レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2024年01月26日
- 登録日時
- 2024/03/05 14:34
- 更新日時
- 2024/03/05 18:03
- 管理番号
- いわき総合-地域738
- 質問
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解決
いわき市小名浜の「神白(かじろ)」の地名由来について知りたい。
- 回答
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当館所蔵資料を調査したところ、以下のような記述や説が確認できました。
・この地域は、古くは「磐城郡 神城郷」であり、「神城」の字を「神白」に改めた説。
・「神城」の地名は、第13代天皇 成務天皇の時代に建許呂命(たけころのみこと)が国造に任ぜられ、この地に来たことが関連している説。
【資料①】『日本歴史地名大系 7』(平凡社 1993)
→p80「神城郷(かしろごう)」に「現いわき市小名浜と江名の間にある上神白・下神白を遺称地とする」、p120「上神白村」に「『和名抄』磐城郡の神城(かしろ)郷の遺称地とされる」の記述あり。
【資料②】『磐城市郷土誌資料集』(佐藤瑞枝 磐城市小中学校長会 1959)
→p9「和名抄と郷土」に以下の記述あり。
「神城郷(かしろ) 磐城郡神城郷にして、今小名浜、江名の両町にあたる小名浜と江名の間に、神白(かじろ)(江名町の字)あり、即ち是れ古名の残れるものである。『磐城志』に、『古名、今に存せり、当今神白の文字に用ゆ、城・白同訓を以て也。』と言い、又『大日本地名辞書』にも『かの山背を山城と改められしを証す』とある」
【資料③】『磐城市史資料集 第2集』(磐城市文化財調査委員会 磐城市教育委員会 1964)
→「村誌 下神白村」「上神白村」に以下の記述あり。
「本村古時磐前郡矢田郷ニ属ス(元神城ト云後世文字ヲ改神白トス年号干支不詳)」
【資料④】『郷土誌 江名小学校 明治44年(福島県訓令第34号)』(江名小学校 1932)
【資料⑤】『郷土誌 永崎小学校 [昭和7年(福島県訓令第2号)]』(永崎小学校 1932)
→「上神白」の項目に以下の記述あり。
「古時磐前郡矢田郷ニ属ス元神城ト云ヒシヲ後世神白ニ改メシト云フ」
「本村ハ和名抄国郡ノ部磐城神城トアルハ即チ神白ナリ 昔時人皇十三代成務天皇ノ御宇国郡ノ造長ヲ定メ賜ヒシ時 建許呂命岩城国造ニ任ゼラレ城廓ヲ構ヘ鎮座ノ地ナルヲ以テ地名ヲ神城ト称ケシモノナリト傳フルモ詳カナラズ」
【資料⑥】『磐城市の歴史』(高萩精玄 磐城市教育委員会 1966)
→p22~23「2 神白の山に二つの古墳」、p29~30「7 赤い猪が大あばれ」、p39~40「14 千年も前からある『かじろ』の地名」
※一部資料には、上記以外の説や、「神城郷」が現在の神白に重なるか(具体的にどの場所か)確定できないとする記述も確認できました。
【資料⑦】『いわき市史 第1巻』(いわき市史編さん委員会 いわき市 1986)
→p297「磐城郡の郷名」に以下の記述あり。
「従来『地名辞書』の説を取り、小名浜、江名の中間にある神白に擬してカシロと読ませたが、『城』の古訓はキ(城・柵)シキ(志岐・信貴・磯城)で、シロは山城国の特例があるが、これはヤマウシムの意で、城をシロと読むのは時代が下る」「確定した地帯は目下のところ定めがたい」
【資料⑧】『山口弥一郎選集 第3巻』(山口弥一郎 世界文庫 1972)
→p182~183「根岸、根小屋、舘」に以下の記述あり。
「上(下)神白等もカジロと読み、小城という程のものであったかと察しられる」
※【資料③】、【資料⑥】、【資料⑦】は「国立国会図書館デジタルコレクション」
(https://dl.ndl.go.jp/ja/)でも閲覧できます(送信サービスで閲覧可能・要ログイン)
- 回答プロセス
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・当館作成のパスファインダー「『いわきの地名由来』に関する資料の探し方」を参考に調査
(パスファインダーは当館ホームページまたはレファレンス協同データベース「調べ方マニュアル」で閲覧可能)
図書館ホームページ(https://library.city.iwaki.fukushima.jp/viewer/genre3.html?id=630)
調べ方マニュアル(https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=man_view&id=2000023359)
(最終アクセス:2024/1/31)・質問のあった地域はいわき市になる前は「磐城市」であったことから、磐城市関連の資料を調査。
なお、以下の資料には、由来に関する記述は確認できませんでした。
・『角川日本地名大辞典 7』[K-291-カ-・1114110735]
・『ふるさといわき抄』[K-291-タ-・1110092994]
・『地名の変化にみる、いわきの近代化』[K-291-チ-・1111966469]
・『ふくしまの地名を拾う』[K-291-サ-・1111938666]
・『東北・アイヌ語地名の研究』[K-290-ヤ-・1110091426]
・『地名語源辞典 [正]』[R-290.3-ヤ-・1110011689]
・『地名語源辞典 続』[R-290.3-ヤ-・1110012372]
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本 (291 9版)
- 参考資料
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日本歴史地名大系 第7巻 (福島県の地名). 平凡社, 1993.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002269418 , ISBN 4-582-49007-7 (K-291-ニ-・1110093240) -
磐城市小中学校長会 編. 磐城市郷土誌資料集. 磐城市小中学校長会, 1959.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000001-I07111100415338 (K-210.1-1-イ-・1110038757) -
磐城市文化財調査委員会 編. 磐城市史資料集 第2集. 磐城市教育委員会, 1964.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000039-I3041931 (K-210.1-1-イ-・1110038740) - 【資料④】『郷土誌 江名小学校 明治44年(福島県訓令第34号)』 (K-210.1-1-キ-MS-・1112111115)
- 【資料⑤】『郷土誌 永崎小学校 [昭和7年(福島県訓令第2号)]』 (K-210.1-1-キ-S-・1112073323)
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磐城市の歴史 : 中世まで. 磐城市教育委員会, 1966.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001105645 (AL-210.1-1-タ-・1112064280) -
いわき市史編さん委員会 編. いわき市史 第1巻 (原始・古代・中世). いわき市, 1986.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001849359 (K-210.1-1-イ-・1110038500) - 【資料⑧】『山口弥一郎選集 第3巻』 (-382.1-ヤ-3・1110379904)
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日本歴史地名大系 第7巻 (福島県の地名). 平凡社, 1993.
- キーワード
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- 地名由来
- 神白
- かじろ
- 小名浜
- 江名
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 郷土 地名
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000347038