レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022/12/16
- 登録日時
- 2023/08/05 00:30
- 更新日時
- 2023/08/05 00:30
- 管理番号
- 服部図書館R1001249
- 質問
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解決
妻が妊娠中、夫である死刑執行人は一定期間執行人としての仕事は免除される。この理由の根底にあるものは何か。「言い伝え」と「迷信」との違いの具体例について書いた本を探してほしい
- 回答
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参考資料(1)に同(8)の引用として、「刑務官の募集要項には死刑執行について一言も書かれていないこと、刑務官の服務規程に死刑執行についての文言がないこと、刑務官が死刑執行人であることによるさまざまな苦悩の内実」について記載されている。
また、死刑執行を断ることができる場合について、
「一 執行をしたことがある者
二 定年前の者
三 病院通いをしている者
四 家族に病人がいる者
五 妻が妊娠している者」とあり、四と五に至っては因果応報観からきているとも。
「理屈では関係ないとわかっていても、死刑の執行とある種の『不幸』を関連づけてとらえてしまうところに、人を殺すことへの畏怖を読み取ることができるのではないか」という記載あり。
同(2)に命令は原則として断れないが、妻が妊娠中、父が喪中の場合など、事情を話して執行命令を断る刑務官がいたと記載あり。
同(3)に「勤務態度が優秀なベテランと若手が選ばれ、妻が妊娠中であったり、家族に病気の者がいたりする場合などは対象から除かれる。明文化されているわけではないが、身内に何かあった場合に『自分が死刑に関わったからではないか』と刑務官に思わせないため、慣例的な配慮をしている」と記載あり。
同(4)に死刑執行官の選定において発令を見送る事情として、
・妻子に妊婦がいる者
・病気で入院中の家族がいる者
・本人及び子女の結婚予定がある者
・喪中の者 など
と記載あり。また、死刑執行に関わった刑務官の様々な不幸な噂についての描写も。
同(5)は克明な心理描写で死刑執行人の心情が描かれた小説。同(6)の中で同(10)とともに紹介。
同(7)に刑務官の心情として「罪のない人間を何人も殺した死刑囚の描いたものなど受け取ると、被害者の怨念や祟りが乗り移って災いや不幸に襲われる」という描写あり。
同(8)は死刑執行に携わった刑務官の苦悩を集積した著作。大阪府立・市立図書館所蔵
同(11)は同(1)の中で、現代の日本で死刑執行人を最も忠実に描いたマンガ作品として紹介されている。大阪市立図書館他所蔵。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 刑法.刑事法 (326 10版)
- 参考資料
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- 死刑執行人の日本史 櫻井悟史/著 青弓社 2011.1 326.41 , ISBN 978-4-7872-3323-3 (p28~,p140-157他)
- 死刑はいかに執行されるか 坂本敏夫/著 日本文芸社 2003.2 326.41 , ISBN 4-537-25135-2
- ルポ死刑 佐藤大介/著 幻冬舎 2021.11 326.41 , ISBN 978-4-344-98638-1 (p97-98)
- 死刑のすべて 坂本敏夫/著 文藝春秋 2006.5 326.41 , ISBN 4-16-767987-6 (p42,)
- 夏の流れ/河 丸山健二/著 田畑書店 2020.7 913.6 , ISBN 978-4-8038-0373-0
- 死刑文学を読む 池田浩士/著∥川村湊/著 インパクト出版会 2005.2 902.09 , ISBN 4-7554-0148-8 (p203-221 4.刑務官の視点から描く死刑制度)
- 元死刑執行官だけが知る監獄の叫び 藤田公彦/著 徳間書店 2008.7 326.52 , ISBN 978-4-19-862557-3 (p45)
- 死刑執行人の苦悩 大塚公子/[著] 角川書店 1993.7 916 , ISBN 4-04-187801-2
- 死と壁 玉井策郎/著 弥生書房 1992.1 916 , ISBN 4-8415-0654-3
- 13階段 高野和明/著 文藝春秋 2012.3 913.6 , ISBN 978-4-16-780180-9
- モリのアサガオ 1 郷田マモラ/著 双葉社 2005.1 726.1 , ISBN 4-575-83040-2 (全7巻)
- キーワード
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- 死刑、死刑執行人、刑務官
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 社会科学
- 内容種別
- 一般資料
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000336955