レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2024-02-08
- 登録日時
- 2024/03/04 16:16
- 更新日時
- 2024/04/01 10:40
- 管理番号
- 2023-001
- 質問
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解決
漆や友禅に使われている刷毛はどんな材料が使われているか、また、どうやって使われているかが知りたい。
- 回答
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漆と友禅(染め)は異なる工芸品のため、それぞれで調査を行い、以下の資料を紹介した。
●「漆」「刷毛」に関連する資料
資料① 『うるしの話』 松田権六/著、岩波書店、1968
資料② 『漆(Ⅰ,Ⅱ巻) ものと人間の文化史』 四柳嘉章/著、法政大学出版局、2006.2
資料③ 『漆の技法 「炎芸術」工芸入門講座』 柴田克哉/[著]、阿部出版、2012.9
資料④ 『漆塗りの技法書』 十時啓悦/ほか著、誠文堂新光社、2015.8
資料⑤ 『図解 日本の漆工』 加藤寛/監修、東京美術、2014.4
資料⑥ 『漆の文化』 室瀬和美/著、角川書店、2002.
資料⑦ 『漆芸の見かた』 小林真理/編著、誠文堂新光社、2017.7
資料⑧ 『あいちの地場産業 平成29年3月』 おかしん総研/企画・編集、岡崎市、2017.3
●友禅に関する資料
資料⑨ 『伝統的工芸品技術事典』 伝統的工芸品産業振興協会/編、グラフィック社、1980
資料⑩ 『染めの事典』 朝日新聞社出版局、1985
資料⑪ 『産地別すぐわかる染め・織りの見わけ方』 丸山伸彦/監修、東京美術、2002.7
資料⑫ 『工芸王国金沢・能登・加賀への旅』 木村ふみ/ほか監修、平凡社、2021.10
資料⑬ 『名古屋黒紋付染』 名古屋友禅黒紋付協同組合連合会ほか著、2008.3
資料⑭ 『着物の織りと染めがわかる事典』 滝沢静江/著、日本実業出版、2007.6
また、メールでの問合わせだったため、時間を気にせず調べものをしていただけるようインターネット情報も多めにご紹介した。
- 回答プロセス
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「漆」「漆芸品」「漆塗り」をキーワードとして自館資料を検索し、また、見つかった資料を中心に書架のブラウジングを行い、以下の資料を見つけた。
資料① 『うるしの話』 松田権六/著、岩波書店、1968
蒔絵師・人間国宝の松田権六氏による漆の本。
p94~99「蒔絵を語る 四-4、蒔絵の道具」では、筆と刷毛についての解説がある。
資料② 『漆(Ⅰ,Ⅱ巻) ものと人間の文化史』 四柳嘉章/著、法政大学出版局、2006.2
縄文時代から現代までの漆の技術と文化が総合的、体系的にまとめられた本。
Ⅰ巻p92~「第6章縄文漆文化の展開」では、縄文時代の遺跡から発見された漆器に使われた道具として、「刷毛」の記載がある。
資料③ 『漆の技法 「炎芸術」工芸入門講座』 柴田克哉/[著]、阿部出版、2012.9
漆工芸の基本技法「継ぎ」「塗り」「加飾」について、工程ごとの使用道具と材料とともに紹介されている。
p26~「拭き漆」項では、漆刷毛の構造と使い方が図とともに説明されている。
資料④ 『漆塗りの技法書』 十時啓悦/ほか著、誠文堂新光社、2015.8
p24 「漆塗りの主な道具」では、「塗り職人が最も大切にしているのは刷毛です」の一文とともに、刷毛の材料、種類、どの工程でどのようなサイズの刷毛を使うかなどが説明されている。
また、巻末用語解説では、「筋交い刷毛(すじかいばけ)」、「溜刷毛(だみばけ)」、「枕刷毛(まくらばけ)」等の用語見出しがある。
資料⑤ 『図解 日本の漆工』 加藤寛/監修、東京美術、2014.4
漆芸品の製工程をイラストで詳細に紹介している本。どのような刷毛がどうやって使われているかを工程ごとに確認できる。
資料⑥ 『漆の文化』 室瀬和美/著、角川書店、2002.8
P165「第三章.漆工材料と技法 四.種多様な材料・道具」
漆刷毛について詳細な説明あり。また、1656年に日本で初めて漆刷毛に人毛を用い、現在の漆刷毛の形を作り上げた初代・泉清吉の名がみられる。
資料⑦ 『漆芸の見かた』 小林真理/編著、誠文堂新光社、2017.7
p168「四章漆芸の基礎知識 「塗り」の種類」では、漆の塗り方の種類が写真で、使用する刷毛がイラストで図解されています。
