レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021/06/23
- 登録日時
- 2023/04/29 00:30
- 更新日時
- 2023/04/29 09:44
- 管理番号
- 所沢富岡-2023-001
- 質問
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解決
小説『赤毛のアン』に「雪の女王」という名前の花があると聞いた。
どんな花なのか知りたい。
- 回答
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お探しの花は桜です。小説『赤毛のアン』第4章「グリーン・ゲイブルズの朝」に、アンが初めてアヴォンリーにあるマシューとマニラの家「グリーン・ゲイブルズ」を訪れ、桜を「雪の女王」と名づける場面が次のとおり描かれています。なおアヴォンリーは、作者モンゴメリーが育ったプリンス・エドワード島をモデルに創作した村と巻末の訳者ノートに記載されています。
p.56「窓のすぐ外には、大きな桜の木があり、枝先が家にふれていた。いっぱいに花が咲いて、葉はほとんど見えなかった。」
p.62-63「今朝、二階の窓辺の桜にも、名前をつけたのよ。まっ白だから、《雪の女王様》(スノー・クイーン)よ。もちろん、年中花が咲いているわけじゃないけど、いつでも満開の花が思い浮かぶでしょう?」
(参考:『赤毛のアン』 L.M.モンゴメリ/著 松本侑子/訳 文藝春秋 2019年より)
また、下記資料に記載があります。
〇『赤毛のアン』 L.M.モンゴメリ/著 松本侑子/訳 文藝春秋 2019年
〇『赤毛のアン』 モンゴメリ/[著] 村岡花子/訳 新潮社 2008年
〇『赤毛のアン 上』 モンゴメリ/作 茅野美ど里/訳 偕成社 1987年
〇『「赤毛のアン」の生活事典』 テリー神川/著 講談社 1997年
〇『赤毛のアンのカントリーノート』 和田悟/写真 求竜堂 1983年
〇『「赤毛のアン」ノート』 高柳佐知子/著 大和出版 1991年
〇『赤毛のアン・夢紀行』 NHK取材班/ほか著 日本放送出版協会 2008年
〇『赤毛のアン四季の贈りもの』 C.S.コリンズ/編 東洋書林 2000年
- 回答プロセス
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1.所蔵資料の内容確認
【原本における「雪の女王」を指す花について、確認】
〇『赤毛のアン』 L.M.モンゴメリ/著 松本侑子/訳 文藝春秋 2019年
p.55-64「第4章 グリーン・ゲイブルズの朝」に以下の記載あり。
p.55「でも、今は朝だ。それに窓の外では満開の桜が咲いている」。
p.56「窓のすぐ外には、大きな桜の木があり、枝先が家にふれていた。いっぱいに花が咲いて、葉はほとんど見えなかった。」
p.56「家の両側は広々とした果樹園だった。片側は林檎園、もう片方はさくらんぼ園で、どちらも花がふりつもったように満開だ。」
p.57「大きな桜だね、花も見事だ。でも、実はたくさんならないよ……小さくて虫喰いだらけでね」
p.62-63「今朝、二階の窓辺の桜にも、名前をつけたのよ。まっ白だから、《雪の女王様》(スノー・クイーン)よ。もちろん、年中花が咲いているわけじゃないけど、いつでも満開の花が思い浮かぶでしょう?」
〇『赤毛のアン』 モンゴメリ/[著] 村岡花子/訳 新潮社 2008年
p.56-67「第四章 『緑の切妻屋根』(グリン・ゲイブルス)の朝」に以下の記載あり。
p.57「だが今は朝だ。そうだ、それに窓の外では桜の花が満開だ。」
p.57「すぐ外に立っている大きな桜の木は、枝が家とすれすれになるくらい近かった。白い花がぎっしりと咲き、葉が見えないほどだった。家の両側は、一方はりんご、一方は桜の大きな果樹園になっており、これまた花ざかりだった。」
p.65「けさは、寝部屋の窓の外にある桜の木にも名前をつけたのよ。雪の女王というのにしたの。真っ白なんですもの。」
〇『赤毛のアン 上』 モンゴメリ/作 茅野美ど里/訳 偕成社 1987年
p.68-80「第四章 グリーン・ゲイブルズの朝」に以下の記載あり。
p.69「しかし、なにはともあれ、朝がやってきたのだ。それに、窓の外に見えたのは、思ったとおり満開のサクラの木だった。」
「大きなサクラの木は、枝が家にふれるぐらい近くに立っていて、葉が見えないほど花でいっぱいだった。家の両がわは果樹園になっている。ひとつはリンゴ園、もうひとつはサクランボ園で、両方とも花のさかりだった。」
p.78「あたしの部屋の外のサクラの木にも、けさ、名まえつけたんです。まっ白だから〈雪の女王〉っていうの。」
【シリーズ作品における桜の記載について、確認】
〇『「赤毛のアン」の生活事典』 テリー神川/著 講談社 1997年
p.264-303「小説に登場する植物」の項目あり
p.267-268「サクラ Wild Cherry」の項目あり
p.287「もし、今夜むかえにきてもらえなかったら、線路がまがるところまで歩いていって、あの大きなサクラの木にのぼって、夜を明かそうと思っていたのよ。」(『赤毛のアン』第2章、マシュウが初めてアンと出会う場面より)を紹介し、「プリンスエドワード島でよく見られる野生のサクラにはチョークチェリーとピンチェリーの2種類がある。」と記載、特徴について白黒写真を用いた記載あり。
p.268また果樹園のサクラについて、「とくにプリンスエドワード島でもっともよく育った種類はサワーチェリーとされており、ガーデンチェリーとも呼ばれ、現在でも多くはないが栽培されている。(中略)サワーチェリーよりも大きな木に成長するスイートチェリーの類も栽培されていた(以下略)」と記載あり。
