レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2012年01月11日
- 登録日時
- 2012/07/27 19:47
- 更新日時
- 2012/09/26 16:06
- 管理番号
- 埼浦-2012-024
- 質問
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解決
川越市高階の地名の由来を知りたい。
- 回答
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下記の資料から「高階」は「和名抄」中の「高階郷」より高丘起状の地形に由来するものであることがわかる。ただし、「高階郷」が現川越市高階の地とする説のほかにもいつくかの説があり定かにはなっていない。
『新編武蔵風土記稿 [第4期]第8巻 大日本地誌体系 14』
p147「高階」
「「太加之奈」と訓す、今其遺名をしらず」とあり。
『角川日本地名大辞典 11 埼玉県』
p531「たかしなむら 高階村」
「明治22年~昭和30年の入間郡の自治体名。(中略)村名は「和名抄」の入間郡高階郷による(合併史)。」とあり。
p530 「たかしなのごう 高階郷」
「平安期に見える郷名。(中略)「和名抄」入間郡8郷の1つ。「太加之奈」と訓みが示されている。起伏に富む地形が郷名の由来。川越市高階の地に比定する説と中世の越生郷・毛呂郷に比定する説とがあるが、後者が妥当と考えられ、現在の越生町・毛呂山町付近一帯に比定される。」とあり。
『埼玉県地名誌 名義の研究』
p132「高階村(たかしな)」
「明治二十二年砂、砂新田、寺尾、藤間の四村と上新河岸、下新河岸、扇河岸を合併して新たに高階村を設置した。新村名は、(1)関係村中の大村の名称をとること(2)各村の名称を相互折衷して新たな名称を付するとの二案があったが、いずれも異論がでて意見の一致をみず、
やむなく「和名抄」に載る高階郷の名をとることとなった。(以下略)」とあり。
p132「高階郷(たかしなごう)」
「「和名抄」に高階郷が存在する。高階村の名は明治二十二年の合併のさいの新村名であるが、この地を高階郷の旧里にあてるのは難があるようである。高階の名は、高丘起伏の地形に名づけたものとみられ、「国郡志」「地理志料」は毛呂山、越生地方をあて、「地名辞書」は所沢、山口かとし、「武蔵志料」は高島(川越市)の地を擬している。されば旧高階村をいにしえの高階郷の旧里とする説は、今日まで現れていない。したがって村名を高階村としたのは、当時の町村合併の複雑な背景の上にたって理解すべきことであろう。」とあり。
『埼玉県地名辞典』
p45「高階村(たかしな)」
「明治二十二年、村制施行にあたって(中略)高階村と称した。高階の名をつけたのは、「和名抄」にのっている高階郷にちなんだものと思われるのであるが、この地が果して当時の高階郷の地であったかどうかは疑われる。(以下略)」とあり。
『埼玉県市町村合併史 下』
p9「高階村」
「明治二十二年四月一日砂新田、砂、扇河岸、上新河岸、下新河岸、寺尾、藤間の七村を合併してあらたに高階村が設置された。(中略)しかし新村名の選定に当たっては、単に関係諸村中の大村の名称をとること又は各村の名称を参互折衷してあらたな名称を付する二案を提案したが、いずれも異論がでて意見の一致をみなかった。そこでやむなく平安期の倭名抄に出て来る入間郡高階郷の名をとり「高階(たかしな)」の名称を付することとしたところ、遂に意見の一致をみ、本問題に終止符がうたれた。」とあり。
『川越市合併史稿』
p108「高階村」
「村名の選定にあたって、異論が多く出て、関係村中の大村名を採用する案、関係村の旧名を折衷する案など、ことごとく意見が合わず、結局、「倭名抄」中の入間郡高階郷の名をとり「高階村」と称することとなったが、この名称は、すでに学校名にもとられており、関係村の一致した賛成をえて決定した。」とあり。
『高階村史』
p158「高階村という名称はどこから出たのであろうか。(中略)一般に考えられるところは平安時代に書かれた和名抄という書物の中に、当時の国名、郡名、郷名等が出ているが、その中に武蔵国入間郡の中に高階郷という郷名がある。高階郷がどこを指すものであるか学者の間に定説はないが、川越の南、不老川をこえた台地を高階郷というのではないかとの説もあった。おそらくこれを足場に明治二十二年に土地の有識者がこのことを意識して、この名称となったものであろう。」とあり。
- 回答プロセス
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その他調査済み資料は以下のとおり。
『川越の地名調査報告書 1』(川越市教育委員会 1981)
『川越の地名調査報告書 2』(川越市教育委員会 1982)
『埼玉県の地名 日本歴史地名大系 11』(平凡社 1993
『川越大事典』(川越大事典編纂会編纂 国書刊行会 1988)
『高階の歴史』(高階の歴史編集委員会編 高階の歴史刊行会 1990)
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本 (291 9版)
- 貴重書.郷土資料.その他の特別コレクション (090 9版)
- 参考資料
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『角川日本地名大辞典 11 埼玉県』(角川書店 1980)
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『埼玉県地名誌 名義の研究』(韮塚一三郎著 北辰図書 1977)
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『埼玉県地名辞典』(韮塚一三郎著 関東図書 1951)
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『埼玉県市町村合併史 下巻』(埼玉県地方課編著 埼玉県 1962)
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『川越市合併史稿』(川越市総務部市史編纂室編 川越市 1966)
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『高階村史』(大護八郎著 高階村史刊行会編 高階村史刊行会 1958)
- 『新編武蔵風土記稿 [第4期]第8巻 大日本地誌体系 14』(蘆田伊人編集校訂 雄山閣 1996)
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『角川日本地名大辞典 11 埼玉県』(角川書店 1980)
- キーワード
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- 高階村(たかしなむら)
- 高階郷(たかしなごう)
- 地名-川越市
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 地名、郷土
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000109403