レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023/04/07
- 登録日時
- 2023/12/12 00:30
- 更新日時
- 2023/12/12 10:43
- 管理番号
- 光が丘-R1005308
- 質問
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解決
古代ユダヤ人の帽子はどのような恰好をしているのかを調査したい。
古代日本におけるユダヤ人渡来説が正しいのか、一つの判断材料として知りたい。
また、姫塚古墳から出土した埴輪の帽子の形状から、鷹匠であると指摘がされているようである。古代日本における鷹匠の帽子の形態から、彼らがユダヤ人であるという指摘ができるのかも併せて知りたい。
- 回答
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●『図説 服装の歴史 上』アドルフ・ローゼンベルク/著 国書刊行会 2001年 ISBN4-336-04086-9 p.43 に「ユダヤ人たちは「偶像をつくらなかった」ため、古代ヘブライ人の服装史データは乏しい。」と記載あり。p.42図では特定の帽子の形態は描かれておらず、「一般的なヘアバンドの他に縁なし帽も被られていた。」という記述がある。
●上記資料の続く内容に『西洋服装史』ブーシェ/著 文化出版局 1961年 p.54,76を参照した内容記載があるが、資料なし。1973年版が国立国会図書館デジタルライブラリーで閲覧が可能だが、該当ページにはヘブライ人の項目がなく、また他ページにも掲載がなかった。
●『図説ユダヤ教の歴史』市川裕/編著 河出書房新社 2015年 ISBN978-4-309-76230-2 には、帽子の言及は見つからなかったものの、カール大帝(8-9世紀)の伝記作家の年代記の記載・図(p.26)があり、通訳として同行したユダヤ人、およびユダヤ商人の図から、三角帽を被っている絵が確認できる。
●『鷹匠の技とこころ』大塚紀子/著 白水社 2011年 ISBN978-4-560-08169-3 p.18-19には、日本の鷹狩の起源(「日本書紀」より355年)および「鷹狩が渡来文化の一つであり、天皇や皇族が行う遊猟」という記載、当時の鷹匠の姿として、群馬県太田市オクマン山古墳から出土した鷹匠埴輪の記載、写真が掲載されている。
●『デジタル技術でせまる人物埴輪』城倉正祥/著 吉川弘文館 2017年 ISBN978-4-642-08310-2 では、姫塚古墳から出土した埴輪についての詳細図あり。
質問者が指摘している埴輪についても言及があり、これは武人の埴輪であること、全方位画像(p.62)から、帽子だけでなく、兜や王冠のような形状の物である(後方部がおおわれていない)ことが確認できる。
●『歴史発掘 4 古代の装い』春成秀爾/編 講談社 1997年 ISBN4-06-265104-1 p.10,11 に、千葉県姫塚古墳から出土した土偶の写真があり、「あごヒゲを伸ばした長老」(六世紀後半)と説明文あり。
●『歴史発掘 9 埴輪の世紀』高橋克寿/著 講談社 1996年 ISBN4-06-265109-2
p.38 「鷹匠(部分) 高140.5㎝ 六世紀末 群馬県オクマン山古墳」と説明文のついた写真あり。
p.55 帽子をかぶっている埴輪「大帯を着けた男子」六世紀後半
p.79 【冠帽の埴輪】についての記載あり。
p.89 姫塚古墳から出土した埴輪の写真あり。説明文には「貴人 六世紀後半」とあり、下げみずらは高貴な人の髪型であることが記載されている。
●『図説はにわの本』群馬県立歴史博物館友の会/編集 群馬県立歴史博物館友の会 1996年 ISBN4-8087-0632-6 p.63 「鷹を使う男子」の写真(太田市オクマン山古墳)および「人物埴輪のかぶり物」の記載あり。帽子、下げみずらは確認できるが、髭はなし。
●『もっと知りたいはにわの世界』若狭徹/著 東京美術 2009年 ISBN978-4-8087-0854-2
p.34,35 王の儀礼の紹介ページに帽子の埴輪が複数掲載。
p.41 埴輪人のファッションというタイトルで、被り物が紹介されており、多彩な帽子の形があること、広い階層で被られていたことが指摘されている。
