レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023/10/03
- 登録日時
- 2023/11/22 00:30
- 更新日時
- 2024/03/07 00:30
- 管理番号
- 6001063073
- 質問
-
解決
小林一三が設立した箕面動物園について以下の事が知りたい。
1. 当時の箕面動物園の写真をみると、特徴的なランドマーク(不老門や蓬莱橋)があるが、なぜこのようなランドマークを園内に導入したのかについて書かれた資料があれば紹介して欲しい。
2. なぜ「箕面動物園」を設立したのか。小林一三の意図が知りたい。
- 回答
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以下の資料やWEB情報を紹介した。
1. 当時の箕面動物園の写真をみると、特徴的なランドマーク(不老門や蓬莱橋)があるが、なぜこのようなランドマークを園内に導入したのかについて書かれた資料があれば紹介して欲しい。
橋や山門について、逸翁(小林一三)は以下の様に記している。
『逸翁自叙伝 経済人叢書』 (小林/一三∥著 図書出版社 1990.1)
p197
公園入口左手の動物園は、渓流に日光の神橋を写した朱塗の橋を渡って、二間四方の朱塗の山門から登っているのである。(後略)…
「日光の神橋を写した朱塗の橋」が「蓬莱橋」、「二間四方の朱塗の山門」が「不老門」のことと推察した。
日光の「神橋(しんきょう)」とは、「(世界遺産「日光の社寺」の中にある)二荒山(男体山)をご神体としてまつる二荒山神社の建造物で、日光山内の入り口にかかる木造朱塗の橋」のことである。(以下のURLで説明・写真があり。参照のこと)
神橋(日光市) (栃木の観光旅行情報サイトとちぎ旅ネット 観光スポット)
https://www.tochigiji.or.jp/spot/s10152
また「日光の社寺」については以下のWEBサイトを紹介。
日光の社寺 (日光市 WEBサイト)
https://www.city.nikko.lg.jp/kanko/rekishi/shaji/shaji/index.html
「蓬莱橋」や「不老門」については以下の資料でもとりあげられている。
『戦前大阪の鉄道とデパート』 (谷内/正往‖著 東方出版 2014.11)
p355-399 第10章 観光整備と情報発信 第2節 戦前の箕面動物園 箕面有馬電機軌道の兼業
p386- (「鉄道時報」に掲載された開業前の見学記事)
2行目 …(前略)電車の終点から爪先き上りの道を約二町餘り辿ると、一の橋のヤヤ手前の處から、対岸の待つ松尾山へ新たに朱塗の橋が架かつて居る。それを渡ると直ぐそこに、同じ朱塗りの悪□(※□は字が判明つかなかったようで□(四角)の記号になっています。)い様な何とか式の楼門がある。(後略)…
p389 図10-9 箕面動物園の入り口 写真
本文では図と共に、門や橋が設置されている旨の説明はあるが、なぜこのような門や橋が設置されたかについての記述は確認できなかった。
2. なぜ「箕面動物園」を設立したのか。小林一三の意図が知りたい。
『逸翁自叙伝 経済人叢書』(前掲)に以下の通り記されている。
196p-198 六 動物園の失敗
196p- 2行目 …(前略)遊覧電車の元祖である箕面電車の開業によって、南は住吉、堺の葉真、ただそれだけが、市民行楽の場所であり、奈良、京都、和歌山地方は旅行地として考えられて来た時代であったから、郊外の行楽の旗印として、新しく出発した箕面電車は、それと客引きの新案を叫ばざるをえなかったのである。
会社の名称が箕面電車であるその第一の目的地箕面公園は、電車の開通と同時に、日一日と春めく花だよりを機会に、箕面動物園を開場した。
…(中略)…
そのころは京都以外に、動物園はなかった時代であるから、遊覧客はなかなか多い、ことに自然の岳岩を利用し、四角の箱の中に飼育せしめたものと異り、猛獣の生活を自由ならしめた自然境の施設は自慢の広告材料であった。(後略)…
また、『戦前大阪の鉄道とデパート』(前掲)に以下の記述がある。
