レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 20190522
- 登録日時
- 2019/06/08 00:30
- 更新日時
- 2019/09/25 11:45
- 管理番号
- 0401000805
- 質問
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未解決
潜水艦の攻撃目標について 太平洋戦争下において、大日本帝国の潜水艦は、より大きな戦艦を優先的に攻撃対象としており、商船などは攻撃をしなかったという。
①一説によると、より大きな艦隊にはより多くの階級の高い士官たちが乗船しているため、優先的に攻撃をしていたとされているが本当か?
②また、潜水艦の正しい運用方法を理解できていなかったことが、日本の敗戦の原因のひとつになっているというのは本当か?
- 回答
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以下のような情報が見つかった。
『伊四〇〇型潜水艦最後の航跡 上巻』より
①軍艦を優先的に攻撃する理由に対しては、大艦主砲主義による、戦艦の撃沈を最優先とする考え方があったためであるとされている。戦略的に重視したのは軍艦であり、商船破壊ではなかった。
また、ロンドン海軍軍縮会議の影響もある。潜水艦は商船に対して、沈没に先立ち、乗員をボートなどの安全な場所に避難させることが決まっていた(第二十二条項)。このため、乗員が退艦するまで無防備の状態になることや、水中からの不意打ちを得意とする潜水艦の長所が失われるなど、潜水艦は大きな制限を受けていた。
『日本海軍潜水艦物語』より
②日本海軍は大艦主砲主義、艦隊決戦主義に固執するあまり、潜水艦を使用した国家総力戦に対する認識が欠如しており、潜水艦を輸送に使用するなど、使用法を誤ったことが惨敗につながったとされている。
『海上自衛隊潜水艦建艦史』より
また、太平洋艦隊司令長官チェスター・ニミッツ提督は、「古今東西の戦争史において主要な兵器がその真の潜在威力を把握理解されずに使用されたという稀有の例を求めるとすれば、それはまさに第二次大戦における日本潜水艦の場合であろう」と提言している。
- 回答プロセス
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蔵書検索でキーワード「潜水艦」で検索をし、数冊の資料を調べた。
利用者が言われる内容の記述は無かったが、潜水艦が戦艦を優先的に攻撃する理由や、潜水艦を有効的に運用できなかったことが、敗戦の理由の一つである記述もあった。
『伊四〇〇型潜水艦最後の航跡 上巻』の巻末には、参考文献として資料が記載されており、その中に『昭和戦争文学全集 8』内の『伊58潜帰投せり』も含まれていた。
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
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- 伊四〇〇型潜水艦最後の航跡 上巻,ジョン・J.ゲヘーガン/著,草思社,2015.7 (p169-171(潜水艦と商船について)|0141463802|/556.9/ゲ/1)
- 海上自衛隊潜水艦建艦史,勝目 純也/著,イカロス出版,2014.5 (p203(ニミッツ元帥の提言の抜粋)|0141483222|/556.9/カ/)
- 日本海軍潜水艦物語,鳥巣 建之助/著,光人社,2002.6 (p98-99(②に関する記述)|0118166222|/391.2/ト/)
- 昭和戦争文学全集 8,昭和戦争文学全集編集委員会/編,集英社,1964.10 (p443(潜水艦の攻撃目標について)|0111494928|/918.6/シ/)
- キーワード
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- 潜水艦
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000257123