レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020年10月05日
- 登録日時
- 2022/08/05 17:51
- 更新日時
- 2023/07/10 10:51
- 管理番号
- ASN2020-12
- 質問
-
解決
日本語における呼称について知りたい。
特に「家族の中で一番若い人の視点で呼ぶ」というルールについて、詳しく知りたい。
【情報源】
【★1】『日本人の知らない日本語 : なるほど〜×爆笑!の日本語"再発見"コミックエッセイ 2』
p.136 「家族の中で一番若い人の視線で呼ぶ」がルール、という台詞がある
巻末に参考文献の掲載あり。(入手できなくて、確認できていない、とのこと)
- 回答
-
【★1】の参考文献から、鈴木孝夫氏の著作で論じられていることが分かりました。
また、その他にもこのテーマについて扱った図書や論文が確認できました。
詳細は回答プロセスを参照してください。
- 回答プロセス
-
1. 基本事項の確認
1-1. レファレンス資料 <分類:3673(家族心理学)、810(日本語)>
【★2】『事典家族』
p.486 「親族呼称」
親族名称が「親族関係を表す語彙」であるのに対し、親族呼称は「親族に呼びかける
場合に用いられる語彙」のこと。
子どもや孫に視点をおいて、親族名称が多少の変形を加えて呼びかけの呼称に
用いられることを、「テクノニミー」と言う。
p.624 「テクノニミー」
人に対する呼びかけや言及の仕方の一つで、子どもを軸にした呼称。
参考文献に『ことばと文化』(鈴木孝夫著 岩波書店 1973.5)が掲載。
【★3】『日本語教育ハンドブック』
「第7章 語彙 V.語彙と言語生活」
p.398 「2.親族名称と親族呼称」
以下の資料は該当情報を確認できなかった。
『日本語百科大事典』縮刷版(金田一春彦ほか編 大修館書店 1988 8103/KI42/ア)
1-2. JapanKnowkedge [契約DB]
「親族名称」(『日本大百科全書(ニッポニカ)』)
親族関係を表すことばで、相手をよぶ際に用いる呼称term of addressと、
相手に言及する際に用いる名称term of referenceがある。
「tek・non・y・my」(『小学館 ランダムハウス英和大辞典』)
テクノニミー:大人の名前を「…の父,…の母」のように,子供を軸にして決める慣習.
2. 図書から探す
2-1. 本学図書館の所蔵から探す
2-1-1. 情報源【★1】の参考文献を確認する
【★4】『ことばと文化』
p.161- 「六.人を表すことば 5.親族名称の虚構的用法 第二の虚構的用法」
"母親が自分の子を、「おにいちゃん」と言ったり、父親が、自分の父のことを、
「おとうさん」と言わず「おじいさん」と呼んだりするのが(中略)ここにあげた例に
見られる親族名称の使い方を、虚構的用法の第二種と呼ぶ。"
次の資料は当館に所蔵がないため、確認が必要。
『新明解国語辞典 第5版』(金田一京助 [ほか] 編 三省堂 1997.11)
『似た言葉使い分け辞典 : 正しい言葉づかいのための』(類語研究会編 創拓社 1991.3)
『日本語教師のためのQ&A』(泉原省二著 研究社 2009.11)
以下の資料は該当情報を確認できなかった。
『国語大辞典』(尚学図書編集 小学館 1981.12 8131/SH95)
『大辞林 第3版』(松村明編 三省堂 2006.10 8131/MA82/イ)
『日本語の世界1 日本語の成立 』(大野晋著 中央公論社 1980.9 8108/N773/1)
『日本語の世界6 日本語の文法』(北原保雄著 中央公論社 1981.9 8108/N773/6)
『大野晋の日本語相談』(大野晋著 朝日新聞社 1995.11 8104/O67-1)
『日本語の歴史』(山口仲美著 岩波書店 2006.5 イワナミシン/アカ/1018)
『日本語の歴史 : 青信号はなぜアオなのか』(小松英雄著 笠間書院 2001.10 8102/KO61-4)
『日本語は天才である』(柳瀬尚紀著 新潮社 2007.2 8104/Y56)
『初級を教える人のための日本語文法ハンドブック』
(庵功雄 [ほか] 著 スリーエーネットワーク 2000.5 815/I61)
『実践にほんご指導見なおし本, 機能語指導編』(K.A.I.T.編著 アスク 2003 8107/KA212/1)
『実践にほんご指導見なおし本, 語彙と文法指導編』(K.A.I.T.編著 アスク 2003 8107/KA212/2)
『みんなの日本語事典 : 言葉の疑問・不思議に答える』
(中山緑朗 [ほか] 編 明治書院 2009.6 810/N45)
『新しい国語表記ハンドブック 第5版』(三省堂編修所編 三省堂 2005 [当館所蔵なし])
※第5版は当館に所蔵がないため、第4版・第8版を確認。
2-1-2.【★4】の筆者の著書から探す
OPAC検索 https://cat.lib.aasa.ac.jp/drupal/
<著者名:鈴木孝夫>
