お調べの内容に関する資料は、各国事情や歴史、経済史等々複数の分野から幅広く調査が可能かと思われます。主に調査中の4件に関して、数点ずつ資料を紹介します。ただし、調査しました資料では食料や物資の不足や配給など生活上の細やかな箇所について記述されている資料はあまりないようです。
1.日本の終戦後の経済状況に関する資料
・『東京闇市興亡史』(猪野健治/編 双葉社 1999.10)
物価騰貴について昭和22年の実例やその前後の物価など庶民の生活に関する事柄が記載されています。
・『占領下の民衆生活』(国立歴史民俗博物館/ほか編 東京堂出版 2010.5)
敗戦直後の生活史をテーマとした、国立歴史民俗博物館の開室準備シンポジウムの記録とギャラリートークを収録、「預金封鎖」などについての記述があります。
・『日本経済史 4:戦時・戦後期』(石井寛治/ほか編 東京大学出版会 2007.9)
第4章~第7章が戦後に関する記述で、食糧危機や農業改革について書かれています。
・『戦後体制の形成:1950年代の歴史像再考』(「年報日本現代史」編集委員会/編 2008.5)
p.51-114に1950年代における経済自立と農業諸制度について書かれています。
2.メキシコに関する資料
・『メキシコ現代史』(鈴木康久/著 明石書店 2003.4)(請求記号:256/32N)
「ポピュリズムが支えた経済危機の時代(1970~1982)と題した文章が掲載されています(p.159-184)
・「アルゼンチン危機より米国の景気」星野妙子/著(雑誌『ラテンアメリカレポート』19(2)<64>2002.11.20 p.37-46)
・「メキシコ―裏庭の苦渋」星野妙子/著(雑誌『ラテンアメリカレポート』26(1)<77>2009.5.20 p.17-22)
・「危機構造を抜け出せないメキシコ経済 外貨流入細り、数年先は不透明」佐藤陽信/著(雑誌『世界週報』79(44)1998.12.1 p.18-23)(請求記号:P31/80N)
3.アルゼンチンに関する資料
・『アルゼンチンを知るための54章』(アルベルト松本/著 明石書店 2005.9)(請求記号:302.6/34N)
p.301-316に債務問題に関しての推移に関する記述があります。
・「泡と消えたラプラタの奇跡と第三の道」宇佐美耕一/著(雑誌『ラテンアメリカレポート』19(2)<64>2002.11.20 p.2-10)
・「アルゼンチン―楽観のなかの不安」宇佐美耕一/著(雑誌『ラテンアメリカレポート』26(1)<77>2009.5.20 p.12-16)
4.ロシアに関する資料
・『ロシアは、いま。:経済危機からいかに脱却するか』(朝妻幸雄/著 ダイヤモンド社 1999.9)(請求記号:302.3/384N)
・『ロシアと世界金融危機:遠くて近いロシア経済』(酒井明司/著 東洋書店 2009.4)(請求記号:332.3/426N)
ソ連邦解体を経てプーチン時代への流れを解説。
・「ロシアにおける経済危機とその社会的、政治的インパクト」木村汎/著(雑誌『海外事情』58(2)2010.2.5 p.69-92)
5.記述が複数国にわたる資料
・『通貨金融危機の歴史的起源:韓国,タイ,メキシコにおける金融システムの経路依存性』(岡部恭宜/著 木鐸社 2009.12)(請求記号:338.2/823N)
・『変動するラテンアメリカ社会:「失われた10年」を再考する』(グスタボ・アンドラーデ/ほか編 彩流社 1999.4)(請求記号:302.5/177N)
・『ラテンアメリカ危機の構図:累積債務と民主化のゆくえ』(細野昭雄/ほか著 有斐閣 1986.4)(請求記号:332.5/80)
アルゼンチン・メキシコについての記述があります。
・『ラテンアメリカ経済論』(西島章次/ほか編著 ミネルヴァ書房 2004.4)(請求記号:332.5/198N)
5章「通貨危機の発生」にメキシコやアルゼンチンに関する記述があります。なお、両国の主要経済指標として1993-2002年の消費者物価インフレ率や実質GDP成長率、財政赤字/GDP比などの一覧表が掲載されています。
最初に記しましたように複数分野に資料がまたがっており、調査中以外の地域に関しましても相当数の資料が刊行されているようです。ご承知かも知れませんが、大阪府立図書館の蔵書検索につきまして参考までに紹介いたします。大阪府立図書館の蔵書検索画面に「財政」「経済」並びに「危機」や「破綻」等々をキーワードに、あるいは地域名もあわせて検索していただければ上記紹介の資料などが検索できます。資料によりましては、書誌詳細表示画面に内容紹介が掲載されているケースもあります。
また、雑誌等に掲載されている文献につきましては、「CiNii」(国立情報学研究所)や「雑誌記事索引」(国立国会図書館)を利用すれば論文名と掲載誌が調査できます。なお、CiNiiにつきましては「オープンアクセス」や「機関リポジトリ本文(無料)」の場合は本文の閲覧が可能です。「定額アクセス」の場合は大阪府立中央図書館にて閲覧できます。