左脳』創造選書(角田忠信著 小学館1981 4913/TS82-2)
『音のチカラ : 感じる, 楽しむ, そして活かす』(岩宮眞一郎著 コロナ社 2018 424/I94-2)
3.論文
3-1【★1】の参考文献より
【★8】国武栄三郎,石西伸,児玉泰 ”知的作業時に精神疲労に及ぼす航空機騒音の影響―防音室内
暴露実験” [PDF]
【★9】難波精一郎 ”騒音の影響の心理学的評価について” [PDF]
【★10】長田泰公,広川章子,春田きよ子”間欠的騒音の影響に関する実験心理学的研究-航空機ならび
に列車騒音の反応時間、時間再生、図形数え作業におよぼす影響”
など
3-2【★11】CiNii Articles ※2022年4月~ CiNii Researchに移行
<キーワード:音 集中力> 78件
島貫陽平,後藤広太郎“音の種類の違いは集中力に影響するか”
北海道心理学研究 40 p.24-24 2018 [PDF]
など
<キーワード:音 学生 勉強> 52件
平間裕補,樋野大樹,永幡幸司“中学生が音楽を聴きながら勉強することの実態調査”
東北地区若手研究者研究発表会(平成28年) p.35-36 2016-03 [PDF]
飯田阿希奈, 永幡幸司” 知的課題遂行時の音環境に関する一考察 : 大学生の勉強を例に”
公益社団法人日本騒音制御工学会秋季研究発表会講演論文集 p.65-68 2013-09
など
<キーワード:音 学生 不快> 41件
松本じゅん子,野坂俊弥,北山秋雄“里山の音に対する印象評価 : 都市部と地方の大学生による比較”
信州公衆衛生雑誌 3(2) p.9-15 2009-02 [PDF]
など
<キーワード:環境音 影響> 134件
立平起子,大森慈子“他者の存在が環境音に対する印象に与える影響”
仁愛大学研究紀要 (7) p.41-49 2008 [PDF]
など
<キーワード:環境音 学生> 32件
濱村真理子,岩宮眞一郎”大学生に対する携帯型音楽プレーヤの使用実態調査”
日本音響学会誌 69(7) p.331-339 2013 [PDF]
など
<キーワード:騒音 勉強> 3件
髙石雅樹,渡邊拓哉,浅野哲“大学生の一人暮らしにおける室内環境の実状”
国際医療福祉大学学会誌 20(2) p.48-58 2015 [PDF]
など
<キーワード:騒音 学生 不快> 8件
青柳肇,細田一秋“学習性無力感に関する研究-その8-”
人間科学研究 5(1) p.65-70 1992 [PDF]
など
<キーワード:生活音 影響> 17件
岩重博文“生活音が居住者の日常生活におよぼす影響に関する一考察”
広島大学大学院教育学研究科紀要 第二部文化教育開発関連領域 54 p.347-353 2005 [PDF]
など
<キーワード:生活音 快適> 4件
島井哲志,田中正敏”環境音の快-不快評価と音圧の関係”
日本音響学会誌 49(4) p.243-252 1993 [PDF]
など
<キーワード:音環境 知的作業>4件
中山光幸,柿沼宏明,後藤桂”音環境が学習者の脈拍と知的作業に与える影響(A-13. 思考と言語,一般セッシ
ョン)” 電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集 2009年_基礎・境界 p.159 2009-09
など
<キーワード:学習環境 騒音> 4件
瀬林伝,森田知博“鉄軌道騒音の学習環境に及ぼす影響” 騒音制御 5(1) p.39-43, 1981 [PDF]
など
<キーワード:ホワイトノイズ> 303件
遠藤雅也,境南葵ほか”注意持続課題遂行時における音環境の影響についての検討:-ホワイトノイズの有
無に注目して-” 北海道心理学研究 41(0) p.43-43 2019 [PDF]
など
<キーワード:マスキング効果> 202件
安川一基,高橋知音”不注意な人ほど,課題遂行時のBGMが妨害的であるか?:マスキングによる課題促進
効果の検証” 信州心理臨床紀要 (19) p.213-222 2020-06-01 [PDF]
為末隆弘,佐伯徹郎,伊東一典”知的精神作業時の心理的印象と作業成績に対するマスキング効果”
人間工学 (43) p.322-323 2007 [PDF]
など
3-3【★12】J-Stage
<キーワード:音環境 集中力> 100件
羽田正沖,西原直枝,田辺新一”道路交通騒音が知的生産性に与える影響に関する被験者実験”
日本建築学会環境系論文集 73(625) p.355-362 2008 [PDF]
など
<キーワード:学習環境 騒音> 144件
<キーワード:学習環境 雑音> 73件
3-4【★13】J-DreamⅢ
<キーワード:音環境 集中力> 17件
橋本修”オフィスの音と会話 3.測定評価・規準 オープンプランオフィスにおける執務時の会話漏洩に
よる妨害と作業性評価” 音響技術 48(2) p.33-38 2019
など
<キーワード:音環境 心理効果> 135件
伊川真以”公共図書館における音環境の実態調査~図書館利用者の館内の音に対する意識に着目して~”
日本図書館情報学会春季研究集会発表論文集 2016 p. 47-50 2016-05
井上勝夫,阿部今日子” 居住環境における音の受け取り方” 騒音制御 32(3) p.163-168 2008-06
など
<キーワード:音環境 知的作業> 10件
佐藤考浩ほか”個人での知的作業のしやすさに関する統計的因果推論”
日本騒音制御工学会研究発表会講演論文集 2019 秋季 p.219-222 2019-11
など
以上
<Web最終確認日:2023/1/6>
- 事前調査事項
