レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022年2月9日
- 登録日時
- 2022/02/09 15:00
- 更新日時
- 2023/01/13 17:54
- 管理番号
- 北九2022中央008
- 質問
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解決
川上音二郎と北九州について書いてあるものはありますか。興行援助(者)について分かるものがあれば教えてください。
- 回答
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下記の資料をご案内しました。
北九州での初公演は明治28年3月若松(旭座)、
博多出身の音二郎にとって二度目(博多初公演はパリ帰り後明治26年6月)の九州凱旋公演となった興行は大盛況で、三日間の延長となり18日間催され一座の若松-折尾間汽車賃も無料となりました。(『北九州市史第5巻』)
本公演援助の若松有志(招き主)とは安川敬一郎・若松築港株式会社の取締役・株主である和田喜三郎・久保太郎らであると分かりました。(「門司新報 明治28年1月15日」より)
当時の入場料は『北九州地方社会労働史年表』によると 「明治28年3月25日~4月11日 若松興行の桟敷料 上等1円50銭・中等1円・札料(木戸銭)大人8銭・小児4銭」とあります。(「門司新報明治28年4月12日」)
明治37年、戦争景気で活気づいた小倉では九鉄や小倉市内旅館と交渉してえびす市期間中の汽車賃・宿泊料を二割引きとしました。
おりしも川上音二郎の芝居「ハムレット」(看板女優貞奴が近代女優への転身をなしとげた作品として知られる)が興行されており、こちらも割引することになり功を奏して乗降客が4割増しになったといわれています。(『小倉市史第4巻』)(えびす市―師走の小倉城下町商店街の年中行事であった『記録23冊』「大正末期の城下町の年の暮れ/大隈岩雄」」/えびす市と大売り出しより)
明治37年12月(10日~14日)若松旭座・(15日~19日)下関稲荷座ともに演目『ハムレット』
明治40年4月、川上一座が小倉市内高等・尋常小学校生2200名を小倉常盤座に招待。演目は御伽噺芝居『浮かれ胡弓』(『北九州地方社会労働史年表』89頁)。
明治41年10月、川上革新興行第1軍「門司」公演、第2軍「下関」公演、明治42年3月第3軍「門司」「小倉」公演
明治43年11月、「門司凱旋座」公演(明治40年以外は『川上音二郎・貞奴 新聞にみる人物像』より)
伝記に書き残された後援者としては、伊藤博文や金子堅太郎が挙げられます。
明治20年芸者であった貞奴が伊藤博文にみずあげされ、別荘のある夏島で憲法草案を練っていた処に貞奴が出入りして以来、金子堅太郎らと交流を持ち、地元が同じ縁もあり音二郎との結婚の媒酌人をつとめました。渡航した音二郎は舞台装置などを学び近代演劇を確立、海外の演劇界を見てきた面々で「先覚者音二郎」を見守りました。
- 回答プロセス
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自館端末検索後、福岡県立図書館のキーワ-ド検索「【郷土】検索語」にて検索し、「ひろば北九州」、「西日本文化」掲載の関連記事を確認しました。
旭座劇場主藤井昇吾について取り上げている「私の出会ったひとたち 馬渡 博親/著」の119頁~125頁に旭座での川上音二郎一座についての記述あり。(「西日本文化」No420 2006年4月に掲載したもの)
- 事前調査事項
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明治44年11月11日没。
明治28年の地方公演は北九州(若松)3月25日から4月11日、博多4月16日から4月26日まで
その後が初の歌舞伎座公演となる。(5月7日から6月10日まで)
初演の当時の若松は「明治26年船頭町に住んでいた杉山徳三郎という人物が河叫島(中之島)の発電所から直接電灯を引いて人々を驚かせた。」という逸話や「明治27、28年頃若松駅の電灯を各地の小学校から見学に来た」などの記録が残っている黎明期。
本格的な民生用の電気は、明治30年若松電燈(株)設立、北九州最初の電灯が翌年若松の街に灯った。その電灯事業にも安川敬一郎がたずさわっている。
小倉稲荷座開場(明治31年6月)和田喜三郎:若松幼稚園設立
- NDC
- 参考資料
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- ひろば北九州 No39,1985「川上音二郎と北九州/今村元市」38頁~40頁
