レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021年3月3日
- 登録日時
- 2021/10/31 11:21
- 更新日時
- 2022/03/08 11:57
- 管理番号
- 県立長野-21-166
- 質問
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解決
「大唐三蔵聖教序 大宗文皇帝製」の活字翻刻、読み下し文等が記載された資料はあるか。
- 回答
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『書道芸術 第3巻 唐太宗 虞世南 欧陽詢 褚遂良』中田勇次郎責任編集 中央公論社 1974 【728/183/3】p.210によれば、「大唐三蔵聖教序(だいとうさんぞうしょうぎょうじょ)(しょうぎょうのじょ)」(貞観22年(648年))は、玄奘三蔵の訳した経典に、唐の皇帝太宗(たいそう)が与えた序文とのこと。
「大唐三蔵聖教序」は、中国の寺院等により複数の碑文が刻され、日本ではそれらの拓本(※碑文等を写し取ったもの)が所蔵されている。
碑文「集王聖教序(しゅうおうしょうぎょうじょ)」、「雁塔聖教序(がんとうしょうぎょうじょ)」等の活字翻刻、読み下し文は下記の資料に記載あり。
・『書道芸術 第1巻 王献之』中田勇次郎責任編集 中央公論社 1974 【728/183/1】
図版目録 「114-126 集王聖教序」
咸亨三年(672) 拓本 三井文庫蔵 東京都
巻末の「図版釈文・解題」に活字翻刻、読み下し文の記述あり。
p.224-226 「114-126 集王聖教序」
・『書道芸術 第3巻 唐太宗 虞世南 欧陽詢 褚遂良』
中田勇次郎責任編集 中央公論社 1974 【728/183/3】(再掲)
図版目録 「120-131 雁塔聖教序」
褚遂良 永徽四年(653) 拓本(宋拓) 東京国立博物館蔵
巻末の「図版釈文・解題」に活字翻刻、読み下し文の記述あり。
p.210-211 「120-131 雁塔聖教序」
・『書道全集 第8卷』平凡社 1957 【728/10/8】
p.33-40「集王聖教序の碑について」 ※「集王聖教序」についての論述あり
図版目録 「14-21 雁塔聖教序」
褚遂良 永徽四年(653) 拓本 ※所蔵先記載なし。
巻末の「図版解説・釋文」に活字翻刻、読み下し文の記述あり。
p.155-157 「14-21 雁塔聖教序」
図版目録 「50-57 集王聖教序」
咸亨三年(672) 拓本 黒川古文化研究所蔵 兵庫
巻末の「図版解説・釋文」に活字翻刻、読み下し文の記述あり。
p.167-168 「50-57 集王聖教序」
また玄奘三蔵の弟子、慧立と彦悰が記したといわれる玄奘の伝記本『大唐大慈恩寺三蔵法師伝』(慧立本、彦悰箋、十巻)の現代語訳本である下記資料に「大唐三蔵聖教序」読み下し文の記述あり。
・『玄奘三蔵』慧立著 光風社出版 1988 【188.21/エリ】 p.211-213
(底本:東方文化学院京都研究所刊『大唐大慈恩寺三蔵法師伝』十巻)
- 回答プロセス
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1.キーワード「大唐三蔵聖教序」「聖教序」で、百科事典及び、辞事典・叢書・雑誌等の検索が出来る当館契約データベース「ジャパンナレッジLib」を調査する。
・『世界大百科事典 13』平凡社 2007 【031/セカ/13】に以下の記述あり。
p.391 「しょうぎょうじょ(聖教序)」
(略)永徽4年(653)、その序文を褚遂良(ちょすいりょう)が書いて長安の慈恩寺大雁塔内に
建てたのが「雁塔聖教序」である。また弘福寺の寺主円定らが勅許を得て、寺僧懐仁に命
じて王羲之(おうぎし)の書から集字させて刻したのが「集王聖教序」である。(以下略)
「ジャパンナレッジLib」を使用した「聖教序」の検索結果からも、上記と類似した内容の記述を確認する。太宗の序文「大唐三蔵聖教序」は著名な聖教序であり、それを基に刻した碑文等は複数存在すると思われることが分かる。
2.キーワード「瑜伽師地論」(『世界大百科事典 13』p.391による玄奘の訳した経典)、「玄奘三蔵」でNDC分類183(経典)、188(各宗)の資料を調査する。『玄奘三蔵』の該当ページを確認する。また下記資料に以下の記述があるが、当館では第88巻の解題等の所蔵がなく、該当資料であるかは不明。
