レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023/02/08
- 登録日時
- 2023/03/02 00:30
- 更新日時
- 2023/03/16 15:54
- 管理番号
- 14018447
- 質問
-
解決
1940(昭和15)年7月に交付された運転免許証(特殊免許)の免許種別について、第2種・第4種・第5種・第7種の車がどんな車なのか、その用途も含めて確認したい。可能であれば、当時の消防署で上記種別の特殊車両を使用していたのかも分かるとよい。
昭和16年9月から昭和20年3月まで東京市の消防署に勤務していた人物について調べており、その人物が勤務当時に所持していた運転免許証(特殊免許/昭和15年7月公布)の免許種別に第2種・第4種・第5種・第7種と表記されていたため興味を持った。
- 回答
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【 】内は当館請求記号です。
末尾に*が付いている資料は国立国会図書館デジタルコレクション( https://dl.ndl.go.jp/ )インターネット公開資料です。
末尾に**が付いている資料は国立国会図書館デジタルコレクション国立国会図書館内/図書館・個人送信限定資料です。
末尾に***が付いている資料は国立国会図書館デジタルコレクション国立国会図書館内限定資料です。
ご照会の事項について、まず昭和15年に刊行された資料1の「小型車運轉免許の知識」(pp.4-8)を確認したところ、昭和8年11月1日より実施された内務省令自動車取締令に基づいて、第二、四、五、七種特殊自動車は(樺太、台湾、朝鮮等および満州国を除く範囲で)それぞれ以下のとおりとされていました。
資料1
小型自動車大鑑 昭和15年版. 自動車教材出版社, 昭和15 【特201-471】*
※「小型車運轉免許の知識」(pp.4-8)は46-48コマ目に掲載されています。
「第二種 「ロードローラー」の類 ロードローラーグレーダー及び耕作自動車の類
第四種 電機自動車 電動機を原動機とし前各種に屬せざるもの
第五種 ハノマーク型自動車の類 第二輪に依る装向装置を有せざるものにして前各種に屬せざるもの
第七種 其の他の特殊自動車 前各種に屬せざるもの 今日では戰車(タンク)が唯一の第七種特殊自動車となつて居る」
続いて、ロードローラー、電機自動車、ハノマーク型自動車、戦車について調査したところ、ロードローラーと電気自動車について記載がある資料2、電気自動車について記載がある資料3、ハノマーク型自動車について記載がある資料4から6までおよびインターネット情報1、戦車(タンク)について記載がある資料7が見つかりましたのでご紹介します。ただし、ハノマーク型自動車の用途の記載がある資料は見つかりませんでした。
資料2
最新機械辞典 昭和13年版. 工業調査協会 編. 工業図書, 昭13 【754-122】*
p.164(89コマ目)に項目「ロードローラー」があり、「道路轉壓(転圧)機。重量のローラーを動力にて回轉し,掘返した路面等を均らす機械。」とされ、画像も掲載されています。また、p.98(56コマ目)に項目「でんきじどうしゃ」があり、「電氣を動力とする自動車。多く蓄電池にて運転する。」とあります。
資料3
自動車総覧 昭和15年版. 工業日日新聞社, 昭和15 【特209-441】*
pp.22-30(22-36コマ目)に、「電氣自動車之部」として、各メーカーの車型ごとの画像と仕様が掲載されており、「小型乗用」などの用途も記載されています。
資料4
警察實務教科書 第5巻(保安警察篇 其ニ). 警視廳警務部警務課教養係 編輯. 自警會, 1937.2 【AZ-351-H96】*
pp.36-37(25コマ目)に特殊自動車の説明があり、ハノマーク型自動車については「其の形状は普通の四輪車にして外見が前方と後方と同一型をなし前照燈は前面中央に一個あるのみである。」とされています。
資料5
加賀辰次郞. 小型免許證でどんな自動車の運轉ができるか?. モーターファン. 19(4),モーターファン社,1943-04, pp.36-39【雑31-253】**
pp.35-36(16)に特殊自動車の説明があり、第五種に属するのは「前二輪に依る操向装置を持ち、差動装置(デイフアレンシヤル)の自動車の類」で、「獨逸製のハノマーク車」だけとされています。
資料6
設計資料 2(6月號)(15). 科学動員協会設計資料委員会 監修. 産業図書, 1937-06 【雑31-167】***
pp.13-15(12-13コマ目)に「獨逸 Hanomag 1.6 リツトル新型自動車」の外観の画像やシャーシーの図面などが掲載されています。
インターネット情報1
Hanomag-Henschel.net( http://www.hanomag-henschel.net/ )
>Auto( http://www.hanomag-henschel.net/hanomag/auto/ )
縦軸に車種、横軸に「1925」から「1948-51」までの年代を並べた表があり、「1940」の列に数字が記載された車種として「Rekord 15K, 19A, K Diesel」「Sturm 22 K, 23 K, 23 KL」「Autobahn」があります。各車種に付されたリンクから遷移したページには、その車種の製造期間のほか、エンジンなどの仕様が記載されています。
資料7
思想警察通論. 日本警察社 編. 日本警察社, 昭13 【750-143】*
「思想警察通論別冊附録 思想警察常識新語辭典」のp.52(271コマ目)に項目「装甲車」があり、「一般にタンクのこと。車全体を鋼鉄張りにして機関銃、速射砲の装置のある軍用自動車。」とされています。
最後に、昭和15年前後の消防車両について調査したところ、資料8のpp.44-47に「消防特殊車両が走る 特殊車両今昔」という節があり、p.45に「化学車(昭和20年代後半)」の画像が掲載されていました(なお、p.44には「昭和25(1950年)に初めて整備した化学消防ポンプ自動車(化学車)」という記述があります)。また、pp.40-43に「消火最前線の主役の昔と今 消防車両の変遷」という節があり、「昭和4~34年まで活躍したフォード29型」(p.40)、「木製のはしごを搭載した6号車(昭和10年代後半)」(p.41)、「木製はしご車・昭和9年式フェデラル(イタリア製)」(p.42)の画像が掲載されています。しかし、いずれの車両についても、運転免許に関する記述は見当たりませんでした。