p379-399 第10章 観光整備と情報発信 第2節 戦前の箕面動物園 箕面有馬電機軌道の兼業
p379
箕面有馬電気軌道(のちの阪急電鉄)は1910(明治43)年に開業し、大阪―宝塚間と箕面支線をつなぐ地方鉄道であった。経営の主軸となった小林一三は各種兼業事業を併せて行うことで、利用客の増加をはかり、収益向上につなげようとした。沿線の電灯事業を始め、住宅開発から箕面動物園、宝塚温泉、少女歌劇、ターミナル百貨店へと「沿線培養」を進めた。この目録は見事に当り、後の阪急電鉄の反映につながっていく。(後略)…
以下の資料で、「箕面動物園」についての記述を確認した。
・『小林一三 日本が生んだ偉大なる経営イノベーター』 (鹿島/茂‖著 中央公論新社 2018.12)
第六章 鉄道篇③ アミューズメントで客を呼べ 箕面動物園の開園と閉園
p98-100
p98-99
窮地を脱するには、箕面有馬電気軌道沿線の住宅地に付加価値を付けると同時に、乗客数を増やす工夫をしなければならない。
こうして考え出された第一弾が箕面動物園である。
…(中略)…
アイデアソースは、1907(明治四十)年にドイツの動物商カール・ハーゲンベックがハンブルグ郊外で開園したハーゲンベック動物園にあった。これは野生動物をその生態のままに観察できるという無柵放養式の元祖でハーゲンベック方式とも呼ばれ、後にサファリパーク方式に発展することになるが、小林はこの画期的なアイデアを箕面動物園に取り入れたのである。
p99-100
…(中略)…ハーゲンベック方式にしたところで危険防止の経費が嵩んだ上に、動物の世話にも思ったよりも維持費がかかったので、動物園はやめるとした(後略)…
・『今太閤 小林一三が描いた夢と感動 雅俗の偉人』 (向山/建生‖論文著作 逸翁・耳庵研究所 2018)
第4章 無職から電鉄開通まで(明治40年~明治43年)2合理化に徹して鉄道開通
p54 (3)箕面動物園の開発
箕面動物園についての記述があり、初代園長を従弟の雅一郎に頼んだとの記述があり、雅一郎の写真及び彼の箕面桜井の自宅の写真と「橋と門(箕面動物園の看板あり)」に多くの人々が並んでいる様子を写した写真が掲載されている。
・『小林一三 都市型第三次産業の先駆的創造者 PHP経営叢書』 老川/慶喜‖著 PHP研究所 2017.3 【335.1/2242N/】 資料番号:1410824377 中之島図書館所蔵 貸出可
p79-88 Ⅳ 宝塚の経営 箕面動物園の開設 箕面動物園の閉鎖と宝塚集中主義
p80 図表1・6 箕面動物園の入園者数
1911年上期から1913年の上期までの入場者数のグラフが掲載されている。
p82 図表1・7 箕面動物園の営業収入
1910年下期から1914年上期までの営業収入のグラフが掲載されている。
出典はどちらも「箕面有馬電気軌道株式会社 営業報告書」である。
p81-82 上記のグラフについての解説が掲載されている。
・『偉才小林一三の商法 その大衆志向のレジャ-経営手法』 岩堀安三著 評言社 1972
【542/1497/#】資料番号:1514787355 中之島図書館所蔵 貸出可
p75-91 第三章 土地住宅経営と動物園経営
p86-91 撤退の妙技 箕面動物園の運営や撤退について記されている。
p86-87 「箕面動物園唱歌」の歌詞が紹介されている。
・『いまの人は商売を知らない 「阪急」の創始者小林一三の発想』 (三神/良三∥著 経済界 1988.11) p94-98 PRソングを作詞
「箕田唱歌」「箕面動物園唱歌」のそれぞれ一部を紹介している。
p96- (後ろから2行目)
さらにクラブ化粧品の中山太陽堂とタイアップして、クラブ化粧品買い上げの人には動物園入場券一枚進呈といった、当時としては珍しいタイアップ宣伝もした。
…(中略)…
ところが冬になって難問にぶつかってしまった。放し飼いの猛獣の多くは熱帯産であるから、冬期は暖房の有る獣舎にいれなければならないのに、その設備がない。したがって根本からやりなおさなくてはならなかった。もう一つは、地震である。岩石に隙間ができて猛獣が逃げ出したら…、という附近住民からの苦情が相ついだ。そのため思い切って動物園を廃止し(後略)…、
