生活科の目標及び学習内容については、①『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説』、②『小学校生活』などに記載がある。
生活科の目標は、「具体的な活動や体験を通して、身近な生活に関わる見方・考え方を生かし、自立し生活を豊かにしていくための資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1)活動や体験の課程において、自分自身、身近な人々、社会及び自然の特徴やよさ、それらの関わり等に気づくとともに、生活上必要な習慣や技能を身に付けるようにする
(2)身近な人々、社会及び自然を自分との関わりで捉え、自分自身や自分の生活について考え、表現することができるようにする。
(3)身近な人々、社会及び自然に自ら働きかけ、意欲や自信をもって学んだり生活を豊かにしたりしようとする態度を養う。
生活科誕生の経緯については、②『小学校生活』に記載がある。
1971年 中央教育審議会の答申で、教科の区分にとらわれず、総合的な教育が可能な教育課程のあり方が重要であることが提言された。
1975年 教育課程審議会の「中間まとめ」において教育課程の基準の改善の基本方針が示された。その中で、第1学年および第2学年の各教科のうち、社会科、理科の内容について内容のあり方や学習の実態からみての課題等を検討するとした。
1976年 教育課程審議会の「審議まとめ」で、新しい教科の設定などについて検討された。
1977年 小学校学習指導要領(1977[昭和52]年版)が発行され、「低学年においては合科的な指導が十分できるようにすること」と提言された。
1986年 臨時教育審議会、教育に関する第2次答申の中で教科の内容、構成にあたって、「小学校低学年の児童は、発達段階的には思考や感情が未分化の段階にある(中略)児童の具体的な活動・体験を通じて総合的に指導することができるように検討する必要がある。」と示されている。
1986年7月 「小学校低学年の教育に関する調査研究協力者会議・審議のまとめ」において、教科構成等改善にあったって考慮する必要がある点として5点が示された。
1986年10月 臨時教育審議会「中間まとめ」で、低学年の教育の充実を図るために、低学年に新教科として生活科(仮称)を設定することが適当であることとして示された。
1987年11月 臨時教育審議会「審議のまとめ」を経て、1987年12月「新教科として生活科を設定し、具体的な学習を通して総合的な指導を一層推進するのが適当である。これに伴い社会科及び理科は廃止する」として、生活科の新設が決定した。
1989年 新しい学習指導要領の告示によって、小学校低学年教科として、生活科が正式に位置づけられた。
社会科及び理科を統合して生活科とするについては、③『新教科誕生の軌跡』に記載がある。
昭和61(1986)年10月の教育課程審議会の中間まとめでは、次のように示されている。
低学年の教育全体の充実を図る観点から低学年に新教科として生活科(仮称)を設定し、体験的な学習を通して総合的な指導を一層推進するのが適当であると考える。生活科(仮称)は、児童が自分たちとのかかわりにおいて人々(社会)や自然をとらえ、児童の生活に即した様々な活動や体験を通して、社会認識や自然認識の芽を育てるとともに、そのような活動や体験を行う中において自己認識の基礎を培い、生活上必要な習慣や技能を身に付けさせ、自立への基礎を養うことをねらいとして構想するのが適当であると考える。社会科及び理科はその中に統合することとする。
この中間まとめに先立って、昭和61(1986)年4月には、臨時教育審議会第二次答申において、次のように示されていた。
小学校低学年においては、教科の総合化を進める。小学校の低学年の児童には、発達段階的には思考や感情が未分化の段階にある。こうしたことや、幼児教育から小学校教育への移行を円滑にする観点から、小学校低学年の教科の構成については、読・書・算の基礎の修得を重視するとともに、社会・理科などを中心として、教科の総合化を進め、児童の具体的な活動・体験を通じて総合的に指導できるように検討する必要がある。