資料8
広島消防50年史 : 災害に強いまちづくり : まもり、そだてる. 広島市消防局, 1998.11 【AZ-1354-G140】
なお、インターネット情報2に、「消防車などの運転は、法令的にはそれに応じた免許証があればできることになりますが、(中略)消防ポンプ車などは機関員でなければ運転でき」ず、「機関員の歴史は、蒸気ポンプが日本に初めて登場した明治時代にまでさかのぼります。」との記述がありましたので、ご参考までにご紹介します。
インターネット情報2
東京消防庁 電子図書館( https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/elib/index.html )
>消防雑学事典( https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/libr/qa/index.html )
>消防車を運転するには( https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/libr/qa/qa_63.htm )
[その他の調査済み資料およびデータベース]
・最近施行自動車関係法規集 : 模範解説付. 国際自動車協会出版部, 昭和9 【特266-32】*
・小型自動車読本 第4版. 日満自動車界社 編. 日満自動車界社, 昭和15 【特210-38】*
・自動車ガイドブック VOL.8 1961-1962年版. 自動車工業振興会, 昭和36 【539.036-Z252z】***
・日本自動車工業史稿 第3. 日本自動車工業会, 1969 【539-Z2595n】**
・ニッポンのクルマ20世紀 (ヤエスメディアムック). 八重洲出版, c2000 【NC23-G968】
・自動車技術史の事典 普及版. 樋口健治 著. 朝倉書店, 2011.1 【NC23-J278】
・世界クルマ文化史 = THE DEFINITIVE HISTORY OF MOTORING : クルマの発明と進化を約700枚の写真で解説!. ジャイルズ・チャップマン 編集長, 和智英樹 訳. スタジオタッククリエイティブ, 2019.12 【NC23-M293】
・国立国会図書館オンライン ( https://ndlonline.ndl.go.jp/ )
・国立国会図書館サーチ ( https://iss.ndl.go.jp/ )
・国立国会図書館デジタルコレクション ( https://dl.ndl.go.jp/ )
・次世代デジタルライブラリー ( https://lab.ndl.go.jp/dl/ )
・レファレンス協同データベース ( https://crd.ndl.go.jp/reference/ )
・CiNii Research ( https://cir.nii.ac.jp/ )
・CiNii Books ( https://ci.nii.ac.jp/books/ )
・J-GLOBAL ( https://jglobal.jst.go.jp/ )
・J-STAGE ( https://www.jstage.jst.go.jp/ )
・ディープライブラリー ( https://dlib.jp/ )
・国立科学博物館 図書検索システム ( https://lib.kahaku.go.jp/drupal/ )
インターネットおよびデータベースの最終アクセス日は2023年2月6日です。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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消防、自動車、運転免許制度に関する資料や情報源を確認したが、詳細は見いだせなかった。
国立国会図書館デジタルコレクションの下記資料にて関連する情報が僅かに確認できたのみ。
『最近施行自動車関係法規集:模範解説付』(国際自動車協会出版部、1934年)
https://dl.ndl.go.jp/pid/1108261
18コマ:「第四章 運転免許」の項
⇒自動車取締令(1933(昭和8)年改正)の第37条の解説中に記載。
第二種:ロードローラー
第四種:電気自動車
第五種:独逸製ハノマーク車の様なもの
第七種:我国産のダットサン自動車の大型の様に車輛の幅1.2m長さ2.8m高さ1.8m以上で重量が360㎏以下の自動車
【その他調査済み資料】
≪図書≫
・『警視庁史 昭和前編』(警視庁史編さん委員会/編集、警視庁史編さん委員会、1962年)
・『警視庁史 昭和中編(上)』(警視庁史編さん委員会/編集、警視庁史編さん委員会、1978年)
・『東京の消防百年の歩み』(東京の消防百年記念行事推進委員会/編集、東京消防庁、1980年)
・『自治体消防50年のあゆみ』(自治体消防50年記念事業実行委員会/編集、全国消防協会、1999年)
・『日本消防史』(日本消防協会/編纂、日本図書センターP&S、2009年)
・『名消防車列伝』(橋本 政靖/著、イカロス出版、2007年)
・『自動車の百科事典』(自動車技術会/編、丸善、2010年)
・『クルマでわかる!日本の現代史』(大貫 直次郎/著、光文社、2011年)
・『自動車の発達史 ~ルーツから現代まで~ 上』(荒井 久治/著、山海堂、1995年)
・『自動車の発達史 ~ルーツから現代まで~ 下』(荒井 久治/著、山海堂、1995年)
≪インターネット情報源≫
・武蔵境自動車教習所「自動車免許はいつから必要になった?免許の歴史を徹底解説」
https://musasisakai-ds.co.jp/blog/31171/(更新日:2021.11.02)
- NDC
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- 陸運.道路運輸 (685 10版)
- 参考資料
- キーワード
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- 運転免許
- 特殊免許
- 特殊自動車
- 消防特殊車両
- 消防車両
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 科学技術(レファレンス)
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000329579