同姓同名の著者もヒットする。
資料の請求記号を確認し、8分類(言語学; 810など)であることを手がかりに探した。
【★5】『教養としての言語学』
p.173-175 英語でも、親が小さな子供に向かって親族用語を自称として使い、
これをBaby talkと言うことを記載。
【★6】『鈴木孝夫言語文化学ノート』
p.151-189 「第3部 親族名称をめぐって」
親族名称や、テクノニミーについて詳しく記載されている。
【★7】『鈴木孝夫の曼荼羅的世界 : 言語生態学への歴程』
p.118-119 「日本語の自称詞 三、日本人が自分・相手を指すことば」
など
2-1-3. その他のキーワードで探す
OPAC検索 https://cat.lib.aasa.ac.jp/drupal/
<キーワード:家族呼称、親族呼称、家族 呼称、親族 呼称、家族関係、家族心理、
家族社会、テクノニミー など>
【★8】『家族内呼称の心理学 : 集団の構造と機能への呼称の関与』
家族内の社会的接触を呼びかけ方の観点から心理学的に検討している資料。
p.28-31 「2章 本研究の目的 3節 家族内呼称と家族関係」
参考文献に【★4】が掲載。
以下の資料は該当情報を確認できなかった。
『新しい家族関係学』(長津美代子,小澤千穂子編著;井田瑞江[ほか]共著 建帛社 2014.7 3673/N24)
『テキストブック家族関係学 : 家族と人間性』
(山根常男,玉井美知子,石川雅信編著 ミネルヴァ書房 2006.3 3673/Y36)
『よくわかる家族心理学』(柏木惠子編著 ミネルヴァ書房 2010.2 3673/KA77-4)
『論点ハンドブック家族社会学』(野々山久也編 世界思想社 2009.3 36163/N95)
2-1-4.書架をブラウジング <分類:80*(言語)、81*(日本語)>
【★9】『日本語は「空気」が決める : 社会言語学入門』
【★10】『知っているようで知らない日本語のルール』
p.18-21「夫なのに「お父さん」?妻なのに「お母さん」?」
一番下の子どもの立場で呼び合う例を挙げているが、詳細な解説はなし。
【★11】『ことばを調べる』
p.41-66「3 呼び方・呼ばれ方」
親族の呼び方、自称との関係、親族呼称の広がりと実態など
以下の資料は該当情報を確認できなかった。
『日英語に見るもののとらえ方』(嶋村誠著 関西学院大学出版会 2014.3 801/SH39)
『不明解日本語辞典』(高橋秀実著 新潮社 2015.11 8104/TA33)
『社会構造と言語の関係についての基礎的研究1,2,3』
(渡辺友左 [著] 国立国語研究所 1970.2 814/W46-1/1-3)
『『言語』セレクション1,2,3』
(大修館書店月刊『言語』編集部編 大修館書店 2012.5 804/TA24/1-3)
2-2. 出版されている図書から探す
<キーワード:家族呼称、親族呼称、家族 呼称、親族 呼称、家族関係、家族心理、
家族社会、テクノニミー など>
(a) Webcat Plus 連想検索 http://webcatplus.nii.ac.jp/
江戸期前から現代までに出版された図書を網羅的に検索できるデータベース。
詳細画面で目次や内容の概要を確認できることがある。「連想検索」と「一致検索」がある。
連想検索:思いつきのキーワード、文章から、条件に近い資料を検索。
一致検索:キーワードに一致する資料を検索。
(b) CiNii Books https://ci.nii.ac.jp/books/
全国の大学図書館等が所蔵する本(図書・雑誌)の情報を検索できる。
<検索結果例>
*次の資料は当館に所蔵がないため、確認する必要がある。
【★12】『対人呼称』(長田徳三著 文芸社 2000.6)
親族に対する呼び方を図や表も含めてわかりやすく紹介。
呼称一覧表、家譜表族について、従兄弟姉妹、表兄弟姉妹、内、外、表について、
姪=姪子、姪女、甥=甥子、甥女、舅、舅父、姑、姑母について、両親の親兄弟姉妹
婚、姻について、夫家・妻家に対する呼称〔ほか〕
※Webcat Plusより、書籍の紹介文、目次を参照。
など
3. 論文から探す
3-1. CiNii Articles https://ci.nii.ac.jp/ ※2022年4月~CiNii Researchに移行
<キーワード:日本 家族 呼称, 日本語 親族 など>
*参考文献にも注目する。
【★13】セペフリバディ アザム"現代日本語における家族に呼びかける際の呼称表現
: 世代差と性差を中心に"[PDF]
家族の会話の中での認証表現の使い分けに注目し、その変化について調査、考察した論文。
p.60「この事例は、鈴木孝夫の説「日本の家族内で、目上の者が目下の者に直接話しかかるときは、
家族の最年少者の立場から、その相手を見た親族名称を使って呼びかけることができる」
(鈴木孝夫:pp.147-4175)ことを裏付けるものである。」
p.69「日本語の親族呼称の特徴のまとめ」
【★14】平松 希望 "一人称と家族呼称 : 日本語の人称代名詞の現在を日本語教育実践へ取り入れる"[PDF]