資料⑧ 『あいちの地場産業 平成29年3月』 おかしん総研/企画・編集、岡崎市、2017.3
愛知県あま市(旧甚目寺町)の地場産業として「刷毛づくり」が紹介されています。
p126沿革「昭和45年に全国トップの生産量となり、以後現在までその地位を保っている」と説明があるほか、製品知識、業界の特色、生産状況、刷毛の製造工程(写真あり)について書かれている。
インターネット情報1 「漆刷毛師 泉清吉HP」 https://urushibake.com/izumi/izumi.htm
資料⑥に書かれていた泉清吉のホームページ。
日本唯一の技法が代々受け継がれており、八代目、九代目は文化庁認定・文化財選定保存技術保持者となっているとのこと。
インターネット情報2 「なにわ刷毛 大阪伝統工芸品産業振興協議会」https://eemon-osaka.com/craft/21
大阪府伝統工芸品に指定されているなにわ刷毛の紹介ページ。歴史、原料、製造工程の説明がある。
インターネット情報3 「江戸刷毛 東京都産業局」https://www.dento-tokyo.metro.tokyo.lg.jp/items/11.html
東京都伝統工芸品に指定されている江戸刷毛の紹介ページ。原材料、歴史、技術などの説明がある。
次に、「友禅」に使われる刷毛について、「友禅」「友禅染め」に使われる刷毛について記述がある資料として、以下の資料が見つかった。
資料⑨ 『伝統的工芸品技術事典』 伝統的工芸品産業振興協会/編、グラフィック社、1980
都道府県別にまとめられた伝統的工芸品の技術・技法、沿革、特徴などを解説した事典。
巻末索引で各地の友禅染め、漆芸ほか工芸品について調べられる。p220 「京筆・刷毛」が紹介されている。
資料⑩ 『染めの事典』 朝日新聞社出版局、1985
P152から154 友禅布の「染め」について。工程や用語が解説されている。
「本友禅には、模様の輪郭を細かい糊の線で防染する。この糊の跡が糸を引いたように見えるので糸目友禅とも呼ぶ。糸目の内側に刷毛や筆を使って色を挿すわけで、このことを「さし友禅」とか「友禅をさす」などという」
という説明がある。また、「地染め」「引き染め」の用語解説に刷毛が登場する。
資料⑪ 『産地別すぐわかる染め・織りの見わけ方』 丸山伸彦/監修、東京美術、2002.7
日本各地の染め物織物についての本。p116~、友禅染の工程が書かれている。
資料⑫ 『工芸王国金沢・能登・加賀への旅』 木村ふみ/ほか監修、平凡社、2021.10
石川県の伝統工芸が取り上げられている。
p34加賀友禅の主な特徴と工程、p43加賀蒔絵の刷毛について、p92輪島塗に使用する道具についての記述がある。
資料⑬ 『名古屋黒紋付染』 名古屋友禅黒紋付協同組合連合会ほか著、2008.3
名古屋友禅・黒紋付染の歴史や技法についてまとめられた本です。
p22「直し刷毛」他いくつかの工程で刷毛を使用している写真が掲載されています。
資料⑭ 『着物の織りと染めがわかる事典』 滝沢静江/著、日本実業出版、2007.6
貸出中のため内容確認ができなかったが、友禅染についての項目があると思われたので参考情報として紹介した。
インターネット情報4 「経済産業省 伝統工芸品」
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/nichiyo-densan/index.html
「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」(昭和49年制定)に基づき国が指定した伝統的工芸品241品目(2023年10月26日時点)の全品目が確認できる。
インターネット情報5 「京都手描友禅協同組合 手描友禅ができるまで」 https://yuzen.or.jp/process/
手描友禅の工程と使用する道具(刷毛)が詳細に説明されている。
インターネット情報6 「京都工芸染匠協同組合 京友禅ができるまで」 https://www.sensho.or.jp/kimono_encyclo/kimono_work/index.html
京友禅完成までの詳しい工程が、写真付きで紹介されている。どの工程で刷毛が使われているかを確認することができる。
【そのほか確認した資料】
『原色図解伝統工芸技法大事典 上下巻』 東陽出版、1977
『あいちの伝統的工芸品』 愛知県産業労働部/編、2001.3
『塗師屋のたわごと』 角川書店、2002.1
『漆百科』 丸善、2008.5
『うるしの科学』 小川俊夫/著、共立出版、2014.1
