レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2024/01/24
- 登録日時
- 2024/02/02 00:30
- 更新日時
- 2024/03/21 11:56
- 管理番号
- 16664654
- 質問
-
未解決
『絵本画家赤羽末吉』赤羽 茂乃/著 福音館書店 2020.4の文中にある名前の読み方を知りたい。
① 齋藤英一(p.167 後ろから7行目)
② 狩野達夫(p.201 後ろから7行目)
- 回答
-
以下のとおり調査したところ、資料1に、満州で活躍した画家である齋藤英一の一部にふりがなが振ってありました(事前調査資料1~4からわかる情報より、お尋ねの人物の可能性があります)。狩野達夫については、読み方が書いてある資料は見当たりませんでした。
【 】内は国立国会図書館請求記号です。書誌事項末尾に◎を付した資料は国立国会図書館デジタルコレクション(国立国会図書館内/図書館・個人送信対象)資料、☆を付した資料は同インターネット公開資料です。なお、一部旧字を新字に置き換えて表記している箇所があります。
1 齋藤英一
資料1
『満州新聞』満洲新聞社 1940年8月2日 朝刊7面【YB-628】
「今後も頑張る 第二部大臣賞齋藤氏」:「誉れの民生部大臣賞(第二部)を獲得した建大塾頭齋藤英一氏(後略)」という記述があり、「齋藤英」に対し、「さいとうえい」というふりがなが振られています。
資料1を見出した過程は以下の通りです。なお、記載がない限り、ふりがなは振られていません。
既にご紹介いただいた情報を元に、国立国会図書館デジタルコレクションをキーワード「黄土坡美術協会」「齋藤英一」で調べたところ、資料2が見つかりました。
資料2
北村謙次郎 著『北辺慕情記 : 長篇随筆』大学書房, 1960【915.9-Ki294h】◎
https://dl.ndl.go.jp/pid/1670211
pp.26-29「七章 高梁社―第一期新京文化人―「セダン満州」―古長敏明―真殿星麿―城島舟礼と同英一」の中に、城島舟礼の愛婿として城島英一がいること、「黄土坡」グループに属していることが書かれています。(30コマ)
また、pp.188-192「四十六章 「黄土坡美術協会」―「三人会」―ふたたび城島舟礼と同英一―甘粕正彦の横顔」に「総帥城島英一は、旧名齋藤であるが(後略)」とあり、建国大学の塾頭をしていたことにも言及されています。(111コマ)
そこで、キーワード「城島英一」で改めて国立国会図書館デジタルコレクションを検索すると、資料3他数点が見つかります。
資料3
『弘道 』105(990) 日本弘道会, 1997.10【Z9-79】◎
https://dl.ndl.go.jp/pid/6058532/1/34
pp.65-67に「弘道歌壇」(古川哲史編)という記事があります。齋藤英一が描いた挿絵が掲載されており、「絵は満州国国展にて特選受賞作者は城島英一(旧姓斎藤)」とあります。(34コマ)
満州国国展は「満州国美術展覧会」と考えられます(※)。そこで、満州国美術展覧会について書かれた資料4を確認しました。
(※)満洲藝文年鑑編纂委員會 編『満洲藝文年鑑 : 康徳9年度版』滿洲冨山房, 1943.11【KG2-G26】◎
https://dl.ndl.go.jp/ja/pid/1886072/1/19
pp.14-15:淺枝靑甸「美術十年史」において、民生部主体の「満州国美術展覧会」について言及されており、「国展」とも表現されています。
資料4
東京文化財研究所企画情報部 編『昭和期美術展覧会の研究 : 戦前篇』中央公論美術出版, 2009.5【K3-J66】
pp.183-216「満州国美術展覧会をめぐって」(江川佳秀)の中、p.193に齋藤英一について記述があります。また、註より彼に関する新聞記事があることがわかります。(p.204)
前述した資料1や以下のような新聞記事が紹介されています。
情報1
『満州日日新聞』満州日日新聞社 1940年8月2日 朝刊7面
「喜び二重奏 大臣賞と花嫁さん」
城島舟礼の娘と結婚したこと、満州国美術展覧会で大臣賞を受賞したことが書かれています。なお、名前は誤って書かれたのか「齋藤眞一」(ふりがなは「さいとうしん 」)と表記されています。
記事の本文は以下のウェブサイトから確認することができます。
「邦字新聞デジタル・コレクション」 (Hoover Institution)