・『新纂大日本続蔵経 第88巻』国書刊行会 1988 【183/180/88】
p.368-384 「玄奘三蔵師資傳叢書(二巻)」
p.379 「謝太宗文皇帝製三蔵聖教序表」があり、「貞観二二年八月五日沙門玄奘上表謝」等の記述あり
3. 王羲之について調査する。
「ジャパンナレッジLib」より、王羲之が中国(東晋時代)の書家で、書聖と呼ばれる人物であることを調べる。(生没年については諸説あるようである。『日本大百科全書 3』小学館 1985 【031/ニホ/3】p.808「王羲之」では、生没年307-365と記載がある。『世界大百科全書 4』平凡社 2007 【031/セカ/4】p.21「王羲之」では、生没年307?-365?と記載がある。)
下記資料に王羲之の「聖教序」について記述あり。
・『芸術新潮』新潮社 第49巻10号 p.48-51 1998
p.48 「(略)「集字聖教序(しゅうじしょうぎょうじょ)」が東アジア全域における、行書と草書の
お手本となりました。(以下略)」
4. 調査範囲を広げる。「雁塔聖教序」、「集王聖教序」、「集字聖教序」等を含めて調査する。
当館OPACより、キーワード「太宗」「王羲之」「聖教序」、NDC分類728(書、書道)に関する資料を調査する。
『書道芸術 第1巻 王献之』、『書道芸術 第3巻 唐太宗 虞世南 欧陽詢 褚遂良』、『書道全集 第8卷』の該当ページを確認する。
<調査資料>
・『天来臨王羲之書帖』比田井天来著 天来書院 2003 【N728/72/2】
・『上条信山臨書集 第3巻 蘭亭叙 集字聖教序』上条信山[書] 書象 2005 【N728/82/3】
・『書学院式集字 昭代法帖 第二集 王義之行書 集字聖教序』
比田井鴻編 書学院後援会 1933 【375.9/ヒコ/2】
・『もっと知りたい書聖王羲之の世界』島谷弘幸監修 東京美術 2013 【728.22/モツ】
・『王羲之と顔真卿 二大書聖のかがやき』富田淳監修 平凡社 2019 【728.22/オウ】
・『王羲之大字典』飯島太千雄編 東京美術 1980 【728.22/イタ】
・『中国書道全集 第3巻 隋・唐 1』平凡社 1986 【728.22/チユ/3】
・『新纂大日本続蔵経 第1巻』国書刊行会 1980 【183/180/1】
・『新纂大日本続蔵経 第47巻』国書刊行会 1984 【183/180/47】
・『新国訳大蔵経 瑜伽・唯識部11』大蔵出版 2007 【183/シン/17-11】
・『大乗仏典 9 中国・日本篇』中央公論社 1987 【183/175/9】
- 事前調査事項
- NDC
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- 書.書道 (728 10版)
- 経典 (183 10版)
- 参考資料
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中田 勇次郎/責任編集 , 中田‖勇次郎 , 王‖羲之 , 王‖献之. 書道芸術 第1巻. 中央公論社, 1974.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I005627511-00 -
中田 勇次郎/責任編集 , 中田‖勇次郎 , 太宗. 書道芸術 第3巻. 中央公論社, 1974.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I005627513-00 -
書道全集 第8卷. 平凡社, 1957.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I005628565-00 , ISBN 4582208088
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中田 勇次郎/責任編集 , 中田‖勇次郎 , 王‖羲之 , 王‖献之. 書道芸術 第1巻. 中央公論社, 1974.
- キーワード
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- 書
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- 王羲之
- 碑文
- 聖教序
- 玄奘
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000306742