レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年11月30日
- 登録日時
- 2020/02/23 13:28
- 更新日時
- 2020/03/26 14:37
- 管理番号
- 名古屋市港-2019-003
- 質問
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解決
令和の即位の礼で、衛士が身につけていた植物の名前が知りたい。
- 回答
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衛士が身につけていた植物の名前は、ヒカゲノカズラです。
『皇室 令和2年冬号(85号)』p.36(扶桑社 2020年)に掲載されている記事で判明しました。
「腰に剣を佩き束帯姿で弓矢を持つ衛門(えもん)たち。清浄を表す白い小忌衣(おみごろも)を着け、冠は日蔭鬘(ひかげのかずら)で飾られている」と、衛門たちの写真に説明がありました。
天皇の即位の諸儀式のうち、令和元(2019)年11月14,15日に行われた大嘗宮の儀の記事です。
また、衛門の装束だけでなく、儀式においてヒカゲノカズラが飾られていたようです。
『シダ植物図譜 愛知県産を主とした』 p.6
「11月14・15日「大嘗祭」の中心的な儀式「大嘗宮の儀」で「悠紀殿供饌の儀」へ向かわれる天皇陛下は日本古来の白装束でした。神殿に入られるため「雨儀御廊下」を通られ時(原文ママ)、天井に取り付けられたヒカゲノカズラが垂れ下がっていて、その下をくぐると御冠がヒカゲノカズラにふれて揺れた。」
ヒカゲノカズラについて知るには以下の資料が参考になります。
・『図説花と樹の大事典』 p.375
「ヒカゲノカズラ
シダ類ヒカゲノカズラ科の多年生常緑草
利用:採集後も長く枯れずに緑を保つので、生け花の花材はもとより、正月やクリスマスの飾りに使う。ヨーロッパではクリスマスの飾りに不可欠なもの。
歴史・文化:古代から神事に登場するめでたい植物で、『古事記』の「天の岩屋戸」の神話の条でもアメノウズメノ命がこのヒカゲノカズラをたすきにかけて踊ったと伝えられる。以来、神聖な力を備えた植物として新嘗祭や大嘗祭の神事の際、冠のこうがいの左右にこれをかけた。青色か白色の組糸を垂れているのはその名残。」(抜粋)
・『日本大百科全書』19巻 p.402
「ヒカゲノカズラ
昔から親しまれた植物で、『古事記』にもその名が記され、『万葉集』巻19では、「あしひきの 山下日影 かづらける 上にや更に 梅をしのはむ」と詠まれている(日影=ヒカゲノカズラ)。今日でも地方によっては新年や祝いの席に飾る風習がある。」(抜粋)
- 回答プロセス
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当日は下記の当館所蔵の皇室辞典を確認しましたが、記載がなく回答できませんでした。後日発行された「皇室」令和2年冬号(85号)で判明しました。
『岩波天皇・皇室辞典』岩波書店 2005
『平成皇室事典』主婦の友社 1996
『皇室事典』明玄書房 1976
- 事前調査事項
- NDC
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- 系譜.家史.皇室 (288)
- 植物学 (470)
- 参考資料
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扶桑社. 皇室 = The Imperial Family. 扶桑社, 2002. (扶桑社ムック)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000411280-00 (令和2年冬号(85号) 2020年) -
山田弘 監修 , 渡邉仁司 著 , 山田, 弘 , 渡邉, 仁司. シダ植物図譜 : 愛知県産を主とした. 編集印刷事務所アルス, 2020.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I030263182-00 -
植物文化研究会, 雅麗 編 , 植物文化研究会 , 雅麗. 図説花と樹の大事典. 柏書房, 1996.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002497868-00 , ISBN 4760112316 -
日本大百科全書 19 (はにーひん). 小学館, 1988.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001892363-00 , ISBN 409526019X
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扶桑社. 皇室 = The Imperial Family. 扶桑社, 2002. (扶桑社ムック)
- キーワード
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- ヒカゲノカズラ
- 衛門
- 大嘗宮の儀
- 即位の礼
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000274321