レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2010年10月27日
- 登録日時
- 2010/11/30 14:52
- 更新日時
- 2011/02/10 17:28
- 管理番号
- 2010-048
- 質問
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解決
谷崎潤一郎『吉野葛』の中の一節「仏典中にある菴摩羅果(あんもらか)」を調べている。
「菴摩羅果」はマンゴーのことなので、仏典に出てくる植物(果実)について載っている本(ツール)が知りたい。
- 回答
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回答プロセスをご参照下さい。
- 回答プロセス
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『仏教大辞彙』(冨山房, 1914-)第1巻 p.104に「アンマラカ 菴摩洛迦」あり。
「菴沒羅」の項に「経論中には・・・・・・掌中の菴沒羅果の如しといへり」といった記載がある。また、
「梵名類似のもの数種ありて、彼此混同せられ、其解説も區々にして判別し難きもの多し」とも記されている。
『望月仏教大辞典』増訂版(世界聖典刊行協会, 1954.5-1957.3)第1巻の「アンモラジュ 菴沒羅樹」の項に「『阿摩勒』参照」とある。
「アマロクジュ(「阿摩勒樹」)」の項を見ると、「玄應音義第八に『・・・正しくは菴摩羅果と言ふ」という記述がある。
→「玄應音義」の第八に「菴摩羅果」についての記述が掲載されていると考えられる。
「玄應音義」をJapanKnowledge+で検索→「中国、唐の玄応編著の『一切経音義』のこと。六四九年、玄応が大乗および小乗の典籍四四九部から難解な字句を抜き出し、サンスクリット音も参照しながら、これに注釈を施したもの。二五巻。」[日本国語大辞典]
『一切経音義』とは「一切経に収められている経典の語句の発音と意味を解説した書物」[日本国語大辞典]
「玄應音義」「一切経音義」をDOORSで検索
→『一切經音義』上中下巻(汲古書院 , 1980.11-1981.7)※同志社女子大図書館所蔵
『一切經音義三種校本合刊』(上海古籍出版社 , 2008)※同志社大学言語文化教育研究センター所蔵
をご紹介。
尚、「菴摩羅果」を東京大学大藏經テキストデータベース研究会「大正新脩大藏經テキストデータベース」(http://21dzk.l.u-tokyo.ac.jp/SAT/ddb-sat2.php[参照 2010-11-30])で検索したところ、33件ヒット。
どの仏典のどこに「菴摩羅果」が出てくるかを探すことができる。
- 事前調査事項
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谷崎潤一郎『吉野葛・盲目物語』(新潮文庫, 1951)注解に
「菴摩羅果 サンスクリット(古代インド語)でマンゴーのこと」とある。
『日本国語大辞典』「あんまら‐か[:クヮ] 【菴摩羅果】」の項に
「マンゴー(の果実)。あんもらか。あんらか。*大唐西域記‐八「阿摩落迦。印度薬果之名也」*大経疏「菴摩羅果、、形如〓本国夏梨〓」
とあったので、「西域記」を調べてみたが、字が違っていた。
- NDC
- 参考資料
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- 『仏教大辞彙』龍谷大學編纂(冨山房, 1914-) (大今図 参考室 180.3||B6||1~7)
- 『一切經音義三種校本合刊』 徐時儀校注 ; 畢慧玉 [ほか] 助校(上海古籍出版社 , 2008) (言語文化教育センター 第二外国語 183||J9342||1)
- 『一切經音義] [玄應撰] ; 小林芳規解題(汲古書院, 1980.11-1981.7 ) (同志社女子大図書館 開架811.2||K4||7~9)
- 『望月仏教大辞典』増訂版. 望月信亨編 ; 塚本善隆 [ほか] 編(世界聖典刊行協会, 1954.5-1957.3 ) (大今図 参考室 180.3||M2||1~10)
- 『図説佛教語大辞典』中村元編著(東京書籍, 1988) (大今図 参考室 180.3||Z)
- 『仏教大事典』(小学館, 1988) (大今図 参考室 180.3||B18)
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000074595