p.46 鷹を使う王者の紹介があり、豪華な装いから王や貴族の特権的な遊びであったことが指摘されている。オクマン山古墳出土の香庭の他に、群馬県伊勢崎市出土の埴輪の写真も掲載されており、帽子のような形状のものを身に着けているが、三角帽の風貌ではない。
p.48,49 権威と財力を示す王者の像として複数の帽子埴輪の写真が掲載されている。
●『埴輪』若狭徹/[著] KADOKAWA 2022年 ISBN978-4-04-400649-5
p.101 帽子についての記載あり。王の象徴、朝鮮半島で流行していた最新のファッションであった可能性の指摘がされている。
p.158,159 「鷹を使う首長」の説明、写真あり。高位の男子という解説あり。
p.182,183 「盛装の男」の説明、写真あり。姫塚古墳から出土した三角帽、下げみずら、長い顎鬚の埴輪についての解説。髭の男子埴輪は千葉県東部域に広がるとあり。
p.186 異国の装いの男という見出しで紹介。三角帽らしき装身具を身に着けているが、髭やみずらはない。渡来人との通説。
●『埴輪を知ると古代日本人が見えてくる』塚田良道/著 洋泉社 2015年 ISBN978-4-8003-0735-4
p.37 男性の被り物は多様であること、姫塚古墳出土の下げみずら、顎鬚の埴輪は男性であることの指摘。
p.82-85 鷹匠埴輪についての記載。馬飼との比較から、当時の鷹匠は動物を扱う職業をさすものではなく、鷹を腕に乗せた、鷹狩りに向かう豪族の姿であることが指摘されている。
p.99-101 被り物について記載あり。比較的新しい時期に流行していること、朝鮮半島にも被り物の埴輪が出土されており、中国本土や朝鮮半島からの影響があること、
p.117-119 埴輪の渡来人の記載あり。「頭髪もみずらに結わず、(中略)天冠をかぶっている」とあり。
●『遺跡から調べよう! 3』古墳時代 設楽博己/編著 童心社 2022年 ISBN978-4-494-01872-7 p.79 鷹飼人の埴輪写真あり。帽子は被っておらず、みずらが確認できる。
●『ユダヤと日本謎の古代史』M.トケィヤー/著 産業能率大学出版部 2013年 ISBN978-4-382-05695-4
p.42,43 日本の神官と古代ユダヤ僧侶の衣服について、「公的な立場でユダヤ人学者がこのような古代ユダヤ文化と、古代日本文化との類似点について比較研究をしたものは存在していなかった」とある。
P.62 「身につけるもの、衣料品についての注意深い研究はほとんど行われていない。(中略)現在知られている日本の最も古い衣服の形、つまり神代時代の衣服の形は、特に貴族が身につけた衣服は、古代の中近東の兵士が身につけていた衣服と良く似ている。これが完全にユダヤ的であるかどうかはわからないが、いずれにせよ、日本国家が創設されたころ、すでにシルクロードを通って中近東と東洋との接触は存在したであろうことは推定可能なのである。」とある。
p.140,141 「ユダヤ人たちは、どの時代においても当時の流行した衣服を身に着けるのが習慣であった。しかも、その時代における最も進歩した技術によってつくられた衣服を採用するのが当り前だったのである。(中略)そのために、外見的なものによってユダヤ人でないと断定することはできないのである。」とある。
●なお、下記著者については日ユ同化人説を唱えており、ユダヤ人埴輪の項目で検索するとほぼ同著者の著作が該当する。下記資料には埴輪について記載がある。
・『発見!ユダヤ人埴輪の謎を解く』田中英道/著 勉誠出版 2019年 ISBN978-4-585-22252-1
・『日本神話と同化ユダヤ人』田中英道/著 勉誠出版 2020年 ISBN978-4-585-22298-9
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
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- 図説服装の歴史 上 アドルフ・ローゼンベルク/著 国書刊行会 2001.11 383.1 4-336-04086-9
- 西洋服装史 フランソワ・ブーシェ/著 文化出版局 1973 383.1
- 図説ユダヤ教の歴史 市川裕/編著 河出書房新社 2015.3 199.2 978-4-309-76230-2
- 鷹匠の技とこころ 大塚紀子/著 白水社 2011.9 787.6 978-4-560-08169-3