-
見つけた論文は、感情音声という感情を持つ音を使って感情の変化を研究していた論文だった。
“音声の持続時間、ピッチ、強さによる感情判断の変化”
- NDC
-
- 普通心理学.心理各論 (141 10版)
- 振動学.音響学 (424 10版)
- 基礎医学 (491 10版)
- 参考資料
-
-
【★1】大山正 [ほか]編 , 大山, 正, 1928-. 新編感覚・知覚心理学ハンドブック. 誠信書房, 1994.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002311520-00 , ISBN 4414305039 (当館請求記号:1412/O95/1) -
【★2】日本音響家協会 編 , 日本音響家協会. プロ音響データブック = PROFESSIONAL SOUND DATA BOOK 5訂版. リットーミュージック, 2019.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I029868725-00 , ISBN 9784845634125 (当館請求記号:5473/N77/ア) -
【★3】難波精一郎 編 , 難波, 精一郎, 1932-. 聴覚ハンドブック. ナカニシヤ出版, 1984.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001716630-00 (当館請求記号:491375/N48) -
【★4】須藤貢明, 杵鞭広美 著 , 須藤, 貢明, 1939- , 杵鞭, 広美. 音と聴こえ : 言語療法と音楽療法のための. 音楽之友社, 2005.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000007830657-00 , ISBN 4276122651 (当館請求記号:14122/SU14) -
【★5】橘秀樹, 田中ひかり, 上野佳奈子, 横山栄, 船場ひさお 共著 , 橘, 秀樹, 1943- , 田中, ひかり , 上野, 佳奈子, 1973- , 日本音響学会. 音と生活. コロナ社, 2016. (音響入門シリーズ ; A-4)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I027656299-00 , ISBN 9784339013047 (当館請求記号:424/TA13) -
【★6】難波精一郎, 桑野園子 共著 , 難波, 精一郎, 1932- , 桑野, 園子, 1944- , 日本音響学会. 音の評価のための心理学的測定法. コロナ社, 1998. (音響テクノロジーシリーズ ; 4)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002693497-00 , ISBN 4339011045 (当館請求記号:50124/N77/4) -
【★7】難波精一郎 著 , 難波, 精一郎, 1932-. 音の環境心理学 : いい音悪い音. NECクリエイティブ, 2001.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000003056804-00 , ISBN 4872691598 (当館請求記号:1412/N48) -
【★8】国武 栄三郎 , 石西 伸 , 児玉 泰. 知的作業時の精神疲労に及ぼす航空気騒音の影響 防音室内ばく露実験:防音室内曝露実験. 1975. 日本衛生学雑誌 30(3) p. 417-429
https://iss.ndl.go.jp/books/R000000016-I003988878-00 (PDF) -
【★9】難波 精一郎. 騒音の影響の心理学的評価について. 1979. 心理学評論 22(2) p. 182-199
https://iss.ndl.go.jp/books/R000000016-I006906111-00 (PDF) -
【★10】国立公衆衛生院. 公衆衛生院研究報告 20(3). 国立公衆衛生院, 1971-09., ISSN 00203106
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000039-I000406931-00 p.163-169 (国立国会図書館デジタルコレクション(送信参加限定)) - 【★11】CiNii Articles <https://ci.nii.ac.jp/> ※2022年4月~CiNii Researchに移行 (日本の学協会が出版した最新の論文を簡単に検索し、閲覧することができるデータベース・サービス)
- 【★12】J-STAGE <https://www.jstage.jst.go.jp/browse/-char/ja> (日本の学協会が出版した最新の論文を簡単に検索し、閲覧することができるデータベース・サービス)
- 【★13】J-DreamⅢ[契約DB] (科学技術や医学・薬学関係の国内外文献情報の検索)
-
【★1】大山正 [ほか]編 , 大山, 正, 1928-. 新編感覚・知覚心理学ハンドブック. 誠信書房, 1994.
- キーワード
-
- 音
- 環境音
- 騒音
- 生活音
- 集中力
- 音響学
- 音響心理学
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 音
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000326836