レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023/06/06
- 登録日時
- 2023/07/30 00:30
- 更新日時
- 2023/07/30 00:30
- 管理番号
- 6001061313
- 質問
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解決
韓国の昔話や民話に出てくるトッケビはどういうものか知りたい。
- 回答
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トッケビ(도깨비、トケビやドッケビ表記も含む)については、次の資料に説明が載っている。
・『トケビ:韓国妖怪考(歴博ブックレット24)』(金宗大/著 南根祐/訳 歴史民俗博物館振興会 2003.3)
まえがきに「本書は韓国の代表的な想像物である妖怪のトケビに関する考察をまとめたものである(中略)韓国のトケビを正しく理解してもらえたらと思う」とあり、トッケビが登場する話を多数引用し、住んでいる場所、性格、好きな食べ物、類型などを考察している。
・『韓国の「鬼」:ドッケビの視覚表象』(朴美【ギョン】/著 京都大学学術出版会 2015.11)
トッケビについて視覚イメージの歴史をその時代と合わせながら論じ、分析することでトッケビに対する認識の変化を考察している。トッケビの視覚イメージがオニの視覚イメージとして同化し定着していった時期であると著者が考えている植民地解放後の軍事政権期や、90年代に社会問題化した「トッケビ論争」についても記述がある。
・『韓国昔話集成2 動植物昔話2』(崔仁鶴/編著 樋口淳/日本語版編 田畑博子/訳 悠書館 2013.12)
p.40「78 青トッケビ」の解説に「トッケビは、なんにでも姿を変える不思議な妖怪で、一般には人を驚かすことはあっても、命を奪うことは稀です。この話の主人公である老婆は、ふとしたはずみで、トッケビの世界に迷い込み、抜け出すことができずに命を落としてしまいます。」とある。
・『韓国昔話集成3 本格昔話2』(崔仁鶴/編著 樋口淳/日本語版編 田畑博子/訳 悠書館 2016.4)
p.230-231「190 トケビのトンゴリ」の解説に「ホランガムテやトンゴリなどの魔法の品を持ち、博打好きで金銀を隠し持っていることは、日本のオニにもよく似ています。」とある。
・『韓国昔話集成5 本格昔話4』(崔仁鶴/編著 樋口淳/日本語版編 李権煕/訳 悠書館 2018.11)
p.392「404 トケビの話を立ち聞きした若者」の解説に「トケビの話を聞いて幸せをつかむ話ですが(中略)主人公の真似をした欲深な友達が失敗して不幸になる件がありません。」とある。
・『韓国昔話集成6 笑話1』(崔仁鶴/編著 樋口淳/日本語版編 李権煕/訳 悠書館 2019.8)
p.146「458 雌と雄のトケビ」の解説に「トケビは韓国の妖怪で、鬼神と同じく家にとりつくと恐ろしい力を発揮して、家人を取り殺すことがあります。しかし勇気をもって対処すると、莫大な金銀をあたえてくれることもあります。」とある。
・『韓国昔話集成8 形式譚 神話的昔話 その他(補遺) 』(崔仁鶴/編著 樋口淳/日本語版編 李権煕/訳 悠書館 2020.4)
p.128-129「685 トッケビと相撲をとった叔父さん」の解説に「トッケビは鬼神とともに韓国を代表する妖怪です。(中略)トッケビは、人間とは違った魔物で、この話のように遺棄された古い箒などが変化することがすくなくありません。(中略)話によっては多様な性格を示します。」とある。
p.133「686 トッケビと餅」の解説に「漁師がトッケビに餅をやって大切にすると大漁になり、それを怠るとひどい目にあって」とあり、沖縄のキジムナーと似ている点を述べ「トッケビとキジムナーという妖怪が、時として人間に富をもたらし、それゆえに神として祀られることもあるという指摘は、人間と妖怪との交渉を考える上できわめて貴重であると思われます」とある。
p.136「687 トッケビが築いた堰」の解説に「トッケビのような妖怪が、人間には築くことが難しい城や橋を築く話は世界各地にみられますが」とある。
・『民話で知る韓国(生活人新書177)』(ちょんひょんしる/著 日本放送出版協会 2006.4)
p.13-54「1章 トッケビはいたずらが大好き」に著者のエピソードとトッケビが出てくる話、話の解説などが掲載されている。
・『韓国の民話』(任東権/著 熊谷治/訳 雄山閣出版 1995.9)
p.65「トッケビ 小鬼・お化けなどと訳されている。人間をだまし、いたずらを盛んにする、朝鮮半島に独特に存在するもの。」とある。
p.213-225「韓国民話の特徴」に以下の記述がある。
p.214「化け物の一種であるトッケビは如意棒をもっている。日本の鬼棒にはトゲがあって悪物退治に使われるが、韓国のトッケビの如意棒が願いごとをしながら如意棒を打つと、なんでも出るのである。」
p.222-223「【トッケビ譚】」で、トッケビについて、その特性、性格、いたずらのなどに触れ「実在はしないが韓国人の心の中には存在して、よく民話に登場した」「神出鬼没と超人的能力があり、自由自在な変容ができるので、民衆の偶像として語られてきた」とある。
[事例作成日:2023年6月6日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 伝説.民話[昔話] (388 10版)
- 参考資料
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- トケビ 金/宗大∥著 歴史民俗博物館振興会 2003.3
- 韓国の「鬼」 朴/美【ギョン】‖著 京都大学学術出版会 2015.11
- 韓国昔話集成 2 崔/仁鶴∥編著 悠書館 2013.12 (40)
- 韓国昔話集成 3 崔/仁鶴‖編著 悠書館 2016.4 (230-231)
- 韓国昔話集成 5 崔/仁鶴‖編著 悠書館 2018.11 (392)
- 韓国昔話集成 6 崔/仁鶴‖編著 悠書館 2019.8 (146)
- 韓国昔話集成 8 崔/仁鶴‖編著 悠書館 2020.4 (128-129,133,136)
- 民話で知る韓国 ちょん/ひょんしる∥著 日本放送出版協会 2006.4 (13-54)
- 韓国の民話 任/東権∥著 雄山閣出版 1995.9 (65,214,222-223)
- キーワード
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- 妖怪(ヨウカイ)
- 韓国(カンコク)
- 朝鮮(チョウセン)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000336580