レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022/08/04
- 登録日時
- 2022/09/18 00:30
- 更新日時
- 2022/09/18 00:30
- 提供館
- 宮城県図書館 (2110032)
- 管理番号
- MYG-REF-220140
- 質問
-
解決
浄土真宗における,「五邪」と「十恵」はどういう意味でしょうか。
- 回答
-
1. 浄土真宗においての「五邪」について
下記資料に記述がありました。
※【 】は当館請求記号です。
資料1(p.272)「五邪」の項
「五邪」の意味として「提婆五邪法」,「五邪命」と記載されています。
「五邪命」については同頁で下記の通り記載されています。
「比丘が不法の事を営みて生活をなすに五種あるをいふ。1.詐て奇特の相を現じ利養を求め,2.自ら己が功徳を説きて利養を求め,3.占卜を學び吉凶を説きて利養を求め,4.大言壮語して利養を求め,5.彼に利を得れば此に稱説し,此に利を得れば彼に稱説して利養を求むるをいふ。」
また,「提婆五邪法」については下記の資料に記述がありました。
資料2(pp.125-126)「正像末和讃(しょうぞうまつわさん)」の項
「愚禿悲歎述懐和讃」の中で末法の世の僧侶の堕落は「僧ぞ法師のその御名は とうときこととききしかど 提婆五邪の法ににて いやしきものになづけたり(後略)」との記述があります。
資料3(p.196)「愚禿悲歎述懐」の項
「僧ぞ法師のその御名は,尊きこと聞きしかど 提婆五邪の法に似て,卑しきものに名づけたり。」とありました。
また,提婆五邪の法の解説として(p.550)「提婆五邪の法。提婆が自立せんがために案出した五種の邪法」との記述がありました。
資料4(p.3207)「提婆五邪法」の項
「釋尊の在世に際し提婆達多が唱道せる五種の不正なる禁戒なり。また調達の五法とも云ふ。十誦律卷三十六に「調達後時に諸の年少の比丘の所に到り,五法を以て之を誘ひ,諸の比丘に語りて言く汝盡形壽衲衣(じんぎゃうじゅなふえ)を著する法を受けよ,盡形壽乞食法を受けよ,盡形壽一食の法を受けよ,盡形壽露地坐の法を受けよ,盡形壽断肉の法を受けよ。汝等是五法を行ぜば疾く泥?(ないをん)を得ん」と云ふもの是れなり(後略)」と記載されています。
他にも,下記資料に「五邪」の説明がありましたので参考までに御案内します。
資料5(p.479)「五邪」の項
「五つの正統でない手段。生活の手段を得る際に出家修行者に禁じられたこと。(1)偉そうに見せかけること。(2)自己宣伝すること。(3)占いなどして吉凶禍福を説くこと。(4)大言壮語して偉そうにふるまい,偉いだろうと錯覚させること。(5)既得の供養や信望を並べて感心させ,貪ること。四邪と並んで,ともに修行僧が避けなければならない行為である。」と記載されています。
資料6(p.307)「五邪」の項
「生活のための不当な五つの手段。(一)人とは異なる特異なことをしてみせる,(二)勝れた功徳があると吹聴する,(三)吉凶を占って人に説き聞かせる,(四)声高に威勢のある振る舞いをして畏敬の念を起こさせる,(五)以前に得た供養を説いて感心させる,の五つ。」
なお,資料5,6ともに出典は『永平清規』と記載されています。
資料7(p.610)「邪命」の項
五種邪命(五邪)について「財物を得るために(1)いつわって奇特の異相を現わし,(2)自らおのれの功徳を説き,(3)吉凶を占い,(4)声高で威嚇し,(5)おのれに供養する者を称賛することである。」と記載されています。
2. 浄土真宗においての「十恵」について,回答資料1-7,および下記の参考資料もお調べしましたが当館の資料には記載が見つけられませんでした。なお,国立国会図書館オンライン(https://ndlonline.ndl.go.jp/ 最終検索日:2022/08/04)でも「浄土真宗×十惠」,「仏教×十惠」で検索しましたが該当する資料は見当たりませんでした。
<回答資料>
資料1 宇井伯壽監修『佛教辭典』愛蔵版, 大東出版社, 1989【180.33/フツ1989.7/R】