- 北九州市の文化財を守る会会報 No36,1981.10「北九州の劇場/今村元市」
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北九州地方社会労働史年表 古賀 良一/〔ほか〕編集 西日本新聞社 1980.2 分類:366621 K366
タイトルコード:1007010040467 27頁「明治28年3月25日~若松旭座公演の敷料」 (0014380463) -
北九州市史 近代・現代 教育文化 北九州市史編さん委員会/編集
マーク番号:89050554
北九州市 1986 分類:219.1 タイトルコード:1007010044465 651頁 (0015519036) -
北九州市史 近代・現代 行政社会 北九州市史編さん委員会/編集
マーク番号:89050555
北九州市 1987 分類:219.1 タイトルコード:1007010063699 371頁 (0013865381) -
川上音二郎・貞奴 白川 宣力/編著
新聞にみる人物像 4-8419-0017-9 マーク番号:85-31545
雄松堂出版 1985.11 分類:775.1 タイトルコード:1000001310135 (0010957496) -
私の出会ったひとたち 馬渡 博親/著
北九州歴史人物散歩 4-9905053-5-6 978-4-9905053-5-6 マーク番号:14032833
櫻の森通信社 2014.6 分類:281.91 明治の奇人・藤井昇吉81~125頁 (0017709767) -
川上音二郎の生涯 井上 精三/著
マーク番号:85-22012
葦書房 1985.8 分類:775.1 タイトルコード:1000002298964 53頁~54頁 -
博多川上音二郎 江頭 光/著
4-8167-0415-9 マーク番号:96028151
西日本新聞社 1996.7 分類:775.1 タイトルコード:1000001758405 128頁
はじめて「オッペケペー節」を博多で歌ったのは明治22年(1889年)5月博多来演時といわれている。77頁
金子堅太郎が援助。98~101頁、108~110頁、123頁 (0013595947) -
川上音二郎 松永 伍一/著
近代劇・破天荒な夜明け (朝日選書) 4-02-259448-9 マーク番号:88-04752
朝日新聞社 1988.2 分類:775.1 タイトルコード:1000001492798
84~117頁 (0011547312) -
川上貞奴 童門 冬二/著 (物語と史蹟をたずねて) 4-415-06552-X マーク番号:84-18642
成美堂出版 1984.9 分類:913.6 タイトルコード:1000001756412
伊藤総理の世話になる。35~44頁、金子堅太郎仲人を務める。80~84頁、貞奴を担ぎ出す。156頁、
鷗外の川上一座評。158頁、金子堅太郎新聞感想。178頁 (0011238425) -
実録・春の波濤 童門 冬二/ほか著 マーク番号:85-00743
ぱる出版 1984.12 分類:778.8 タイトルコード:1000002027833 (0011360765) -
九州における与謝野寛と晶子 近藤 晋平/著
(和泉選書) 4-7576-0160-3 マーク番号:02030819
和泉書院 2002.6 分類:911.162 K912 タイトルコード:1003210036299
「北九州若松の文化的則面について」21頁 (0014824023) -
記録 第21冊〜第24冊 小倉郷土会編集委員会/編
小倉郷土会 1982-1987 分類:219.1 K050 タイトルコード:1003110016890 第23冊 99頁 「大正末期の城下町の年の暮れ/大隈岩雄」」えびす市について (0014487581) -
小倉郷土史学 第2巻 小倉郷土会/編
記録 国書刊行会 1982.5 分類:051 タイトルコード:1007010050185 第4冊 109頁 「忘備帳/劉寒吉著」」えびす市について (0015633506)
- キーワード
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- 川上音二郎
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 所蔵調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000311950