レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022年04月16日
- 登録日時
- 2023/03/01 11:16
- 更新日時
- 2023/03/03 13:52
- 管理番号
- 福参-1195
- 質問
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解決
お祝いの席でなぜ鯛が振舞われるのか知りたい。
- 回答
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◆参考資料1『現代用語の基礎知識2008』別冊付録「12か月のきまりごと歳時記」
p.36「鯛 見栄えのする姿、形、鮮やかな色合い、また、「めでたい」などの語呂合わせから祝いの席には欠かせない魚の王。(中略)天然真鯛は、必ず雄雌が一対で暮らし、片方が先に死んでも生き残った方は一生涯、別の相手を探すことはないと言われており、縁起物として昔からお祝いごとに用いられてきた。(以下略)」の記述あり。
◆参考資料2『物語 食の文化』
p.51-52「タイ(鯛)は沿海魚の代表で古代から愛好された。『万葉集』に「醬(ひしお)酢に/蒜(ひる)搗きかてて鯛願う/われにな見えそ/水葱(なぎ)の羹(あつもの)」とあり、タイはご馳走であった。(中略)室町時代にコイに代わって最高級の魚になった。以来江戸を通じて「めでたい」魚として、格式の高い祝い魚であった。(以下略)」の記述あり。
◆参考資料3『ニッポンの縁起食』
p.59「(前略)鯛は大位(たいい)、鯉は小位(こい)に通じるとして魚の位取りをも考えた日本人。特に鯛は「めでたい」に通じるという言霊信仰も手伝って、「腐っても鯛」などと、その値打ちを昔から讃じてきました。尾頭付きの鯛の塩焼きは祝い膳にふさわしく、表身に傷をつけないように姿そのままを尊重します。(以下略)」の記述あり。
◆参考資料4『鯛』
p.55「鯛が日本人に好まれてきた理由の一つと考えられる、鯛のなみなみでない美しい赤い色のもつ意味について、少し掘り下げて考えてみよう。(中略)赤は周代の中国で貴ばれた色字でもあった。赤を二つ並べた「赫」は、燃える火のように勢いさかんにあかあかと輝くことであるし、赤子(かけがえのない赤ん坊・天子)、赤心(まごころ)、赤実(うそのないまことの心)、赤烏(赤いカラス・瑞兆)、赤誠(まごころ)……などと、赤は積極的な良い意味に使われる色であった。(中略)同じく赤い色を表す「丹」(タン)も、丹心(まごころ)、丹精(心をこめてていねいにする)、丹書(天子の詔勅)と、良い意味に使用された。深い赤色とされた「朱」や、明るい赤色の「緋」も、濃い赤の「紅」も、高貴な色とされ、身分の高さを示すものであって、朱夏、朱門(高官・功績のある人の家)、朱顔(美人の顔)などと、吉祥を示す意味に使われてきた。」
p.56「赤は邪を払う神聖な色でもあった。(中略)わが国の郷土玩具の真っ赤に塗られた「赤もの」にこめられた意味にも通じる。お稲荷さんや天神さんの朱塗りの鳥居もまた同様である。(中略)もしかすると、古代のわが国(の支配階級)には、赤い色への傾倒が、本家の中国よりも強かったのかもしれない。それも赤い魚・鯛への信仰的な嗜好につながったのかもしれない。今日でも、慶祝事を現わす色はほとんど赤、または紅白であるし、長寿の象徴も高位の僧侶の衣も赤である。赤はとにかくめでたい色として扱われている。赤い鯛も、慶祝の象徴、めでたい印とされてきた。」
p.58「武士階級が勢力を得た鎌倉時代以降に、鯛がとくに珍重されるようになったのは、その美々しい体色と、堅くて強い筋肉、武具を身につけたような鋭いひれと堅い大きな鱗、頑丈で大きな頭部、大きな眼をした精悍な顔つきなどが、右に述べたような勢いのある縁起のよい赤色に重ねられてきたからであるという。鯛が「めでたい」に通じるなどという、わが国でだけ通ずる考え方も、鯛信仰に拍車をかけたのかもしれない。(中略)「鯛」と「めでたい」の関係ができたのは、室町時代以来のことであるという。」
の記述あり。
◆参考資料5『祝いの食文化』
p.3「鯛がめでたい魚ととして祝儀の膳に用いられるのは、「めでたい」の「たい」に通じるからと一般にいわれているが、語呂(ごろ)合わせだけのことではなく、日本人にとって鯛が魚の中で姿・色・味が最も優れていると感じられるからであろう。祝膳には味だけではなく、姿や色のみごとさも必要である。(以下略)」の記述あり。
◆参考資料6『日本の風俗の謎』[正]
p.72「日本人はものの形や色、あるいはゴロ合わせ的な言葉で縁起(えんぎ)を喜ぶ習性をもっています。なかでも形の完全なものにたいしては、非常な喜びをあらわします。(中略)日本料理に出てくる尾頭付きなどは、頭から尾まで完全にそろっているということで縁起のいいものになるわけです。完全ということは、終わりを全うし、人生を全うしうる象徴なのです。お祝いなどの席で、食べる必要もない魚の頭や尾が卓上にならべられるのは、こうした完全さによって人を祝福するという意味があるのです。ところで尾頭付の代表は、なんといっても鯛ですが、鯛は「めでたい」のたいに音が通じます。しかも色が赤である。赤は日本人にとって、太陽の色として非常にめでたいイメージをもっているのです。そのうえ、焼いて形がくずれにくい、こうしたことから、鯛が尾頭付きの象徴になりました。(以下略)」の記述あり。
◆参考資料7『雑学おもしろ読本』
p.219「(前略)鯛(たい)は味もよいということもありますが、姿形や色、名前などからお祝い料理の筆頭にあげられている魚です。ピンと張った頭や尾の生きのよさ。鮮やかな赤い色は祝福の色。そして名も「めでたい」に通じる鯛。ここから、鯛は「魚の王」と呼ばれ、お祝い料理のチャンピオンの座を占めるようになりました。そして、尾頭付きであるのは、切ったり、壊れたりしたものは縁起が悪く、頭から尾まで完全で欠けていない、つまり、すべてそろっているという縁起をかついでいるわけなのです。(以下略)」の記述あり。
- 回答プロセス
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キーワード「食文化」「食生活」「縁起食」にて自館検索および関連書架をブラウジング。
①参考図書で調べる。
参考資料1が見つかる。
②一般図書を調べる。
参考資料2-7が見つかる。
- 事前調査事項
- NDC
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- 衣食住の習俗 (383 10版)
- 参考資料
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- 1.現代用語の基礎知識 2008//自由国民社/2008.1/813/7R/1 (別冊付録「12か月のきまりごと歳時記」p.36)
- 2.物語 食の文化/北岡 正三郎/著/中央公論新社/2011.6/383/8/630 (p.51-52)
- 3.ニッポンの縁起食/柳原 一成/著,柳原 紀子/著/日本放送出版協会/2007.6/383/8/485 (p.59)
- 4.鯛/鈴木 克美/著/法政大学出版局/1992.10/487/76/1 (p.55-56,58)
- 5.祝いの食文化/松下 幸子/著/東京美術/1991.2/383/8/152 (p.5)
- 6.日本の風俗の謎 [正]/樋口 清之/著/大和書房/1984.12/382/1/S128 (p.72)
- 7.雑学おもしろ読本/日本社/編/日本社/1981.6/049//107 (p.219)
- キーワード
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- 食生活
- 食文化
- 縁起食
- 風俗
- 鯛
- めでたい
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 一般
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000329473