レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021/01/15
- 登録日時
- 2021/04/01 00:30
- 更新日時
- 2024/03/30 00:41
- 管理番号
- M21011512010845
- 質問
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なぜ正月に掃除をしてはいけないのか。
- 回答
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①『日本人の「縁起」とジンクス』によると、「元日に掃除をするのはよくないと昔からいわれている。なぜよくないかは、正月の意味を考えれば分かる。正月には門松を飾り、鏡餅を用意する。その門松は正月にやってくる年神を迎えるためのもので、鏡餅は年神へのお供えものである。元日に掃除をすると、わざわざやってきた年神を掃き出すことになってしまう。「元日の塵はつまんで捨てられる」という江戸川柳がある。江戸時代にも元日の掃除は、タブーとされていた。掃除をしてはいけないので、落ちている塵はつまんで捨てる」と書かれています。
②『なぜ夜に爪を切ってはいけないのか』によると、「一年の初日である元日は、旧年の災い事が清算される、希望に満ちた一日として位置づけられてきた。門松や祝い餅などで飾りつける風習は、この日に福の神が家庭に舞い込んでくると考えたため。いたるところに神様が宿る、おめでたい日である。そんな福の神が家の中に満ちている日に、掃除をすることは、せっかく訪れてくれた福の神を家の中から掃き出して追い出してしまうことを意味する。それゆえ、どんなに大晦日までの日々が忙しくても、元日に掃除をすることを禁じたのである」と書かれています。
③『魔除けの民俗学』によると、「正月は家のなかを箒で掃くな」という俗信について、「禁忌の期間は元日のみの場合もあり、三が日という所もあるが、伝承は全国に及ぶ。正月に掃かない理由は、一様に「福の神が出ていくから」という」と書かれています。ほかにも、正月と掃除、正月と箒に関連した俗信が掲載されています。
④『精選日本民俗辞典』の「年神」の項目によると、「正月に迎えまつる神。正月様、年神様、歳徳神様などという。年神は恵方からやってくるといわれ、通常の神棚とは別に恵方へ向けた年神棚を設けた。この棚は一般的に年神棚と呼ぶ。年神のトシは、稲の収穫をトシが終るといったように古くは稲の稔りを意味した。トシは一年の単位であり、一年を一稔とする考えがある。(中略)年神は、その年の恵方から大晦日に来訪し人人に幸福をもたらす福神と考えられてきた」と書かれています。
⑤『まよけの民俗誌』には箒について言及されている。箒は「掃くという機能から、ものを遂い払う、まじない的な役割を負わされているのだ。そのため、箒についてのさまざまな禁忌も生れる」と書かれています。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 民間信仰.迷信[俗信] (387 9版)
- 参考資料
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①北嶋廣敏『日本人の「縁起」と「ジンクス」 : なぜ大晦日に蕎麦を食べるのか』 PHP研究所,2007,237p. 参照はp.172.
②北山哲『なぜ夜に爪を切ってはいけないのか : 日本の迷信に隠された知恵』 角川SSコミュニケーションズ,2007,173p. 参照はp.106-107.
③常光徹『魔除けの民俗学 : 家・道具・災害の俗信』 KADOKAWA,2019,267p. 参照はp.126-130.
④福田アジオ, 新谷尚紀, 湯川洋司 ほか『精選日本民俗辞典』 吉川弘文館,2006,614,78p. 参照はp.390-391.
⑤斎藤たま『まよけの民俗誌』 論創社,2010,286p. 参照はp.202-209.
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①北嶋廣敏『日本人の「縁起」と「ジンクス」 : なぜ大晦日に蕎麦を食べるのか』 PHP研究所,2007,237p. 参照はp.172.
- キーワード
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- 正月 新年 元日 元旦 掃除 清掃 箒 年神 迷信 俗信 民間信仰 民具 年中行事
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- M2021011512074610845
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 全年齢
- 登録番号
- 1000296125