https://hojishinbun.hoover.org/ja/newspapers/mac19400802-01.1.7
『同』1940年7月14日 朝刊3面
「アトリエ巡り4 虹を描く 齋藤英一氏」
https://hojishinbun.hoover.org/en/newspapers/mac19400714-01.1.3
2 狩野達夫(参考情報)
「邦字新聞デジタル・コレクション」 (Hoover Institution)を「狩野達夫」で検索すると、「満州日日新聞」に狩野達夫という人物が執筆した新聞記事(情報2等)があることがわかりますが、氏名の読みは不明です。
情報2
『満州日日新聞』満州日日新聞社 1942年12月1日 朝刊4面
「物の価値」(狩野達夫)
文章の最後に「筆者は洋画家」と書かれています。
記事の本文は以下のウェブサイトから確認することができます。
https://hojishinbun.hoover.org/ja/newspapers/mac19421201-01.1.4
【調査に使用した主な資料】
・五十殿利治 編『「帝国」と美術 : 一九三〇年代日本の対外美術戦略』国書刊行会, 2010.11【K111-J63】
・山根幸夫 著『建国大学の研究 : 日本帝国主義の一断面 (汲古叢書 ; 49)』汲古書院, 2003.5【FD4-H54】
・日外アソシエーツ株式会社 編集『昭和物故人名録 : 昭和元年~54年』日外アソシエーツ, 1983.7【GB13-113】◎
https://dl.ndl.go.jp/pid/12210190
p.143(78コマ)に「加納辰夫 かのうたつお」という洋画家の情報が掲載されています。
・菊地康雄 編集・解説『定本逸見猶吉詩集』思潮社, 1966【911.56-H421h】◎
https://dl.ndl.go.jp/pid/1361886
・『現代人 4(5)』現代人協会, 1956.5【Z051.3-G1】◎
https://dl.ndl.go.jp/pid/3547933/1/23
・關東軍報道部 監修 [他]『北方画信 : 北邊鎭護現地報告』陸軍美術協會出版部, 1943.7【GB521-H149】◎
https://dl.ndl.go.jp/pid/1900782/1/30
30コマに城島英一の「習作」の掲載あり。
・藝文社 [編]『藝文 : 満洲文化綜合雜誌 2(1)』藝文社, 1943.1【雑56-69】
p.132に「ホロンバイルの幸福」という記事があり、「絵と文 齋藤英一」とあり。
・[満洲国]国務院総務庁人事処 編纂『満洲国官吏録 康徳7年4月1日現在』国務院総務庁人事処, 1940.12【A112-79】☆
https://dl.ndl.go.jp/pid/1454725
・満洲日報社 編『満洲年鑑 昭和20年版』満洲日報社奉天支社【059.225-M1782-M】◎
https://dl.ndl.go.jp/pid/1706795/1/393
・『旅行満洲 復刻版』 7(10)不二出版【Z79-B722】
pp.82-86「第三回国展を観る」(池辺青李)
・竹中憲一 編著『人名事典「満州」に渡った一万人』皓星社, 2012.10【D2-J284】
【調査に使用した主なデータベース、インターネット情報等】
・国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/ja/
・国立国会図書館サーチ https://ndlsearch.ndl.go.jp/
・CiNii Research https://cir.nii.ac.jp/
・HathiTrust Digital Library https://www.hathitrust.org/
・Googleブックス https://books.google.co.jp/
・邦字新聞デジタル・コレクション (Hoover Institution)
https://hojishinbun.hoover.org/?l=ja
・新聞記事文庫 (神戸大学) https://da.lib.kobe-u.ac.jp/da/np/
・皓星社 雑誌記事索引集成データベース(ざっさくプラス)(当館契約データベース)
・朝日新聞クロスサーチ(当館契約データベース)
・毎索(毎日新聞)(当館契約データベース)
・ヨミダス歴史館(読売新聞)(当館契約データベース)
インターネット情報等の最終確認日:2024年1月19日
- 回答プロセス
- 事前調査事項
-
これまでに調査した内容
