レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022年10月1日
- 登録日時
- 2023/02/02 10:19
- 更新日時
- 2023/02/14 10:05
- 管理番号
- 名古屋市鶴-2022-009
- 質問
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解決
名古屋税関の約100年前の統計資料を調査したところ、輸入品一覧に「タピオカ」と記述があった。
1.約100年前(明治時代・昭和時代)のタピオカがどのように使用されていたか
2.タピオカの歴史
3.タピオカの原料や成分について
何か参考になる資料があったら教えてほしい。
- 回答
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1.約100年前(明治時代・昭和時代)のタピオカがどのように使用されていたか
国立国会図書館デジタルコレクション『幼童手引草. 初編 巻之上』に「タピオカ」についての問答があり、「滋養」するための食料であったことが確認できました。また『製法自在暑中の飲物』では、「タピオカジエリ」「タピオカ、ブランクメンジ」という飲物のレシピが確認できました。
また『家庭百科重宝辞典 第2巻』で「タピオカ」を調べると「消化がよく、煮れば葛のように透明になり、子供、病人の食用として、粥やプディングに作る。又織物用の糊としても用ひられる」とあり、「タピオカの粥」のレシピの記載もありました。『新修百科辞典』にも「タピオカ」の項があり、こちらにも「消化がよく、粥・プデン又はスープ原料として病弱者に用ゐ、又織物用の糊に用ゐる」とありました。
2.タピオカの歴史
タピオカの原料となる「キャッサバ」の歴史については、4000年ほど前からすでにペルーなどで栽培がおこなわれていたことやポルトガル人によって広められたことなどが確認できましたが、加工後のタピオカの歴史については適当な資料が見つかりませんでした。
3.タピオカの原料や成分について
『日本大百科全書』のキャッサバの項にて「デンプンがまだ水を含んでいるうちに練り、小球状として軽く加熱して表面を半糊化させて製品とすることが多いが、これをタピオカパールといい、世界各地に輸出されている」という記述がありました。
栄養については『新ラルース料理大事典 3 P〜Z』の「タピオカ」の項目にて「消化しやすいが、ミネラルやビタミンはほとんど含まない」
という記述があり、また『食品図鑑 オールカラー版』には可食部100gあたりの「キャッサバでんぷん」の食品成分表が記載されていました。
- 回答プロセス
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1.約100年前(明治時代・昭和時代)のタピオカがどのように使用されていたか
国立国会図書館デジタルコレクションで「タピオカ」を検索し、『幼童手引草. 初編 巻之上』『製法自在暑中の飲物』で記述が確認できました。
また当館所蔵の『家庭百科重宝辞典 第2巻』『新修百科辞典』にも「タピオカ」の項があり、昭和初期の利用法が確認できます。
2.タピオカの歴史
タピオカの原料となる「キャッサバ」の歴史については、『日本大百科全書』や『アジアの伝統食品 東南アジア地域を中心に』に確認できましたが、加工後のタピオカの歴史については適当な資料が見つかりませんでした。
ただ、2019年11月12日の朝日新聞「天声人語」の「空前のタピオカブーム」にて「日本のタピオカ史も古い。明治半ばには高級な食材として知られ、大正時代の料理の本に紹介された。戦中は前線の兵士が米の代わりに空腹をいやした。戦後も食品の加工に使われてきたという。江戸後期の蘭学者、高野長英は『答必膃加』の字を当てて医薬書を翻訳した」とあることから、少なくとも江戸時代にはタピオカは存在した模様です。
今回の調査では残念ながらその医薬書等はたどれませんでした。
3.タピオカの原料や成分について
『日本大百科全書』のキャッサバの項に記述がありました。
また栄養については『新ラルース料理大事典 3 P〜Z』『食品図鑑 オールカラー版』などで確認しました。
- 事前調査事項
- NDC
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- 家政学.生活科学 (590)
- 食品.料理 (596)
- 衣食住の習俗 (383)
- 参考資料
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杉田玄端 訳 , 杉田, 玄端, 1818-1889. 幼童手引草 初編巻之上. 致高館, 1874.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000039-I001464765-00 -
伊沢雄司 著 , 伊沢, 雄司. 製法自在暑中の飲物. 成功堂, 1894.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000039-I001764452-00 -
家庭百科重宝辞典 第2巻. 婦女界社, 1933-00.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I110499907-00 -
三省堂百科辞書編輯部 編 , 三省堂. 新修百科辞典. 三省堂, 1934.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000756294-00 -
日本大百科全書 6 (かれーきよう). 小学館, 1985.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001767775-00 , ISBN 4095260068 -
農林水産省国際農林水産業研究センター 編 , 農林水産省国際農林水産業研究センター. アジアの伝統食品 : 東南アジア地域を中心に. 農林統計協会, 1996.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002518606-00 , ISBN 4541020939 -
辻調理師専門学校/訳 , 辻静雄料理教育研究所/訳. 新ラルース料理大事典 3. 同朋舎, 1999-09.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I053077130-00 -
食品図鑑 : オールカラー版. 女子栄養大学出版部, 1995.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002408100-00 , ISBN 4789554236
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杉田玄端 訳 , 杉田, 玄端, 1818-1889. 幼童手引草 初編巻之上. 致高館, 1874.
- キーワード
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- タピオカ
- キャッサバ
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000328501