レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021年03月11日
- 登録日時
- 2021/04/29 11:50
- 更新日時
- 2023/03/15 12:20
- 管理番号
- 台東区-10415
- 質問
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解決
正岡子規が詠んだ俳句「八人の子どもむつましクリスマス」の8人の意味を知りたい。
子どもが8人? 8人は他人? きょうだい? 親も含む? また別の意味か?
- 回答
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・子規庵:メールで問い合わせ
回答「背景は不明。8人の子供はクリスマスの日に集まっている子供の数と思える」とのこと。
・松山子規記念博物館:メールで問い合わせ
回答「この句が解説されている書籍等を探したが、該当なし。その他資料からも人物の特定には至らず。ただ、数が多いという意味で「八」が使われている句がいくつか見受けられることから、類推ではあるが「八人」は「8」という人数ではなく、多くの子どもを意味するのではないかとも考えられる」とのこと。
・『子規研究資料集成 研究篇1』により、明治29年の句。解説によれば「自由に新事物を読んだものが多い。これら夏帽、クリスマス、冬帽、手袋、二重廻し、火事等は新しき季題をつくった~」等解説あるが背景は触れず。前後に、情景を写生(見たまま)するような句が多いことの解説があり。
・明治29年を子規の日記に探すが、『子規全集 第14巻 評論日記』によると病床日誌は明28年7月まで、病床手記は明治30年からで、明治29年の日記はなく、生活を伺い知ることはできず。
・『子規全集 第15巻 俳句会稿』より、クリスマスの句、多々あり。
・『日めくり子規・漱石』にロンドンの漱石よりクリスマスカードを贈られている(ただしこれは明治33年)記載があるため、漱石の年譜(『漱石文学全集 別巻』)を確認。明治29年は頻繁に子規と漱石の交流[漱石の俳号は子規が贈った]がある。子規はクリスマスをロンドンに詳しい漱石から知ったと読める。
・『子規秀句考』の著者は、子どもが八人、血縁者ではとの解釈で解説している。また「子どもの多い、楽しい家庭にどんなに憧れていたか」と解説している。
・新宿区立漱石山惣記念館:電話で問い合わせ
回答「漱石の資料に子供やクリスマスの絵はなく。明治29年に子供の絵やクリスマスカード等を子規に贈った形跡なし。(資料4記載のカードは柊の句とロンドンの町並みの写真。子どもおらず。)」
・子規の遺墨集などにも子どもの絵はなし。明治29年は野球のルールを書いているが。野球は9人制なので無関係と思える。
『子規研究資料集成 研究篇1』
P.160:明治29年の句と解説。該当のクリスマスの句あり。
『子規全集 第14巻 評論日記』
明治29年の日記はなし。
『子規全集 第15巻 俳句会稿』
P.518,703:クリスマスの句多あり。
『日めくり子規・漱石』
P.226:ロンドンの漱石よりクリスマスカード
『漱石文学全集 別巻』
P.111~117:明治29年 子規と漱石の交流が分かる。
『子規秀句考』
P.228:著者による解説内に以下の文章
「右の句意のように、子どもの一家をクリスチャンとみたい。ただし、居留地などの外国人ではなく、日本人の家庭である。子どもが八人だという理由ばかりではなく、「むつまし」という血縁あるものが互いに感じる親しさへの想像は、子規にとってきわめてナショナルな感情にもとづくように受け取れる。ここには穿った読み方をするならば、妹と二人きりの兄妹であった少年子規が、子どもの多い、楽しい家庭にどんなに憧れていたか、そんな心理が揺曳しているのかもしれない。」
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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・日本で初めて「クリスマス」を季語にいれた俳句として知られている。
- NDC
- 参考資料
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越後敬子編・解説 , 越後, 敬子 , 木下, 春雄 , 小泉, 苳三. 俳人子規, 正岡子規. クレス出版, 2012. (子規研究資料集成, 研究編1)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000096-I009757035-00 , ISBN 9784877336318 (台東区113228936/ゆかり-マサシ) -
正岡子規 著 , 正岡, 子規, 1867-1902. 子規全集 第14巻 (評論・日記). 講談社, 1976.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001250296-00 (台東区122740533/ゆかり-マサシ) -
正岡子規 著 , 正岡, 子規, 1867-1902. 子規全集 第15巻 (俳句会稿). 講談社, 1977.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001353050-00 (台東区122740558/ゆかり-マサシ) -
神野紗希著 , 神野, 紗希. 日めくり子規・漱石 : 俳句でめぐる365日. 愛媛新聞社, 2018.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000096-I011793565-00 , ISBN 9784860871376 (台東区122495526/ゆかり-マサシ) -
荒正人 著 , 荒, 正人. 漱石文学全集 別巻. 集英社, 1978.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I081759582-00 (台東区122312770/918.6ナ) -
宮坂静生著 , 宮坂, 静生. 子規秀句考 : 鑑賞と批評. 明治書院, 1996.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000096-I011074214-00 , ISBN 4625460514 (台東区112485347/ゆかり-マサシ)
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越後敬子編・解説 , 越後, 敬子 , 木下, 春雄 , 小泉, 苳三. 俳人子規, 正岡子規. クレス出版, 2012. (子規研究資料集成, 研究編1)
- キーワード
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- 正岡子規
- 夏目漱石
- クリスマス
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 書誌的事項調査
- 内容種別
- 人物
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000297691