〇 図書 ※()内の数字は国立国会図書館書誌 ID
≪最も頻度の多い読みと次点の読みはあるが確定できない≫
【1】『日本姓名よみふり辞典 姓の部』(000002073174)
①p.120,p.121 ②p.146
【2】『日本姓名よみふり辞典 名の部』(000002073175)
①p.25 ②p.361
≪①② 両名の名前の記載なし≫
【3】『児童文化人名事典』(000002475587)
【4】『図説絵本・挿絵大事典 第 2 巻』(000009887808)
【5】『人名事典「満州」に渡った一万人』(024046280)
【6】『日本美術作品レファレンス事典 個人美術全集・絵画篇 4 洋画』(023731616)
【7】『日本美術作品レファレンス事典 個人美術全集・絵画篇 3』(023393241)
【8】『日本美術年鑑 昭和 13 年』(000002546771)~『日本美術年鑑 昭和 16 年』
(000002546774)
【9】『明治大正言論資料 20 明治新聞雑誌関係者略伝』(000001775002)
【10】『出版文化人名辞典 第 1 巻』(000001908200)
【11】『出版人物事典』(000002595324)
【12】『出版文化人物事典』(024435661)
【13】『日本人物レファレンス事典 図書館・出版・ジャーナリズム篇』(031710580)
【14】『「満洲国」資料集積機関概観』(000007430363)
≪①のみ 名前の記載あるも読み方なし≫
【15】『戦時下日本美術年表 1930→1945』(024837563)
巻末索引 p.18 齋藤英一らしき情報は「城島英一」の名前であり。
【16】『美術関係雑誌目次総覧 明治・大正・昭和戦前篇中』(000002897576)
p.1264,p.1266
【17】『満洲出版史』(024114459)p324,p329
○ウェブ・データベース情報
≪①② 両名の名前の記載なし≫
【WEB1】Wikipedia
【WEB2】レファレンス協同データベース
【DB1】Web OYA-bunko
【DB2】WhoPlus
【DB3】Japan Knowledge
≪①のみ 名前の記載・読み方あるも同一人物か判断不能≫
【WEB3】NDL Authorities
https://id.ndl.go.jp/auth/ndla/?qw=%E9%BD%8B%E8%97%A4%E8%8B%B1%E4%B8%80&g=all
【WEB4】国立国会図書館サーチ
「齋藤英一」でキーワード検索し、NDC分類「7芸術」で絞り込み。(該当3件)
≪① のみ 名前の記載あるも読み方なし≫
【WEB5】国立国会図書館デジタルコレクション
「齋藤英一」でキーワード検索し、NDC分類「7芸術」で絞り込み(該当 22 件)
≪①のみ 名前の記載あるも読み方なし・同一人物か判断不能≫
【WEB6】Cinii Reserch
https://cir.nii.ac.jp/crid/1140000796350265728
【DB4】ざっさくプラス
「齋藤英一」でキーワード検索。(該当 750 件)
【DB5】MagazinePlus
斎藤英一
「ピカソ近作論」美術,1937-07,12(7)(45),p.12-16
https://dl.ndl.go.jp/pid/1579160/1/19
「曾宮氏の檜畫に就いて」美術,1937-09,12(9)(47),p.22-23
https://dl.ndl.go.jp/pid/1579162/1/29
「富岡鐵齋遺墨展所感」美術,1937-09,12(10)(48),p.24-25
https://dl.ndl.go.jp/pid/1579163/1/28
≪②のみ 名前の記載なし≫
【WEB7】国立国会図書館サーチ
【WEB8】NDL Authorities
【WEB9】Cinii Research
【WEB10】国立国会図書館デジタルコレクション
【DB6】ざっさくプラス
【DB7】Web OYA-bunko
【DB8】MagazinePlus
【DB9】WhoPlus
【DB10】Japan Knowledge
- NDC
-
- 芸術史.美術史 (702)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 人文(レファレンス)
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000345825