資料2 菊村紀彦編『親鸞辞典』東京堂出版, 1978【188.7/シ3-2/R】
資料3 山本勇夫[編]著『高僧名著選集 第6巻』平凡社, 1934【180.8/コウ1934.Z/6】
資料4 竜谷大学編『仏教大辞彙 第5巻』再版, 富山房, 1974【180.3/フ2/5R】
資料5 中村元著『広説仏教語大辞典 上巻』東京書籍, 2001【180.33/ナハ2001.6/1R】
資料6 石田瑞麿著『例文仏教語大辞典』小学館, 1997【180.33/イミ1997.3/R】
資料7 総合仏教大辞典編集委員会編『総合仏教大辞典 上』法蔵館, 1987【180.33/ソウ1987.Y/1R】
<参考資料>
真宗新辞典編纂会編『真宗新辞典』法蔵館, 1983【188.7/シン1983.9/R】
紅楳英顕著『浄土真宗がわかる本』(伝道新書 15), 教育新潮社, 1994【188.71/シン1994.Z】
岡村周薩編纂『真宗大辞典 巻2』改訂再刊, 永田文昌堂, 1972【188.7/オシ1972.1/2R】
谷川理宣[ほか]編著『歎異抄事典』柏書房, 1992【188.74/タ1/R】
中村元[ほか]編集『岩波仏教辞典』第2版, 岩波書店, 2002【180.33/イワ2002.X/R】
奈良康明編著『仏教名言辞典』東京書籍, 1989【180.33/ナヤ1989.X/R】
中村元著『広説仏教語大辞典 別巻』東京書籍, 2001【180.33/ナハ2001.6/4R】
藤井宣正著; 南条 文雄校『仏教辞林』明治書院, 1912【180.3/フ1/R】
総合仏教大辞典編集委員会編『総合仏教大辞典 [別]』法蔵館, 1987【180.3/フ7/3】
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 仏教 (180 9版)
- 参考資料
-
- 宇井/伯壽?監修. 佛教辭典. 大東出版社, 1989【180.33/フツ1989.7/R】:
- 菊村 紀彦/編. 親鸞辞典. 東京堂出版, 1978【188.7/シ3-2/R】:
- 山本 勇夫/[編]著. 高僧名著選集 第6巻. 平凡社, 1934【180.8/コウ1934.Z/6】:
- 竜谷大学/編. 仏教大辞彙 第5巻. 富山房, 1974【180.3/フ2/5R】:
- 中村 元/著. 広説仏教語大辞典 上巻. 東京書籍, 2001.6【180.33/ナハ2001.6/1R】:
- 総合仏教大辞典編集委員会/編集. 総合仏教大辞典 上. 法蔵館, 1987.11【180.33/ソウ1987.Y/1R】:
- 石田 瑞麿/著. 例文仏教語大辞典. 小学館, 1997.3【180.33/イミ1997.3/R】:
- 真宗新辞典編纂会/編集. 真宗新辞典. 法蔵館, 1984【188.7/シン1983.9/R】:
- 紅楳 英顕/著. 浄土真宗がわかる本. 教育新潮社, 1994.12【188.71/シン1994.Z】:
- 岡村 周薩/編纂. 真宗大辞典 巻2. 永田文昌堂, 1972【188.7/オシ1972.1/2R】:
- 谷川 理宣/[ほか]編著. 歎異抄事典. 柏書房, 1992.3【188.74/タ1/R】:
- 中村/元∥[ほか]編集. 岩波仏教辞典. 岩波書店, 2002.10【180.33/イワ2002.X/R】:
- 奈良 康明/編著. 仏教名言辞典. 東京書籍, 1989.10【180.33/ナヤ1989.X/R】:
- 中村 元/著. 広説仏教語大辞典 別巻. 東京書籍, 2001.6【180.33/ナハ2001.6/4R】:
- 藤井 宣正/著 南条 文雄/校. 仏教辞林. 明治書院, 1912【180.3/フ1/R】:
- 総合仏教大辞典編集委員会/編集. 総合仏教大辞典 [別]. 法蔵館, 1987.11【180.3/フ7/3】:
- キーワード
-
- 真宗
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000321434