【★15】谷 泰"日本語の家族内呼称での最年少者について
:「呼称選択行動の方法論的考察」批判へのリプライ"[PDF]
p.315「家族内における名称附与はなぜ最年少者に視点をあわせるか」
(吉岡・斎藤、1981:384頁6行目以下)」
【★16】小島 衛"日本語親族名称の前提条件 : テクノニミーとオイコニミー"[PDF]
日本語とフランス語の親族名称の比較。どちらも年少者に合わせた親族名称を使う。
参考文献に【★4】【★6】が掲載。
【★17】林 史典"日本語の親族名詞と親族呼称
(国際比較言語文化論 家族の呼び方に現れる心理と文化)"[本学所蔵]
など
4. 【★13】の参考文献より
4-1. 図書
【★18】『ことばの社会心理学』
p.65-76「2.3 ひとの呼び方」 親族内や親族外の呼称の体系について解説、鈴木孝夫の説を紹介。
【★19】 『ことばの社会心理学, 第4版』
p.55-64「2 人の呼び方」でも同様の情報を確認できる。
【★20】『ことばと社会』
p.44-66「日本人の言語意識と行動様式:人間関係の把握の様式を中心として」
次の資料では該当する情報を確認できなかった。
『ことばの人間学』(鈴木孝夫 新潮社 1981 8104/SU96)
『社会言語学への招待 : 社会・文化・コミュニケーション』
(田中春美,田中幸子編著 ミネルヴァ書房 1996 80103/TA84)
4-2. 論文
【★21】国広哲弥"「呼称」の諸問題"[本学所蔵]
鈴木孝夫氏の説に対し、なぜそうなのかを考察している。
以上
<Web最終確認日:2020/10/12>
- 事前調査事項
- NDC
-
- 日本語 (810 10版)
- 言語学 (801 10版)
- 家族問題.男性.女性問題.老人問題 (367 10版)
- 参考資料
-
-
【★1】蛇蔵, 海野凪子 著 , 蛇蔵 , 海野, 凪子. 日本人の知らない日本語 2. メディアファクトリー, 2010.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000010715696-00 , ISBN 9784840131940 (当館請求記号:8104/H15/2) -
【★2】比較家族史学会 編 , 比較家族史学会. 事典・家族. 弘文堂, 1996.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002482808-00 , ISBN 4335550669 (当館請求記号:3673/H57/A) -
【★3】日本語教育学会 編 , 日本語教育学会. 日本語教育ハンドブック. 大修館書店, 1990.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002108071-00 , ISBN 4469012297 (当館請求記号:8107/N77-2/B) -
【★4】鈴木孝夫 著 , 鈴木, 孝夫, 1926-2021. ことばと文化. 岩波書店, 1973. (岩波新書)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001259686-00 (当館請求記号:801/SU96) -
【★5】鈴木孝夫 著 , 鈴木, 孝夫, 1926-2021. 教養としての言語学. 岩波書店, 1996. (岩波新書)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002545142-00 , ISBN 4004304601 (当館請求記号:801/SU96-2) -
【★6】鈴木孝夫 著 , 鈴木, 孝夫, 1926-2021. 鈴木孝夫言語文化学ノート. 大修館書店, 1998.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002688460-00 , ISBN 4469212199 (当館請求記号:804/SU96-2) -
【★7】鈴木孝夫 著 , 鈴木, 孝夫, 1926-2021. 鈴木孝夫の曼荼羅的世界 : 言語生態学への歴程. 冨山房インターナショナル, 2015.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I026563741-00 , ISBN 9784905194941 (当館請求記号:804/SU96-1) -
【★8】横谷謙次 著 , 横谷, 謙次. 家族内呼称の心理学 : 集団の構造と機能への呼称の関与. ナカニシヤ出版, 2014.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I025255103-00 , ISBN 9784779508103 (当館請求記号:3673/Y78) -
