レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021/8/1
- 登録日時
- 2022/02/25 00:31
- 更新日時
- 2024/03/30 00:42
- 管理番号
- M21112516015100
- 質問
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日本の伝統的な祭りなどを継承していくにあたっての問題点について述べられているような資料はあるか。
- 回答
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①『ニッポンのマツリズム』では、「地域の祭礼が見物客のための〈イヴェント〉に変質した」と位置づけ、「運営の中心となる若者たちの減少。観光客との折り合いのつけ方。イヴェント化するなかで薄れていく祭り本来の意義。」と問題点を挙げたうえで「現代ではそれ以前の祭りの姿を知る人々が少しずつ鬼籍に入り、かつての祭りの記憶も薄れつつある。」との記載がある。その上で筆者は「たとえ一度伝統が途切れるにしても、後の住民たちが復活させられるように映像記録などをしっかり残しておくべきだ。」「その活き活きとした記録が後に別の形で蘇ることだってあるだろう。」と述べている。
②『都市祭礼文化の継承と変容を考える』では、4つの祭りの問題点についてそれぞれ述べられている。
祇園祭の問題はお金と新しいものを作るところが弱い点。
高山祭は後継者不足、土日の祭礼に変わるかもしれない点、屋台の修繕費。
岸和田だんじり祭はだんじりの維持の経済負担、参加者の減少と意識の変化、祭礼組織の関係が変わってきている点。
ねぷた祭りは新しいものを取り入れられていない点、主催団体と参加団体が肩を並べ実行委員会形式で運営するようになってきている点。
③『祭りの年輪』では、「伝承の妨げになっている最大の理由は「人がいない」ということである。」と述べられている。
「民俗芸能を伝承する地域に人がいなくなった」理由は「民俗芸能を伝承していた地域から人々が都市へと移動してしまった」と説明されている。
「地域には人がいるのに伝承者になってくれない」理由は「「仕事人間」と呼ばれるような人が増加し」、「今の生活ではとてもその伝承活動をやってる時間はない、というようになっているのである。」と説明されている。もう1点「〈信仰行事として守ろうとする意識〉と、仕事も違うのだから同じ地域に住んでいてもなかなか交流することができないから、〈全員参加型の地域交流の場にしようという意識〉がぶつかることがある。」とも述べられている。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 年中行事.祭礼 (386 9版)
- 参考資料
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①大石始『ニッポンのマツリズム』アルテス パブリッシング, 2016, 284p. 参照はp.274-277.
②山田浩之『都市祭礼文化の継承と変容を考える』ミネルヴァ書房, 2016, 263p. 参照はp.245-254.
③大石泰夫『祭りの年輪』ひつじ書房, 2016, 270p. 参照はp.240-243.
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①大石始『ニッポンのマツリズム』アルテス パブリッシング, 2016, 284p. 参照はp.274-277.
- キーワード
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- 祭り
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- M2021112516002715100
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 全年齢
- 登録番号
- 1000312533