- デジタル技術でせまる人物埴輪 城倉正祥/著 吉川弘文館 2017.5 210.32 978-4-642-08310-2
- 歴史発掘 4 講談社 1997.3 210.025 4-06-265104-1
- 歴史発掘 9 講談社 1996.3 210.025 4-06-265109-2
- 図説はにわの本 群馬県立歴史博物館友の会/編集 群馬県立歴史博物館友の会 1996.6 213.303 4-8087-0632-6
- もっと知りたいはにわの世界 若狭徹/著 東京美術 2009.4 210.32 978-4-8087-0854-2
- 埴輪 若狭徹/[著] KADOKAWA 2022.9 210.32 978-4-04-400649-5
- 埴輪を知ると古代日本人が見えてくる 塚田良道/著 洋泉社 2015.9 210.32 978-4-8003-0735-4
- 遺跡から調べよう! 3 設楽博己/編著 童心社 2022.1 210.025 978-4-494-01872-7
- ユダヤと日本謎の古代史 M.トケィヤー/著 産業能率大学出版部 2013.9 316.88 978-4-382-05695-4
- 発見!ユダヤ人埴輪の謎を解く 田中英道/著 勉誠出版 2019.10 210.32 978-4-585-22252-1
- 日本神話と同化ユダヤ人 田中英道/著 勉誠出版 2020.12 210.3 978-4-585-22298-9
- 図解世界5大宗教全史 中村圭志/[著] ディスカヴァー・トゥエンティワン 2016.6 162 978-4-7993-1868-3
- ハシディズム マルティン・ブーバー/[著] みすず書房 1997.3 199 4-622-05011-0
- 秦氏の謎とユダヤ人渡来伝説 坂東誠/著 PHP研究所 2016.6 210.3 978-4-569-76586-0
- 日本の歴史本当は何がすごいのか 田中英道/著 育鵬社 2015.2 210.1 978-4-594-07205-6
- ユダヤ教キリスト教イスラーム 菊地章太/著 筑摩書房 2013.12 165 978-4-480-06754-8
- ユダヤ人とユダヤ教 市川裕/著 岩波書店 2019.1 316.88 978-4-00-431755-5
- 宗教図像学入門 中村圭志/著 中央公論新社 2021.10 702.09 978-4-12-102668-2
- 顔の考古学 設楽博己/著 吉川弘文館 2021.1 210.25 978-4-642-05914-5
- 古代イスラエル宗教史 M.ティリー/著 教文館 2020.1 162.279 978-4-7642-7439-6
- 図説ユダヤ・シンボル事典 エレン・フランケル/著 悠書館 2015.9 199.033 978-4-903487-91-5
- <超図説>日本固有文明の謎はユダヤで解ける ノーマン・マクレオド/著 徳間書店 2004.7 210.3 4-19-861887-9
- 日本装身具史 露木宏/編・著 美術出版社 2008.3 383.3 978-4-568-40071-7
- アクセサリーの歴史事典 上 K.M.レスター/著 八坂書房 2019.1 383.3 978-4-89694-257-6
- 古代ユダヤ教 マックス・ウェーバー/[著] みすず書房 1985.9 199 4-622-01766-0
- 古代服飾の諸相 舘野和己/編 東方出版 2009.3 383.1 978-4-86249-141-1
- 埴輪と絵画の古代学 辰巳和弘/著 白水社 1992.6 210.32 4-560-02231-3
- 宗教学大図鑑 ドーリング・キンダースリー社/編 三省堂 2015.6 161 978-4-385-16231-7
- 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/ja/ 2023/12/06
- キーワード
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- 古代ユダヤ人
- ユダヤ人埴輪
- 姫塚古墳
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- その他
- 内容種別
- 資料提供(練馬区所蔵)
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000343285