〇『赤毛のアンのカントリーノート』 和田悟/写真 求竜堂 1983年
p.92-104「第3章 アンが愛した植物たち(「アンの大好きな植物たち」)」の項目あり
p.102「サクラ」の項目あり
「雪の女王に代表される、アンの物語の中の桜は、日本のソメイヨシノなどとは異なり、実をならせる種類のものが多い。」と絵を用いた記載あり。
2.後日調査の追加事項
〇『「赤毛のアン」ノート』 高柳佐知子/著 大和出版 1991年
p.12-43「グリーン・ゲイブルスにアンがきた」の項目あり
p.24「アヴォンリーの自然」の項に、「アンの東の部屋からの眺めは、桜やりんごの果樹園の花ざかりが見え、ライラックのむせるような匂いがただよっています。」と記載あり。
〇『赤毛のアン・夢紀行』 NHK取材班/ほか著 日本放送出版協会 2008年
p.66-72「『赤毛のアン』と花」の項目あり
p68「アンがプリンス・エドワード島に着いて真っ先に魅せられた花が桜である。」
「月の光を浴びて一面に白く咲いた桜の花のなかで眠るのは、まるで大理石の広間にいるみたいと想像できる、とも。彼女はさらに、山桜の花を“花嫁”、クリーン・ゲイブルスの窓辺の桜を“雪の女王”と名づけて賛美する。」と記載あり。
〇『赤毛のアン四季の贈りもの』 C.S.コリンズ/編 東洋書林 2000年
本書は12か月の四季毎に、『赤毛のアン』シリーズから自然描写を抜粋しており、桜に関する記載は以下にあり。
MAY11「そして、‵雪の女王´は白い花で身を飾り、花婿を待つ花嫁のようだった。(アンの青春/第24章)」
MAY12「窓を開け、桜の花の香りを一晩中頬に受けながら眠るのがアンは好きだった。(アンの青春/第24章)」
JUNE2「月明りを浴びて、野桜の真っ白な花に埋もれて眠れたらすてきだと思いませんか?(赤毛のアン/第2章)」
JUNE3「まあ、ほかにもたくさんの野桜が咲き誇っているわ!この島ほど花でいっぱいのところはないわね(赤毛のアン/第2章)
JUNE18「外では‵雪の女王´が月光を浴びて白くかすみ、オーチャード・スロープの先の沼地では蛙が鳴いていた。(赤毛のアン/第36章)
△『モンゴメリーの「夢の国」ノート』 高柳佐知子/著 大和出版 2000年
p.38-39「アンの木図鑑」の項目あり
p.38「桜 Cherry tree」の名称と絵のみ記載あり。
△『赤毛のアンの島へ』 吉村和敏/写真 白泉社 2013年
p.64-79「第4章 プリンス・エドワード島の四季」の項目あり
p.67に「4月が深まる頃」「水仙、さんざし、りんご、桜。」といった花々が咲き誇り、春から夏へと変わりゆく時期にアンがやってきたとの記載に留めている。
△『図説赤毛のアン』 奥田実紀/著 河出書房新社 2013年
p.116-127「第5章 アンの暮らしを知るー植物」の項目あり
p.116「野生の植物」に「アンが島にやってきたのは六月で、リンゴやサクラ、野生のプラムの、白やピンクの花が満開の季節でした」との記載に留めている。
3.記載のなかった資料
×『村岡花子と赤毛のアンの世界』 村岡恵理/責任編集 河出書房新社 2013年
×『「赤毛のアン」の秘密』 小倉千加子/著 岩波書店 2014年
×『プリンス・エドワード島七つの物語』 吉村和敏/著 講談社 2008年
×『プリンスエドワードアイランド』 吉村和敏/著 フォトセレクトブックス 2014年
×『プリンス・エドワード島』 吉村和敏/著 講談社 2000年
×『赤毛のアンの世界へ』 学研パブリッシング 2014年
×『赤毛のアンのプリンス・エドワード島紀行』 松本侑子/著 JTBパブリッシング 2013年
×『赤毛のアンと世界一美しい島』 マガジンハウス/編 マガジンハウス 2014年
- 事前調査事項
- NDC
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- 小説.物語 (933 9版)
- 参考資料
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- 赤毛のアン L.M.モンゴメリ/著 文藝春秋 2019.7 933.7 978-4-16-791324-3
- 赤毛のアン モンゴメリ/[著] 新潮社 2008.2 933.7 978-4-10-211341-7
- 赤毛のアン 上 モンゴメリ/作 偕成社 1987.9 933.7 4-03-651480-6
- 「赤毛のアン」の生活事典 テリー神川/著 講談社 1997.1 933.7 4-06-206969-5
- 赤毛のアンのカントリーノート 和田悟/写真 求竜堂 1983.9 933.7 4-7630-8314-7
- 「赤毛のアン」ノート 高柳佐知子/著 大和出版 1991.10 933.7 4-8047-6019-9
- 赤毛のアン・夢紀行 NHK取材班/ほか著 日本放送出版協会 2008.3 933.7 978-4-14-081283-9
- 赤毛のアン四季の贈りもの C.S.コリンズ/編 東洋書林 2000.12 933.7 4-88721-491-X
- キーワード
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- 赤毛のアン
- プリンス・エドワード島
- グリーン・ゲイブルズ
- 緑の切妻屋根
- 雪の女王
- スノー・クイーン
- 桜
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 一般
- 登録番号
- 1000332589