レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 20230619
- 登録日時
- 2023/11/02 00:30
- 更新日時
- 2023/11/02 18:38
- 管理番号
- 中央-2023-12
- 質問
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解決
1873(明治6)年の太政官布告のコピーが手元にある。
1 この当時、どのように全国民に布告の内容を周知したのか。また、中央政府から地方に回送する際の部数についても知りたい。
2 当時(明治初期)の郵便事情が知りたい。
3 太政官布告の印刷はどのように行っていたのか。当時(明治初期)の印刷技術についても知りたい。
- 回答
-
都立図書館蔵書検索や国立国会図書館オンライン( https://ndlonline.ndl.go.jp/ )を件名<郵便 歴史><官報><印刷 歴史>、キーワード<公用通信>等で検索した。
1 明治初期の公用通信(中央政府から地方への公文書の送達)について
資料1 p.462-473「第三編 第七章 二、近代法令公布制度の確立 官報以前の法令公布制度」
江戸時代から明治初期にかけての法令公布制度について解説している。触書や高札、布告張出場による告知などの周知方法や、各府県に配付する布告・布達部数にも触れている。
資料2 p.158-172「第三章 官報創刊 官報以前の法令布達」
江戸時代以降官報以前の法令布達制度について記述されている。
p.170には、1873(明治6)年10月15日に布告書類の頒布部数が定められたこと、またその内容の記載がある。
資料3 p.7-14「第一部 一 官報以前の官令布達」
明治初年頃、諸法令の布達に高札制度が使われていたことから始まる、官報以前の官令布達方式のあらましが述べられている。
資料4 p.18-54「日本における近代郵便の成立過程-公用通信インフラによる郵便ネットワークの形成-」(井上卓朗)
「2 2 政府と府藩県等との公用通信」(p.33-34)に、1869(明治2)年、「東京の馬喰町元郡代屋敷に東京出張所を設けさせ、そこを通じて中央政府と各府県等との文書の送達を行なった」(p.33)とある。また、それから1875(明治8)年までの公用文書送達の経緯が記されている。
資料5 p.101-111「第5章 公用通信による郵便網の形成」
1872(明治5)年に郵便が全国で実施された際の手法について、「府県が府県内の公用通信のために独自に維持していた定便や飛脚などの業務を、官営郵便が担うことにした」「戸長役場などに郵便局の役割を果たしてもらった」(p.101)などとある。
また、1869(明治2)年に始まった政府による中央と地方間の公用通信の実態も明らかにしている(p.103-104)。
資料6
明治期の法令伝達の詳細が述べられている。
「第一章 明治期の高札と法令伝達」「第二章 明治期の東京府における法令伝達制度について」「第三章 官報創刊前の法令伝達について」などの章立てとなっている。
2 明治初期の郵便事情
資料7~資料9に詳細がある。
資料7 p.35-57「第1編 第1章 第1節 郵便の創業・制度の確立」
資料8 p.23-36「第1部 第一章 新式郵便への準備」、p.37-59「第1部 第二章 新式郵便の創業」等
資料9 p.45-74「第1章 三 官営郵便制度の創出による情報伝達量の激増」
3 布告の印刷及び明治初期の印刷技術について
資料10 p.42-49「第2章 論文2 印刷がつくった近代日本」(鈴木淳)
政府による布達を印刷するため府県庁所在地で活版印刷が普及したこと(p.43)や、中央政府の所在地である東京が印刷の中心地になった経緯(p.48-49)などが書かれている。
資料11 p.365-370「第二編 第七章 三、印書局の事業と印刷物 太政官の布告類」
資料6にあるような当時の法令公布制度の解説があるほか、布告の印刷手続についても触れている。p.368には「明治五年(一八七二)九月に印書局が誕生して、最初に手がけたのが、これらの手続に従って正院から各省その他へ配布する布告類と太政官日誌の印刷であった。」とある。
資料12 p.87-138「本編の三 一、明治初期の活版印刷」
1868(明治元)年から1882(明治15)年頃の活版印刷史が書かれている。p.103には「印書局は明治五年(西暦一八七二年)九月、太政官正院の中に創設せられ、活版印刷の業を管掌し、主として太政官日誌その他官府の布告、布達類を印刷し」とある。
資料13
現在の富山県で明治初期に活版印刷業を興した人物や当時のことが書かれている。布告の印刷については、「一章 士魂に育まれた創業の人 活版御用を魚津で始める」(p.22-29)、「二章 志の疾風怒濤 魚津から富山へ」(p.48-54)、「二章 志の疾風怒濤 印刷代価について」(p.54-60)などに記述がある。
資料14
p.221-253「第十一章 明治年間の印刷技術の発達」のうち、「明治初年の洋式活版術」(p.221-235)、「明治初年の銅凹版と石版」(p.235-238)に、明治初期の印刷技術について詳しく書かれている。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 行政 (317 10版)
- 法制史 (322 10版)
- 通信事業史.事情 (692 10版)
- 参考資料
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- 【資料1】大蔵省印刷局百年史 第2巻 / [大蔵省印刷局/編] / 大蔵省印刷局 / 1972 <3172/O634/O3-2> (p.462-473)
- 【資料2】官報創刊前後 / 近藤金広/著 / 原書房 / 1978 <3109/2/78> (p.158-172)
- 【資料3】官報百年のあゆみ / 大蔵省印刷局/編 / 大蔵省印刷局 / 1983.7 <3109/4/83> (p.7-14)
- 【資料4】雑誌:郵政資料館研究紀要 2号 (平成22年度) / 郵政歴史文化研究会/編 / 郵政資料館 (p.18-54)
- 【資料5】郵便の歴史 / 増補 / 井上 卓朗/共著, 星名 定雄/共著 / 鳴美 / 2021.6 <693.2/5064/2021> , ISBN 978-4-86355-100-8 (p.101-111)
- 【資料6】明治期における法令伝達の研究 / 岡田 昭夫/著 / 成文堂 / 2013.5 <322.1/5341/2013> , ISBN 978-4-7923-0542-0
- 【資料7】郵政150年史 / 日本郵政株式会社広報部社史編纂室/編纂 / 日本郵政 / 2022.3 <D/693.0/5055/2022> (p.35-57)
- 【資料8】近代日本郵便史 創設から確立へ / 藪内 吉彦/著, 田原 啓祐/著 / 明石書店 / 2010.10 <693.2/5029/2010> , ISBN 978-4-7503-3272-7 (p.23-36、p.37-59)
- 【資料9】情報・通信の社会史 近代日本の情報化と市場化 (生活と技術の日本近代史) / 石井 寛治/著 / 有斐閣 / 1994.11 <6921/3001/94> (p.45-74)
- 【資料10】印刷都市東京と近代日本 / 印刷博物館/編集・制作 / 凸版印刷印刷博物館 / 2012.10 <T/749.2/5001/2012> (p.42-49)
- 【資料11】大蔵省印刷局百年史 第1巻 / [大蔵省印刷局/編] / 大蔵省印刷局 / 1971 <3172/O634/O3-1> (p.365-370)
- 【資料12】活版印刷史 / 川田久長/著, 山本隆太郎/編 / 印刷学会出版部 / 1981.10 <7492/15/81> (p.87-138)
- 【資料13】活版師はるかなり 布告から薬袋まで / 勝山 敏一/著 / 朝日印刷 / 2008.6 <D/749.0/5100/2008> , ISBN 978-4-903351-49-0 (p.22-29、p.48-54、p.54-60)
- 【資料14】日本印刷技術史 / 中根 勝/著 / 八木書店 / 1999.12 <749.2/5004/1999> (p.221-235、p.235-238)
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000340445