レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 20220518
- 登録日時
- 2024/03/27 00:30
- 更新日時
- 2024/03/27 18:19
- 管理番号
- 中央-2023-33
- 質問
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解決
日本語で夫のことを「主人」と呼ぶことがある。この呼び方は、いつ頃から使われているか。
- 回答
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都立図書館蔵書検索や末尾のデータベース類をキーワード<主人><夫><配偶者><夫婦><呼び方><呼び名><呼称>や件名<女性語>等で検索し、ヒットした資料を調査した。
以下の資料に、夫を意味する「主人」という言葉が使われ始めた時期について書かれている。
また、「国立国会図書館デジタルコレクション」( https://dl.ndl.go.jp/ )にて、情報1は図書館・個人送信限定で公開されている。
資料1 『「主人」ということば 女からみた男の呼び方』
夫の呼称の歴史や流行に関する資料。
p.137-175「第五章 日本人はいつから夫を「主人」と呼ぶようになったのか」(田川建三[ほか])
津島佑子の文章(『女の戦後史 II』収録)を出発点として、大正デモクラシーから昭和40年代までを対象に、主人という言葉が使われ始めた時期やその経緯について考察している。
また、p.177-193「第六章 「主人」についてさらに歴史を探る」(福田真弓)では、大正・昭和期から更に遡り、主人という言葉の歴史を考察している。
資料2 『女の戦後史 2』
p.262-269「言葉」(津島佑子)
資料1で言及のあった津島佑子の文章である。小説における女の言葉について取り上げており、主人という言葉についてはp.268-269「主人、ダンナ、うちの人」に記載がある。
資料3 『気になる言葉 日本語再検討』
p.12-51「配偶者の呼び方 1 夫の呼び方 「主人」をめぐる論議」
辞書や新聞を基に、主人という言葉が使われ始めた時期について論じている。
資料4 雑誌『女性学年報』13号(1992.10)
p.11-24「<論文>「主人」の考現学 日本語における夫の呼称について」(荻野美穂)
資料3を参考に、主人という言葉の使用が持つ意味について論じている。p.12-14「I 夫はいつから「主人」になったか」に、主人という言葉が使われ始めた時期について書かれている。
情報1 雑誌『ことば』6号 現代日本語研究会 1985.12(都立図書館所蔵なし 国立国会図書館請求記号:Z13-2215)
p.20-49「配偶者を呼ぶことば 「主人」をめぐって」(遠藤織枝)
資料3と同著者による論考。p.27-43「II-2 「主人」の歴史」では、資料3と概ね同じ内容だが、明治時代の辞書や当時の新聞を基に主人という言葉が使われ始めた時期について書かれている。
(国立国会図書館デジタルコレクション 国立国会図書館内/図書館・個人送信限定公開 https://dl.ndl.go.jp/pid/7954233 コマ番号:13-27)
この雑誌のバックナンバーは現代日本語研究会のウェブサイトにて、インターネット上で本文を閲覧できる。
http://gendainihongo.sakura.ne.jp/gendainihongo
資料5 雑誌『大妻国文』第28号(1997年3月)
p.241-253「「主人」論議の意味論的解釈」(西尾寅弥)
「主人」という呼称を意味論の観点から考察した論文。
p.242-244「二 「主人」の通時論 (1)夫はいつごろから「主人」になったか」
資料3の著者の論考を要約する形で、新聞や辞典類を基にした、主人という言葉がいつごろから夫の意味で使われるようになったかに関する記述がある。
この論文は大妻女子大学の機関リポジトリにて、インターネット上で本文を閲覧できる。
https://otsuma.repo.nii.ac.jp/records/1448
以下雑誌の記事は、資料3と同著者による執筆。主人の呼称の歴史というよりも、各時代における使われ方や衰退について考察しているが、参考までに記載する。
資料6 雑誌『日本語とジェンダー』21号(2023年)
p.17-38「[第22回年次大会 基調講演 要旨] 配偶者の呼称「主人」の盛衰小史」(遠藤織枝)
1950年~2022年10月末の新聞記事3紙の中で「主人」に関する記事を抽出し、考察している。
なお、資料3~6は都立多摩図書館資料で、それ以外は都立中央図書館所蔵資料である。
以上、インターネット情報の最終検索日及び最終アクセス日は2024年3月12日。
【調査に使用したデータベース等】(都立図書館で契約しているデータベースには*を付す。)
・国立国会図書館サーチ(国立国会図書館)https://ndlsearch.ndl.go.jp/
・CiNii Research(国立情報学研究所)https://cir.nii.ac.jp/
・日本語研究・日本語教育文献データベース(国立国語研究所)https://bibdb.ninjal.ac.jp/bunken/ja/
・雑誌記事索引集成データベース ざっさくプラス(皓星社)*
・MagazinePlus(日外アソシエーツ)*
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本語 (810 10版)
- 家族問題.男性.女性問題.老人問題 (367 10版)
- 参考資料
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- 【資料1】「主人」ということば 女からみた男の呼び方 / 福田 真弓/編著 / 明石書店 / 1993.10 <3672/3196/93> (p.137-175、177-193)
- 【資料2】女の戦後史 2(朝日選書) / 朝日ジャーナル/編 / 朝日新聞社 / 1985.2 <3672/218/2> (p.262-269)
- 【資料3】気になる言葉 日本語再検討(叢書・ことばの世界) / 遠藤織枝/著 / 南雲堂 / 1987.5 <8104/215/87> (p.12-51)
- 【資料4】雑誌:女性学年報 13号(1992.10) / 日本女性学研究会女性学年報編集委員会 <5003850555> (p.11-24)
- 【資料5】雑誌:大妻国文 28号(1997年3月) / 大妻女子大学国文学会 <3300337234> (p.241-253)
- 【資料6】雑誌:日本語とジェンダー 21号(2023年) / 日本語ジェンダー学会 <7116524507> (p.17-38)
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000348065