・『地域経済と企業家精神』 (近畿大学商経学部関西経済研究会∥編 近畿大学商経学部関西経済研究会 1996.3)
p45-55 「小林一三と宝塚 大阪の企業人脈と地域開発」 作道洋太郎著
p45 1小林一三による宝塚開発 15行目
…(前略)また箕面動物園も、いろいろの設備を充実するにつれて来館者は増加し、予想外の好成績を挙げたが、新宝塚温泉の経営開始後間もなくその方針は一変されて…宝塚経営に集中する主義をとることとなり、箕面動物園はついに閉鎖された。
・『鬼才縦横 評伝・小林一三 中巻』 小島/直記∥著 PHP研究所 1983.9
【352/9699/#】 資料番号:1514633484 中央・中之島両館所蔵 貸出可
p222-231 箕面動物園や宝塚新温泉についての記述があり。
[事例作成日: 2023年10月3日]
(上記URLはすべて2023年11月8日現在)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 動物学 (480 10版)
- 鉄道運輸 (686 10版)
- 参考資料
-
- B13099027 戦前大阪の鉄道とデパート 谷内/正往‖著 東方出版 2014.11 谷内/正往‖著 東方出版 2014.11 673.8/530N/ 978-4-86249-235-7
- B10614494 逸翁自叙伝 小林/一三∥著 図書出版社 1990.1 小林/一三∥著 図書出版社 1990.1 352/12155/#
- B13642823 小林一三 鹿島/茂‖著 中央公論新社 2018.12 鹿島/茂‖著 中央公論新社 2018.12 289.1/3NX/コバ 978-4-12-005151-7
- B13702122 今太閤 向山/建生‖論文著作 逸翁・耳庵研究所 2018印刷 向山/建生‖論文著作 逸翁・耳庵研究所 2018印刷 289.1/278NX/コバ
- B13412230 小林一三 老川/慶喜‖著 PHP研究所 2017.3 老川/慶喜‖著 PHP研究所 2017.3 335.1/2242N/ 978-4-569-83425-2
- B10621687 偉才小林一三の商法 岩堀安三著 評言社 1972 岩堀安三著 評言社 1972 542/1497/#
- B10583203 いまの人は商売を知らない 三神/良三∥著 経済界 1988.11 三神/良三∥著 経済界 1988.11 542/1781/# 4-7667-8058-2
- B10964422 地域経済と企業家精神 近畿大学商経学部関西経済研究会∥編 近畿大学商経学部関西経済研究会 1996.3 近畿大学商経学部関西経済研究会∥編 近畿大学商経学部関西経済研究会 1996.3 332.1/1011N/
- B10614496 鬼才縦横 中巻 小島/直記∥著 PHP研究所 1983.9 小島/直記∥著 PHP研究所 1983.9 352/9699/# 4-569-21120-8
- B10964422 地域経済と企業家精神 近畿大学商経学部関西経済研究会∥編 近畿大学商経学部関西経済研究会 1996.3 近畿大学商経学部関西経済研究会∥編 近畿大学商経学部関西経済研究会 1996.3 332.1/1011N/
- B10614496 鬼才縦横 中巻 小島/直記∥著 PHP研究所 1983.9 小島/直記∥著 PHP研究所 1983.9 352/9699/# 4-569-21120-8
- 神橋(日光市) (栃木の観光旅行情報サイトとちぎ旅ネット 観光スポット) https://www.tochigiji.or.jp/spot/s10152
- 日光の社寺 (日光市 WEBサイト) https://www.city.nikko.lg.jp/kanko/rekishi/shaji/shaji/index.html
- キーワード
-
- 小林一三
- 箕面動物園
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000341300