『日本画と材料』 荒井経/著、武蔵野美術大学出版局、2015.10
『漆学』 宮腰哲雄/著、明治大学出版会、2016.3
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
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松田権六 著. うるしの話. 岩波書店, 1966. (岩波新書 青版 ; 542)
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000001-I02111100005528 -
四柳嘉章 著. 漆 1. 法政大学出版局, 2006. (ものと人間の文化史 ; 131-1)
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008118580 , ISBN 4-588-21311-3 -
四柳嘉章 著. 漆 2. 法政大学出版局, 2006. (ものと人間の文化史 ; 131-2)
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008118593 , ISBN 4-588-21312-1 -
柴田克哉 [著]. 漆の技法 : 「炎芸術」工芸入門講座 : 金継ぎ・拭き漆・木地溜め塗り・目はじき塗り・漆絵・蒔絵・箔絵・螺鈿・卵殻・乾漆. 阿部出版, 2012.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I023929362 , ISBN 978-4-87242-334-1 -
十時啓悦, 工藤茂喜, 西川栄明 著. 漆塗りの技法書 : 漆の特徴、基礎知識から各種技法までをわかりやすく解説. 誠文堂新光社, 2015.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I026606721 , ISBN 978-4-416-71535-2 -
加藤寛 監修. 図解日本の漆工. 東京美術, 2014. (てのひら手帖)
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I025332733 , ISBN 978-4-8087-0988-4 -
おかしん総研/企画・編集. あいちの地場産業 : 愛知県産業紹介誌 平成29年3月. 岡崎信用金庫, 2017-03.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000001-I23211001710006364 -
伝統的工芸品産業振興協会 編. 伝統的工芸品技術事典. グラフィック社, 1980.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001462129 -
朝日新聞社 編. 染めの事典 : 風土を映す人の技. 朝日新聞社, 1985. (シリーズ・染織の文化 ; 1)
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001725981 , ISBN 4-02-258321-5 -
丸山伸彦 監修. 産地別すぐわかる染め・織りの見わけ方. 東京美術, 2002.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000003653665 , ISBN 4-8087-0724-1 -
名古屋黒紋付染. 名古屋友禅黒紋付共同組合連合会, 2008-03.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000001-I23211000810013979
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松田権六 著. うるしの話. 岩波書店, 1966. (岩波新書 青版 ; 542)
- キーワード
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- 漆
- 漆工芸
- 刷毛
- 塗師
- 蒔絵
- 伝統的工芸品
- 友禅
- 友禅染
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 文献紹介 所蔵調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000347000