レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023/08/30
- 登録日時
- 2023/11/22 00:30
- 更新日時
- 2023/11/22 00:30
- 管理番号
- 6001062152
- 質問
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解決
平安時代の受戒制度と、授けられる戒律について書かれた書籍を探している。
- 回答
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(1)受戒、戒律とは
・『日本仏教史辞典』(今泉淑夫/編 吉川弘文館 1999.11)
p.457 受戒
「戒法を受けること。授ける側からは授戒という。戒法は出家・在家の別なく、仏教に帰依するものに等しく守ることが要請される規律であるが、その内容は小乗と大乗とで違いがあり、また出家と在家でも違っているから、受戒の仕方も当然異なる。通受・別受、自誓受・従他受、一分受または多分受・全分受などの区分はそれである。…」
p.116 戒律
「…戒には出家と在家の別がある。在家の男女がともに守るべきものが五戒で、殺生・偸盗・邪淫・妄語・飲酒を避ける五種の禁戒をいい、すべての戒の基本をなす。また在家が一日一夜を期して守るものに八斎戒がある。出家の中でも二十歳に満たない沙弥・沙弥尼の守るべきものが十戒、二十歳に満ちた比丘の守るのが約二百五十戒、比丘尼の守るのが約三百四十八戒である。この二百五十戒・三百四十八戒を遵守すれば、無量の戒徳を身に具足するというところから、これらの大戒を具足戒といい、具足戒を受けることを進具という。以上は声聞戒・小乗戒といわれるもので、律蔵の中に類聚されている。…一般に大乗戒(菩薩戒)とされているものは『梵網経』の十重戒と四十八軽戒すなわち梵網戒と、『瓔珞本業経』『菩薩地持経』『瑜伽論』に説かれている三聚浄戒である。…」
(2)平安時代の受戒制度について書かれた資料
●戒壇における官僧の受戒制度
・『仏教事典』(日本佛教学会/編 丸善出版 2021.1)
p.145 第2章 2.3 日本 最澄 大乗戒授戒制度の独立
「日本では奈良東大寺、下野薬師寺、筑紫観世音寺の3か所に戒壇が設けられていた。また、中国と同じく、小乗の法蔵部が伝持していた『四分律』(具足戒)が授けられていた。しかし、最澄は『山家学生式』を上奏し、利他という側面から大乗の戒定慧を整えることを重視し、大乗戒の授戒のみで正式な比丘となる新制度の構築を目指した。…『類聚国史』所収の『日本後紀』逸文には、比叡山における大乗戒授戒制度は弘仁13年(822)6月3日に嵯峨天皇によって勅許されたとある。」
・『日本仏教の基本経典 (角川選書636)』(大角修/著 KADOKAWA 2020.3)
p.195-222 「第五章 戒律の経典 四分律・梵網経」
日本での戒壇の設立や戒律について書かれている。
・『日本仏教思想研究 第1巻 戒律の研究 上』(石田瑞麿/著 法蔵館 1986.9)
p.53-98 2鑑真の戒律
p.99-300 3最澄の戒律
p.301-393 4最澄後の円戒
・『戒律の世界』(森章司/編 渓水社 1993.5)
p.671-700 第四 日本篇 第二章 平安仏教と戒律
・『古代仏教界と王朝社会』(曾根正人/著 吉川弘文館 2000.9)
p.89-96 第二部 第一章 三 大乗戒壇問題
p.161-166 第三部 第一章 三 大乗戒壇と真言院
・『古代中世の社会変動と宗教』(義江彰夫/編 吉川弘文館 2006.1)
p.114-150 手島崇裕「九世紀後半の授戒に関する一考察:南北授戒制相互の影響関係に注目して」
・『中世東大寺の組織と経営』(永村真/著 塙書房 1989.2)
p.238-245 第一章 第五節 一 戒律と僧団
・『中世初期南都戒律復興の研究』(蓑輪顕量/著 法蔵館 1999.6)
p.6-11 序論 一 中世以前戒律思想研究史概説
中世鎌倉期の仏教についての研究書だが、序論で古代から中世に至るまでの戒律受容についてまとめられている。
●在家信者(貴族)の受戒
・『日本仏教思想研究 第2巻 戒律の研究 下』(石田瑞麿/著 法蔵館 1986.12)
p.239-263 平安中期における在家信者の受戒精神の展開
(3)戒律について書かれた資料
・『戒律の研究』(土橋秀高著 永田文昌堂 1980.5)
・『平川彰著作集 第14-17巻 二百五十戒の研究1-4』(平川彰/著 春秋社 1993.2)
<参考>
・『仏教を知る本 1 人と歴史:人物・仏教史』(日外アソシエーツ株式会社/編集 日外アソシエーツ 2009.4)
p.243-248 仏教のはじめ 戒律
[事例作成日:2023年8月30日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 仏教教理.仏教哲学 (181 10版)
- 経典 (183 10版)
- 仏教 (180 10版)
- 参考資料
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- 日本仏教史辞典 今泉/淑夫∥編 吉川弘文館 1999.11 (116、457)
- 仏教事典 日本佛教学会‖編 丸善出版 2021.1 (145)
- 日本仏教の基本経典 大角/修‖著 KADOKAWA 2020.3 (195-222)
- 日本仏教思想研究 第1巻 石田/瑞麿∥著 法蔵館 1986.9 (53-393)
- 戒律の世界 森/章司∥編 渓水社 1993.5 (671-700)
- 古代仏教界と王朝社会 曾根/正人∥著 吉川弘文館 2000.9 (89-96、161-166)
- 古代中世の社会変動と宗教 義江/彰夫∥編 吉川弘文館 2006.1 (114-150)
- 中世東大寺の組織と経営 永村/真∥著 塙書房 1989.2 (238-245)
- 中世初期南都戒律復興の研究 蓑輪/顕量∥著 法蔵館 1999.6 (6-11)
- 日本仏教思想研究 第2巻 石田/瑞麿∥著 法蔵館 1986.12 (239-263)
- 戒律の研究 土橋秀高著 永田文昌堂 1980.5
- 平川彰著作集 第14巻 平川/彰∥著 春秋社 1993.2
- 平川彰著作集 第15巻 平川/彰∥著 春秋社 1993.11
- 平川彰著作集 第16巻 平川/彰∥著 春秋社 1994.11
- 平川彰著作集 第17巻 平川/彰∥著 春秋社 1995.11
- 仏教を知る本 1 日外アソシエーツ株式会社∥編集 日外アソシエーツ 2009.4 (243-248)
- キーワード
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- 受戒(ジュカイ)
- 戒律(カイリツ)
- 平安時代(ヘイアンジダイ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000341346