レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年8月2日
- 登録日時
- 2023/12/03 15:33
- 更新日時
- 2024/01/10 21:57
- 管理番号
- 県立長野-23-133
- 質問
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解決
稲玉氏のルーツは長野県にあるのか。
- 回答
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次の資料を調査したが、稲玉氏のルーツについてわかるものは確認できなかった。
『信州の苗字』笹部武安著 郷土出版社 1988【N283/12】p.35-36の「約三〇世帯以上三五世帯はあると思われる苗字」に、北信地域(長野県の北部)に多い苗字として「稲玉」があるが、由来等の記述はない。
『角川日本姓氏歴史人物大辞典 20 長野県』 角川書店 1996【288.1/カド/20】に「稲玉氏」についての記載はない。個人として、次の稲玉徳兵衛があるのみ。
<稲玉徳兵衛>
『角川日本姓氏歴史人物大辞典 20 長野県』p.460、『長野県歴史人物大事典』神津良子編 郷土出版社 1989【N283/13/ウ】p.75、『坂城町誌 中巻』坂城町誌刊行委員会編・刊 1981 【N216/37/2】p.353-356(長谷川利次)、730-737(稲玉徳兵衛)に、記載がある。『坂城町誌 中巻』の記載が一番詳しいもので、江戸末期の人。稲玉徳兵衛の家は、坂木(現・埴科郡坂城町)の代官を務めた長谷川利次に家臣として仕え、長谷川氏とともに坂木に土着したと書かれている。
坂木は越後高田藩の飛び地だったが、越後高田藩主松平光長の改易により幕府領となった。松平光長時代の坂木代官は長谷川安左衛門父子3代とあり、初代安左衛門は松平光長の家臣として坂木へ赴任した人物とみてよいと思われる。同じように、稲玉氏も長谷川氏とともに赴任したと考えられる。
<稲玉兵庫之介>
『更級郡・埴科郡埴人名辞書』 信濃教育会更科部会編 象山社 1978 【N280.3/2-1】に、戦国時代の武人、とあるが、推定の没年が皇紀2104年と記されており、西暦に換算すると1444年になり、室町時代の人となる。また、清野氏、政衡の弟とあった。
『村上百系図 上』村上清著・刊 1975 【N288/116】p.72の「清野西条系図」では、政衡は国寿の子で左近太夫、徳受軒とある。しかし、系図に政衡以外の子の記載はないため、兵庫之介の記載もなく、稲玉氏との関係についての言及もなく詳細は不明。
『更科埴科地方誌 第2巻』 更科埴科地方誌刊行会編・刊 1978【N215/32/2】p.1306-1310に、清野氏についての記述があるが、稲玉氏についての記述はない。また、この系図には上述の国寿、政衡は見られるが、兵庫之介の役職にあった人物の記載はない。
『角川日本姓氏歴史人物大辞典 20 長野県』p.499には、清野清受軒の記載はあるが、生没年不詳。清野氏は埴科郡清野(現・長野市)に起こり、清野館(のちの海津城)に拠ったとあるが、稲玉氏との関係は触れられていない。
なお、地名としての「稲玉」は、『長野県町村誌 第2巻』p.87旧・倉科村(現・千曲市)の字名にあった。『角川日本地名大辞典 20 (長野県)』「角川日本地名大辞典」編纂委員会編 角川書店 1990【291.03/カド/20】の巻末の字名一覧にも、p.1634「倉科村」の中に記載があった。
- 回答プロセス
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1 『角川日本姓氏歴史人物大辞典 20 長野県』で「稲玉」氏を探す。記載はない。個人項目で、「稲玉徳兵衛」がある。坂城町のゆかりとわかったので、『坂城町誌』を調べる。代官とともに、当地に来て、土着したとある。
2 『信州の苗字』で「稲玉」を調べる。
3 『更級郡・埴科郡埴人名辞書』等 で、「稲玉」を確認する。稲玉兵庫之介があり、戦国時代の武人、清野氏政衡の弟と記載があるが稲玉氏とのかかわりは不明。
4 『村上百系図 上』に「清野西条系図」があるが、兵庫之介の記載は確認できない。
5 『更科埴科地方誌 第2巻』『角川日本姓氏歴史人物大辞典 20 長野県』などで、清野氏を見るが、稲玉兵庫之介との関係は確認できなかった。
6 地名としての稲玉を『角川日本地名大辞典 20 (長野県)』等で確認する。
<調査資料>
・『更埴市史 第1巻 古代・中世編』更埴市誌編纂委員会編 更埴市 1994【N216/49/1】
・『更埴市史 第2巻 近世編』更埴市誌編纂委員会編 更埴市 1988【N216/49/2】
・『全国名字大辞典』 森岡浩編 東京堂出版 2011 【288.1/モヒ】
・『姓氏家系大辞典』 太田亮編 角川書店 1976 【288.1/オア】
・『姓氏家系大事典』 丹羽基二著 新人物往来社 2002 【288.1/ニモ】
・『日本名字家系大事典』 森岡浩編 東京堂出版 2002 【288.1/モヒ】
・『日本歴史地名大系 20 長野県の地名』平凡社 1979【291.03/ニホ/20】
・『日本名門・名家大辞典』森岡浩編 東京堂出版 2012 【288.2/モヒ】
・『松城の歴史 年表』田中誠三郎著 北信民報社 1972 【N212/101】
・『寛政重修諸家譜 第4巻』 続群書類従完成会 1964【288.2/タミ/4】
・『新訂増補 国史大系60上 尊卑分脈3』 黒板勝美編 吉川弘文館 2001【210.08/クカ/60-3】
・『新訂増補 国史大系60下 尊卑分脈4』 黒板勝美編 吉川弘文館 2001【210.08/クカ/60-4】
・『長野県の名字』森岡浩著 しなのき書房 2008【N288/233】
- 事前調査事項
- NDC
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- 系譜.家史.皇室 (288 10版)
- 参考資料
- キーワード
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- 稲玉氏
- 姓氏
- ルーツ
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土 人物
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000342967