レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018年12月08日
- 登録日時
- 2019/03/24 18:10
- 更新日時
- 2019/03/24 18:32
- 管理番号
- 千県中参考-2018-18
- 質問
-
解決
メイラード反応について知りたい。味噌や醤油の色、りんごを加熱したときの変化に関わっている。
化学の本に載っていないだろうか。現象を日頃から知っている料理人が知識を得るために読むようなわかりやすい本はないか。
- 回答
-
【資料1】~【資料5】の各分野の辞典類に記述がある。【資料6】~【資料9】は料理をする人に科学的な解説をした資料である。メイラード反応の結果褐変が起き、成分によってさまざまな香りが付く具体例が【資料5】、【資料6】に示されている。
【資料1】『総合調理科学事典』(日本調理科学会編 光生館 2006)
p498「メイラード反応」 加工食品の色の形成と同時に「好ましい香気(加熱香気と呼ぶ)」が生じる反応の特徴を重視している。食品保存の際に反応が過度に進行すると品質を損なうことや、栄養価の問題、生体内メイラード反応の問題などが記載されている。
【資料2】『化学辞典』(吉村壽次編集代表 森北出版 2009)
p1416「メイラード反応」 反応についての記載と「しょう油など食品の褐色化の原因の一つである」という記述がある。
【資料3】『環境・健康科学辞典』(日本薬学会編 丸善 2005)
p682「メイラード反応」 化学的な解説に加え、食品の褐変反応が「食パン、ビスケット、魚の照り焼きなどで嗜好性を向上させる場合もあるが、一般には白色ないし淡色であるべき食品の褐変は不都合」などの記載がある。
【資料4】『コツと科学の調理事典』(河野友美著 医歯薬出版 1996)
p437「メラノイジン」 メイラード反応(アミノカルボニル反応)からできる褐色の物質の特色について記載がある。
【資料5】『食料の百科事典』(五十嵐脩[ほか]編 丸善 2001)
p148-149「加熱香気」
食品素材に共存する糖、アミノ酸(たんぱく質)が、加熱によって単独の場合より速やかに反応することを「アミノ‐カルボニル反応(メイラード反応)」と呼び、加熱香気成分が発生する条件を解説している。「糖の分子のみがそのまま変化」した場合「甘いこげ臭」となり、分子によっては個性的なこげ臭を示すものなどがある。「ローストビーフなど肉の焙焼香」に寄与するチアゾール、チアゾリンなどを例示しているほか、「ストレッカー分解物」はアミノ酸の種類によって「花香、発酵臭、しょうゆ様、せんべい様」と多様な香気になることが書かれている。
【資料6】『お菓子「こつ」の科学 お菓子作りの「なぜ?」に答える』(河田昌子著 柴田書店 2013)
p62-63「「メイラード反応」――香りと色の魔術師」
p62に解説、p63には図「メイラード反応(アミノ‐カルボニル反応)」とアミノ酸ごとの加熱温度(100℃、180℃)による表「メイラード反応でできる生成物の香り」あり。
【資料7】『Cooking for Geeks 料理の科学と実践レシピ』(Jeff Potter著 オライリー・ジャパン 2011)
索引よりp145,201
p145「メイラード反応は、食欲をそそる香ばしい風味を食品に付け加える褐変反応だ。通常は加熱によって、アミノ酸とある種の糖類が分解して再結合し、何百種類もの化合物を生成することによって引き起こされる」として、温度等の条件を記載。
【資料8】『料理の科学 続2 素朴な疑問に再び答えます』(ロバート・L.ウォルク著 楽工社 2014)
p95-101「ブレイズ」という調理法についての記述の中にメイラード反応についての記載あり。さらにp101に「もう少し詳しく―――メイラード反応、カラメル化、酵素的褐変の違いは?」の小見出しあり。
【資料9】『「こつ」の科学 調理の疑問に答える』(杉田浩一著 柴田書店 1984)
索引「アミノカルボニル反応」よりp24「ムニエルは牛乳にひたす」
牛乳に浸す理由の一つとして「おいしそうなこげ色と香ばしい香りがつく」しくみを紹介。ケーキに加える牛乳についても同様とし、「ケーキの美しいこげ色は、ただ焼けこげただけの色ではありません」としている。
