レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023/07/19
- 登録日時
- 2023/12/01 00:31
- 更新日時
- 2024/03/30 00:43
- 管理番号
- M23071918241589
- 質問
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岡山県における医術開業試験の実施状況がわかる資料はあるか
- 回答
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①『岡山の医学』
p.89-91
「開業免状下付と開業試験」の項目に説明がある。明治9年1月に「内務省はこの試験を三府以外の地方県にも実施することを通達。これを受けて岡山県は二月、開業を希望する者は栄町病院において医術上二、三の軽易な問題を出して検査する旨の布令を出した。」とある。
また、従来開業の医師は、履歴明細書を提出すれば、その地方に限っての開業鑑札(開業免状)を交付されるが、明治10年10月30日までに提出しなかった場合、試験を受ける必要があった旨が説明されている。
試験科目は「物理学化学・解剖学・生理学・薬剤学・内科学・外科学の六科と、眼科・産科・口中科のうちの一科」が挙げられている。
医術開業免状の写真も付されている。
p.98
東大医学部卒業生だけが、開業試験を受けることなく開業免状を交付されていたが、「明治十五年四月、岡山県医学校の教官の陣容および県病院の内容がすぐれているという実績により、岡山県医学校卆業生は卆業と同時に開業免状が交付された。」とある。
②『岡山事物起源』
p.88-89
岡山県下では明治9年2月に実施されたこと、試験科目、従来開業していた医師の扱いについて、説明されている。
③『岡山県医師会史』
p.15
明治9年2月に「岡山県の布告を以て、開業出願のものに、岡山栄町病院(はじめ、医学館に併設したもので、後に中之町に移り、さらに明治六年栄町に移転した。後に岡山県病院となる。)に於て、簡単な医学試験をもって審査することとした。」とあり、従来の開業医の扱いについても説明されている。
④『明治前期高梁医療近代化史』
p.103-104
「明治九年一月十二日には内務省から各県に対して、「医師開業試験ヲセシム」(内務省達乙第五号各縣)よう通達が出された。試験内容と方式は各県に任せられた」とある。岡山県では、同年2月に検査する旨の布告が出されたこと、従来開業者の扱いについて説明されている。
⑤『岡山大学医学部百年史』
p.165-171
「岡山県医学校は、三医学士と一人の製薬士および別課卒業の数名の得業士を擁し、その教授陣営は地方医学校のなかでも、筆頭に属していた。そこで岡山県当局は、明治十四年十一月十日付で、岡山県医学校を卒業したものは、別に試験を要せず医師開業免状を取得することができるように、内務省へ次のごとき要請文を提出した。」とあり、要請文が掲載されている。これを受けて提出された、内務省から上部機関への伺書も掲載されている。
「この結果、翌明治十五年二月十七日の本省布達第四号をもって、岡山県医学校卒業生は開業試験を受けることなく開業免状を下付されることになった。」とあり、「本省布達第四号」が掲載されている。
「同年四月二十四日本校卒業生は別に試験を受けなくとも、直ちに開業免状が交付される許可を得た。この許可を得たのは全国の医学校中本校が最初であった。」とあり、これに関する県告示として「告示第四十九号」が掲載されている。また、医学新聞の広告「岡山県医学校特権下附ノ広告」が掲載されている。
「しかしながらこの医学校を何らかの原因で卒業できなかったものは、医術開業前期および後期試験をうけて合格して医師となった。」とあり、「岡山県医学校に学び、のち後期試験を受けた生田慎一郎氏の及第証の写し」が掲載されているが、生田氏は京都で試験を受けているようである。
p.209
「明治十七年四月十九日岡山区西の丸において第一回岡山県医師開業試験が行なわれることとなり、内務衛生局から御用掛後藤新平が出張してきた。中央の試験官とともに医学校、病院から清野勇、菅之芳、中浜東一郎、山形仲芸の四教諭が参加している。」とある。
⑥『岡山県政史 明治・大正編・昭和前期編』
p.288-289
「衛生関係岡山県布達(明治七~十三年)」が列記されており、「明治九・七・五 医術開業出願の者の試験を実施す」とある。
⑦『岡山県布達全書 明治9年 甲ノ部 第2』
6丁
「甲第十三号 二月四日」の布達において、明治9年1月12日に内務省より出された、医術開業試験に関する通達が載せられている。
77丁
⑥に掲載の医術開業出願の者の試験に関する布達が、「甲第八十八号 七月五日」として掲載されている。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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『日本医学教育史』坂井 建雄/編,東北大学出版会,2012.2
p.62-63
「最初の医術開業試験は一八七五[明治八]年に三府(東京、京都、大阪)で行われ、一八七八[明治一一]年にはほぼ全国で実施された。一八七九[明治一二]年には医師試験規則により、試験問題が内務省で選定され、全国で統一的な試験が行われるようになった。一八八三[明治一六]年に医師免許規則と医術開業試験規則が公布され、試験は前期と後期に分けられ、受検するためにはそれぞれ一年半以上の修学履歴が必要となった。」とあり、「一九〇六[明治三九]年の医師法によって医術開業試験の廃止が予告され、最終的に一九一六[大正五]年に廃止された。」とある。
- NDC
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- 医学 (490 9版)
- 参考資料
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①中山沃『岡山の医学』岡山 日本文教出版,1971,199p. 参照はp.89-91,98.
②吉岡三平『岡山事物起源』岡山 日本文教出版,1974,174p. 参照はp.88-89.
③岡山県医師会史編纂特別委員会『岡山県医師会史』岡山 岡山県医師会,1974,1308p. 参照はp.15.
④柴多泰『明治前期高梁医療近代化史』高梁 高梁医師会,1989,6,262p. 参照はp.103-104.
⑤岡山大学医学部百年史編集委員会『岡山大学医学部百年史』岡山 岡山大学医学部,1972,824p. 参照はp.165-171, 209.
⑥岡山県『岡山県政史 明治・大正編・昭和前期編』岡山 岡山県,1967,760p. 参照はp.288-289.
⑦岡山県『岡山県布達全書 明治9年 甲ノ部 第2』岡山 岡山県,116丁. 参照は6丁,77丁.
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①中山沃『岡山の医学』岡山 日本文教出版,1971,199p. 参照はp.89-91,98.
- キーワード
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- 医学教育-歴史
- 医学-歴史
- 岡山県-政治・行政-歴史
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- M2023071918201741589
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 全年齢, 高校生, 中学生
- 登録番号
- 1000342704