【★9】石黒圭 著 , 石黒, 圭. 日本語は「空気」が決める : 社会言語学入門. 光文社, 2013. (光文社新書 ; 643)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I024408140-00 , ISBN 9784334037468 (当館請求記号:80103/I73) -
【★10】佐々木瑞枝 著 , 佐々木, 瑞枝, 1942-. 知っているようで知らない日本語のルール. 東京堂出版, 2018.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I028760970-00 , ISBN 9784490209808 (当館請求記号:810/S75) -
【★11】榎本正嗣 編著 , 榎本, 正嗣, 1953-. ことばを調べる. 玉川大学出版部, 2003.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000004144157-00 , ISBN 4472402939 (当館請求記号:804/E63) -
【★12】長田徳三 著 , 長田, 徳三, 1921-. 対人呼称. 文芸社, 2000.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002886581-00 , ISBN 4835503082 (当館所蔵なし) -
【★13】セペフリバディ, アザム , セペフリバディ, アザム. 現代日本語における家族に呼びかける際の呼称表現 : 世代差と性差を中心に. ココ出版, 2012-07. 一橋日本語教育研究 1 p. 61-72
https://hdl.handle.net/10086/25452 (PDF) -
【★14】平松, 希望 , Nozomi, Hiramatsu , 平松, 希望 , Nozomi, Hiramatsu. 一人称と家族呼称 : 日本語の人称代名詞の現在を日本語教育実践へ取り入れる. フェリス女学院大学国文学会, 2011-12. 玉藻 46 p. A67-A80
http://id.nii.ac.jp/1404/00001293/ (PDF) -
【★15】谷 泰. 日本語の家族内呼称での最年少者について : 「呼称選択行動の方法論的考察」批判へのリプライ. 1981. 民族學研究 46(3) p. 315-329
https://doi.org/10.14890/minkennewseries.46.3_315 (PDF) -
【★16】小島, 衛 , 小島, 衛. 日本語親族名称の前提条件 : テクノニミーとオイコニミー. 成城大学大学院文学研究科ヨーロッパ文化専攻, 2019-03-31. エウローペー 26 p. [3]-16
http://id.nii.ac.jp/1109/00005396/ (PDF) -
【★17】林 史典 , 林 史典. 日本語の親族名詞と親族呼称. 2012. (国際比較言語文化論 家族の呼び方に現れる心理と文化) 聖徳大学言語文化研究所論叢 / 聖徳大学言語文化研究所 編 20 p. 369- 375
https://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I024615159-00 (当館請求記号:Kせ) -
【★18】岡本真一郎 著 , 岡本, 真一郎, 1952-. ことばの社会心理学. ナカニシヤ出版, 2000.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002894920-00 , ISBN 4888484562 (当館請求記号:80104/O42) -
【★19】岡本真一郎 著 , 岡本, 真一郎, 1952-. ことばの社会心理学 第4版. ナカニシヤ出版, 2010.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000011029625-00 , ISBN 9784779504662 (当館請求記号:80104/O42/イ) -
【★20】鈴木孝夫 著 , 鈴木, 孝夫, 1926-2021. ことばと社会. 中央公論社, 1975. (中公叢書)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001270207-00 (当館請求記号:80103/SU96) - 【★21】国広哲弥. 「呼称」の諸問題. 1990. 日本語学 9(9) p. 4-7, ISSN 02880822 (当館請求記号 に)
-
【★1】蛇蔵, 海野凪子 著 , 蛇蔵 , 海野, 凪子. 日本人の知らない日本語 2. メディアファクトリー, 2010.
- キーワード
-
- 家族呼称
- 親族呼称
- テクノニミー
- 鈴木孝夫
- 家族関係
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 呼称
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000319713