- 回答プロセス
-
・レファレンス協同データベースを「メイラード反応」で検索。
「京都の料亭「菊乃井」の主人が、海外で日本料理を作るときに、バナナ・鶏肉・蜂蜜で味噌の代替品を作るというテレビ番組を見た。糖分に砂糖ではなく蜂蜜を使う理由について、化学反応が関係があるとのことだったが、この反応について詳しく知りたい。」(https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000155363)より、【資料1】
・化学辞典を見る→【資料2】
・【資料1】【資料2】の記述より「褐変反応」というキーワードを得る。蔵書検索で全項目「褐変反応」より、未所蔵だが「食品学(498.51)」「食品化学(498.53)」関係の資料にも記載がありそうなことがわかり、書架をブラウジング。→【資料3】、【資料4】、【資料5】
・質問者から、百科事典に載っていないようだと申し出があり、索引確認。
『世界大百科事典 5 カウ-カヘチ』(平凡社 2007)p447「褐変反応」のなかに記載あり。「非酵素的褐変の代表的なもの」と書かれている。
・料理関係の出版社サイトを調査。
柴田書店(http://www.shibatashoten.co.jp/ ) フリーワードの検索ボックスから検索→【資料6】、『パン「こつ」の科学 パン作りの疑問に答える』(吉野精一著 柴田書店 1993)
旭屋出版(http://asahiya-jp.com/ ) 検索ボックスから検索→『科学が創造する新しい味』(未所蔵につき取寄せ)p102-103「覚えておきたい加熱の科学2 メイラード反応を使いこなす」
→巻末参考文献『料理と科学のおいしい出会い 分子調理が食の常識を変える DOJIN選書 59』(石川伸一著 化学同人 2014)(未所蔵)
・蔵書検索を全項目「料理 科学」で検索。
・googlebooksを「メイラード反応」で検索すると多数ヒットするが、健康関係の図書が多い。「メイラード反応 料理 科学」などで絞り込むと質問内容に合いそうなものが上位に表示される。
(インターネット最終アクセス:2019年1月16日)
- 事前調査事項
- NDC
-
- 食品.料理 (596 9版)
- 衛生学.公衆衛生.予防医学 (498 9版)
- 化学 (430 9版)
- 参考資料
-
- 【資料1】『総合調理科学事典』(日本調理科学会編 光生館 2006)(0105951766)<59603/5> (※書誌情報の後に当館資料番号()とその請求記号<>を記した(所蔵館が県立東部・西部の場合はその情報を記した)。以下同じ。)
- 【資料2】『化学辞典』(吉村壽次編集代表 森北出版 2009)(0106171821)<43033/10>
- 【資料3】『環境・健康科学辞典』(日本薬学会編 丸善 2005)(0105856631)<49803/9>
- 【資料4】『コツと科学の調理事典』(河野友美著 医歯薬出版 1996)(0105129841)<59603/3>
- 【資料5】『食料の百科事典』(五十嵐 脩[ほか]編 丸善 2001)(0105672680)<49851/26>
- 【資料6】『お菓子「こつ」の科学 お菓子作りの「なぜ?」に答える』(河田昌子著 柴田書店 2013)(1102335650)西部<59665/9>
- 【資料7】『Cooking for Geeks 料理の科学と実践レシピ』(Jeff Potter著 オライリー・ジャパン 2011)(2102451339)東部<596/106>
- 【資料8】『料理の科学 続2 素朴な疑問に再び答えます』(ロバート・L.ウォルク著 楽工社 2014)(2102671931)東部<49853/15/2-2>
- 【資料9】『「こつ」の科学 調理の疑問に答える』(杉田浩一著 柴田書店 1984)(9103919480) <596/SU46>
- キーワード
-
- メイラード反応(メイラードハンノウ)
- アミノカルボニル反応(アミノカルボニルハンノウ)
- 褐変(カッペン)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000253633