1)「三びきのやぎのがらがらどん」の類話について
・『ガイドブック世界の民話』(日本民話の会/編 講談社 1988.8)によると次のとおり。
p39~40「三匹のやぎ」の項目で紹介されています。笑話化したドイツの話で、「ヘッセンにどうしてやぎがやってきたのか」という由来話として語られているとのこと。また、「この話は、北欧を中心に語られたようで、それ以外の地域では数えるほどの類話しか記録されていません。」とあります。同資料のp394の資料集によると、AT:122(←グリムでは、KHM:73『グリムを読む事典』より)にあたるようです。
・『グリム童話を読む事典』(高木昌史/著 三交社 2002.2)によると
KHM/AT対応表では、KHM73→AT41「地下室の狼」+122「獲物を失う狼」
類和対応表で、KHM73「狼と狐」に対応するのは、
『世界の民話 オランダ/ベルギー』(ぎょうせい)36「狼と子ひつじ」
『世界の民話 北欧』36「腹ぺこきつね」
『世界の民話 リトアニア』6「家畜と狼」
『世界の民話 シベリア東部』参照51「ふなは、なぜ水の中でばかり暮らしているのか」56「コンボ」
・『民間説話(下)』巻末のテール タイプ・インデックスによると、「三匹の牡羊」は122E(旧123)とあり。ちなみに、122は、122.狼が餌食を失う 122A.朝飯を探す狼(狐) 122B.鼠が猫に食べる前に顔を洗わせる 122C.羊が狼に歌わせる と122E.となっています。
・『世界の民話 25巻 解説編』(小沢俊夫/著 ぎょうせい 1978(当館所蔵は1984年4刷))で同様の番号を調べると以下のとおり。
p161 AT122「狼が獲物を失う」うその口実による逃走
AT122C「羊が狼に歌うよう仕向ける」それで犬たちが集まってくる
アールネ=トムソン「昔話の型」による索引
p4-5 AT122、122C[類話]
アメリカ大陸[Ⅰ]11番 蛙と雌狐とライオンとのろ鹿
51番 ふくろうとりす
アルバニア他 65番 雄猫と仲間
コーカサス 34番 コプリのやぎ
39番 きつねの裁判官
北欧 36番 腹ぺこきつね
[グリム]KHM86番 きつねとがちょうたち
・「3匹のやぎ」関係
【図書】
『やぎのブッキラボー3きょうだい:世界の絵本コレクション』(ポール・ガルドン/作 青山南/訳 小峰書店 2005.8)※カバーに「ポール・ガルドンが描くノルウェーのむかしばなし」と記載あり。
『ノルウェーの昔話』(大塚勇三/訳 福音館書店 2003.11)
p389-392 「ふとろうと山に行く三匹のヤギのドンガラン」 解説に類話の紹介なし
『太陽の東月の西(岩波少年文庫2064)』(アスビョルセン/編 佐藤俊彦/訳 岩波書店 1990第18刷)
p153-156「ふとりたくて丘にゆく三びきの牡ヤギ・ブルーセ」※名前:ブルーセ 解説に紹介はなし
『3びきのやぎ(ピクシー絵本第2集30)』(原まち子/訳 那須田稔/文 ジョージ・ワイルド/絵 小学館 1974)
『さんびきのやぎとトロル:はじめてであうむかしばなし』(さくらともこ/再話 もとながきょうこ/絵 PHP研究所 2005.7)
『三びきのやぎ:北欧の民話(世界おはなし名作全集6)』(木村由利子/訳 長新太/ほか絵 小学館 1990.4)※名前:ドン・ヤンギー
『大きなかぶ・3びきのやぎくん(えほん世界のおはなし2)』(西巻茅子/絵 三木卓/文 講談社 1999.6)※名前はなし
【雑誌】
『キンダーおはなしえほん 25巻9号』(フレーベル館 1991.12.1)(ソフトカバー) と
『キンダー名作選 9巻2号』(フレーベル館 1996.5.1)(ハードカバー)は内容同じ
「さんびきのやぎ:ノルウェーの民話より」(もきかずこ/文 篠崎三朗/絵)※名前:プルーセ
『キンダーメルヘン 26巻3号』「さんびきのやぎ:ノルウェーの昔話より」(岩崎京子/文 村田エミコ/絵 フレーベル館 2003.6.1)※名前:ブルーセ(大・中・小)
『こどものとも 38』(「三びきのやぎのがらがらどん」瀬田貞二/訳 池田龍雄/画 福音館書店 1959.5)
・その他、調査したが、掲載がなかったもの
『北欧の民話(世界の民話2)』(佐藤俊彦/編訳 未来社 1958.7)類話の掲載および、あとがきに紹介なし
『フィンランド・ノルウェーのむかし話(大人と子どものための世界のむかし話 12』』
(坂井玲子・山内清子/編訳 偕成社 1990.4)掲載および、解説に類話の紹介なし
2)昔話の類話を探すためのツールス(資料)には以下のようなものがあります。
・『日本昔話事典』(稲田浩二/ほか編 弘文堂 1977.12)
昔話の話型、モチーフ、構成、要素などをあげて適切な解題をつけ、口承文芸、神話、伝説、語り物等も取り上げ、わが国昔話研究との関連を中心に外国の昔話研究の概要からも多くの項目を取り入れてある。ある昔話について調べる、あるいは類話を調べる時にまず、手掛かりになる。
・『民話・昔話全情報45/91』『民話・昔話全情報92/99』『民話・昔話全情報2000-2007』(日外アソシエーツ/編 日外アソシエーツ 1992.6、2000.9、2008.2)
それぞれ1945年から1991年まで、1992年から1999年まで、2000年から2007年までに国内で刊行された図書の中から民話、昔話等、ならびに周辺図書を収集し、地域別に分類配列してある。書名索引あり。92/99からは事項名索引もあり。
・『日本昔話通観 第29巻 総合索引』(稲田浩二/編著 同朋社出版 1990.7)
日本昔話通観第2~26巻(日本民族の昔話資料各篇)の収載話の総合索引。モチーフあるいはキーワードで民話を探すことができる。
・『昔話・伝説小事典』(野村純一・佐藤凉子・大島広志・常光徹/編 みずうみ書店 1987.11)
・『ガイドブック日本の民話』(日本民話の会/編 講談社 1991.11)
・『ガイドブック世界の民話』(日本民話の会/編 講談社 1988.8)
・『グリム童話を読む事典』(高木昌史/著 三交社 2002.2) ※類話対応表あり
・『民間説話:理論と展開 (上)・(下)(現代教養文庫930・931)』(S・トンプソン/著 荒木博之・石原綏代/訳 社会思想社 1977.4、1977.5)
下巻にテールタイプ・インデックス、モチーフ・インデックス、総索引あり