レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2024/01/23
- 登録日時
- 2024/04/07 00:30
- 更新日時
- 2024/04/07 00:30
- 管理番号
- 6001015342
- 質問
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解決
1 倉敷代官所には、牢屋はあったのでしょうか。
2 笠岡代官所には、牢屋はあったのでしょうか。
明和年間のことですが、私のふるさとの農民が、隣村の天領地と水争いとなり、倉敷代官所と笠岡代官所に、2
年間投獄され、お調べを受けた記録がございます。
結局、内の一人が首謀者として、死罪になりました。
お調べを受けたのは、延べ200人余りとあります。
天領村の農民は、はじめから、笠岡での宿預かりでした。
3 宿預かりとは、牢獄に入らず、宿屋に分宿ということでしょうか。
4 上記1~3のことを記した書籍〈冊子・倉敷の歴史等〉、がございましたら、御教示いただければ、幸いです。
- 回答
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1 倉敷代官所には、牢屋はあったのでしょうか。
・『絵図で歩く倉敷のまち』 倉地克直/著 吉備人出版 p79
「倉敷代官陣屋跡」の項目に「延享5(1748)年に牢屋を建築した」と記載がある。同ページの「5-7『倉敷村鳥瞰図』代官陣屋と牢屋」図で場所も確認できる。
・『新修倉敷市史 4』 倉敷市史研究会/編集 山陽新聞社
p7 「千種清右衛門は、倉敷に…牢屋などの新築だけでなく…」と記載あり。
p11~12 「倉敷陣屋の牢屋には…」記載あり。
p43 「牢番・牢医師・門番」についての項目あり
・『倉敷市史 3』 永山 卯三郎/編 名著出版
p628-633 「倉敷牢屋に関する文献」記載あり。
p657 「倉敷陣屋成る …後二年にして牢屋亦成る。」と記載あり。
下記資料にも同様に牢屋について記載あり。
・『倉子城遺聞 第三集』 井上 賢一/著 井上賢一 p128-p132
・『新修・倉敷今昔物語集 西藤 秀男/編 勁草書房 p121-p122
向山・船倉大正十年頃絵図に「牢屋跡」記載あり
・『倉子城史談 復刻』 木山 巌太郎/著 木山巌太郎 p21
・『近世幕府領支配と地域社会構造』 山本太郎/著 清文堂出版 p46-47
2 笠岡代官所には、牢屋はあったのでしょうか。
倉敷市立図書館所蔵資料を調査しましたが、牢屋の有無が分かる資料を見つけられませんでした。以下、調査した資料について記載します。
・『笠岡市史 第二巻』 笠岡市史編さん室/編 笠岡市
p172 「笠岡代官所平面図」あり。牢屋の記載なし。
ただし、以下2ページに「牢」という言葉の記述あり。
p231 「首謀の二人は…牢死している。」
p248 「入牢中の仁三郎と…」
下記3冊の代官所及び笠岡陣屋の項目に上記資料と同じ「笠岡代官所平面図」あり。牢屋の記述なし。
・『小田郡誌 増訂追補 上』 小田郡教育会/編 名著出版 p288
・『岡山県史 第6巻』 岡山県史編纂委員会/著 岡山県 p281
・『早川代官』 永山 卯三郎/著 巌南堂書店 p154の隣ページ(ノンブルなし)
・『笠岡ふるさとガイド』 笠岡市 p17 「笠岡代官所」の項目あり。牢屋の記述なし。
・『笠岡町沿革史』 世良 長造/著 笠岡町沿革史編纂期成会 笠岡代官所の牢屋について記述なし。
倉敷市立図書館ではお探しの内容がわかるような資料が見つかりませんでしたが、笠岡市立図書館や岡山県立図書館では見つかるかもしれません。もしよろしければ、そちらへレファレンスを依頼されてもよいかと思います。
3 宿預かりとは、牢獄に入らず、宿屋に分宿ということでしょうか。
「宿預かり」は、「宿預け」のことと思われます。
・『日本史大事典 1』 平凡社 p160-161
「預 あずけ」の項目に、「江戸幕府法の未決勾留もしくは刑罰の称。江戸時代には牢屋などの拘禁施設が不十分であり、また身分による区別が複雑であったため、被疑者を同一の施設に収容することは不適当とされ、これを私人ないし団体に責付して監禁させた。」「庶民についても、幕府は牢屋に勾留することをなるべく制限する方針であった。…江戸町方では宿預・街預、在方では村預が主として行われた。」と記載あり。
・下記資料にも同様の記載あり。
『国史大辞典 1』 国史大辞典編集委員会/編 吉川弘文館 p207-208
『日本史用語大辞典 1』 日本史用語大辞典編集委員会/編 柏書房 p18
・『近世幕府領支配と地域社会構造』 山本太郎/著 清文堂出版 p94、p123-124
郷宿の役割として「宿預け」の記載あり。「吟味中の者を役所が郷宿に預けて身柄を拘束することも行われた。」とあり。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
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- 絵図で歩く倉敷のまち倉地克直/著吉備人出版 (p79)
- 新修倉敷市史4倉敷市史研究会/編集山陽新聞社 (p7,p11-12,p43)
- 倉敷市史3永山 卯三郎/編名著出版 (p628-633、p657)
- 倉子城遺聞第三集井上 賢一/著井上賢一 (p128-p132)
- 新修・倉敷今昔物語集西藤 秀男/編勁草書房 (向山・船倉大正十年頃絵図 p121-p122)
- 倉子城史談 復刻木山 巌太郎/著木山巌太郎 (p21)
- 近世幕府領支配と地域社会構造山本太郎/著清文堂出版 (p46-47、p94、p123-124)
- 国史大辞典1国史大辞典編集委員会/編吉川弘文館 (p207-208)
- 日本史用語大辞典 1日本史用語大辞典編集委員会/編柏書房 (p18)
- 日本史大事典1平凡社 (p160-161)
- 笠岡市史第二巻笠岡市史編さん室/編笠岡市 (p172)
- 小田郡誌 増訂追補上小田郡教育会/編名著出版 (p288)
- 岡山県史第6巻岡山県史編纂委員会/著岡山県 (p281)
- 笠岡ふるさとガイド笠岡市 (p17)
- 早川代官永山 卯三郎/著巌南堂書店 (p154の隣ページ(ノンブルなし))
- 笠岡町沿革史世良 長造/著笠岡町沿革史編纂期成会
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 一般
- 登録番号
- 1000348791