レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021年11月17日
- 登録日時
- 2022/01/06 15:55
- 更新日時
- 2022/02/02 11:20
- 管理番号
- 奈県図情21-025
- 質問
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解決
伐木業に携わる人々のなかで、木を伐った際、切り株に残った棘をとらないといけないという習慣がある。林業が盛んな吉野にも同様の俗信・風習があるか。
- 回答
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『吉野の民俗誌』には、「切り株面にぎざぎざのとがった突起(ヒキヌキ)が出来る。昔は、山の神さんが来て腰を掛けたときに尻を突いたらいかんといって、ヒキヌキは切り落としておくものと決まっていた。」と、同様の風習が紹介されています。
なお、同書ではこの風習がある地域について特定していませんが、著者は『下北山村史』p.724-725山の民俗 生業の項目に同じ文章を寄稿していることから、下北山村周辺の風習ではないかと推測されます。
また、『吉野西奥民俗採訪録 宮本常一著作集34』p.384大塔村の俗信の項目に「木の伐株にソッパチが出ていると、必ずきってきれいにしておく。神様が腰を下すと悪いからだという。」と類似の風習が紹介されています。
切り株にできる突起については呼び名が異なりますが、理由付けはどちらも「神様が腰を下ろしたときに怪我をしないよう」であることが共通しているようです。
他、周辺地域についても市町村史等をあたりましたが、記載を見つけることはできませんでした。
なお、『吉野の民俗誌』は昭和55年刊、『下北山村史』は昭和48年刊、『吉野西奥民俗採訪録 宮本常一著作集34』は平成元年刊(原本は昭和17年刊)です。
- 回答プロセス
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『西吉野村史』記載なし。
『精霊信仰と儀礼の民俗研究 : アニミズムの宗教社会』記載なし。
『大塔村史』記載なし。
『賀名生村史』記載なし。
『黒滝村史』記載なし。
『大和下市史』記載なし。
- 事前調査事項
- NDC
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- 風俗習慣.民俗学.民族学 (380)
- 風俗史.民俗誌.民族誌 (382)
- 参考資料
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林宏著 , 林, 宏. 吉野の民俗誌. 文化出版局, 1980.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000096-I008077860-00 -
木村博一編著 , 木村, 博一. 下北山村史. 下北山村, 1973.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000096-I002967516-00 -
宮本, 常一, 1907-1981. 宮本常一著作集 34 (吉野西奥民俗採訪録). 未来社, 1989.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001990871-00 , ISBN 4624924347
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林宏著 , 林, 宏. 吉野の民俗誌. 文化出版局, 1980.
- キーワード
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- 林業
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000310154