レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2006年01月17日
- 登録日時
- 2006/01/17 17:02
- 更新日時
- 2006/01/25 11:41
- 管理番号
- 協-050019
- 質問
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解決
「技芸士」という昭和初期の鑑札はどのような職業の人に出されたものか。
- 回答
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『日本労働年鑑別巻』p403によると、昭和15年に発令された「警視庁興行取締規則」により、警視庁公認の協会に所属する者に「技芸者の証」(一種の鑑札)が与えられたとある。警視庁公認の協会には「日本技藝者協会」があり、これは俳優、舞踊、邦楽、長唄、三曲、演奏家、講談落語、漫談、漫才、神楽曲芸、奇術各々の公認団体の会長から組織されているので、これらの職業に従事し各協会に所属していた人々に与えられたもののようである。
昭和15年以前は、明治期の芸能関係の地方税徴収のための鑑札があり、府県により対象となる職業などが異なるが、ほぼ上記の職業と同じものである。
- 回答プロセス
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芸能の歴史に関する資料をみると「技芸士」という言葉はないが、芸能関係者に対する許可制度や鑑札があったとの記述がある。
①『明治の演芸(一)』の法令編p48に「免許鑑札の付与」として神奈川県御達甲第56号があり「力士、俳優、歌舞音曲、碁、将棋、其他諸芸師之類へ免許鑑札を付与し」とされている。
②『日本芸能史7』p57には明治時代の京都府で茶道の家元に遊芸稼人の鑑札が与えられたとある。
③『芸能の文明開化』p233によると、明治11年の「地方税規則」により芸能に関する地方税が定められ、各府県が俳優や遊芸人に鑑札を与え税を徴収したとある。対象となった職業は府県により異なるようである。
④『日本労働年鑑別巻』p403に、昭和15年警視庁興行取締規則により技芸者に鑑札が与えられたとある。
- 事前調査事項
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百科事典類や職業関連の図書にはない。
インターネットによると歌舞伎に関係するものらしいが、歌舞伎の資料にもない。
- NDC
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- 芸術 (7)
- 参考資料
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- 『日本労働年鑑 別巻 戦時特集版』法政大学大原社会問題研究所編 労働旬報社 1971【資料1】
- 『戦時下日本文化団体事典 第3巻』大空社 1990
- 『日本芸能史』芸能史研究会編 法政大学出版局 1990
- 『芸能の文明開化』倉田喜弘著 平凡社 1999
- 『明治の演芸(一)』倉田喜弘編 国立劇場調査養成部芸能調査室 1980
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000027121