レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022年08月09日
- 登録日時
- 2022/08/09 15:00
- 更新日時
- 2024/03/21 16:52
- 管理番号
- 吹-80-2022-005
- 質問
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解決
200万年前、吹田(すいた)にゾウがいたと聞いた。そのころの吹田についての歴史書が見たい。
- 回答
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以下資料を貸出した。
(1)『吹田市史 第1巻』(吹田市史編さん委員会/編集 吹田市役所 1990)
(2)『大阪府の歴史』(藤本篤/[ほか]著 山川出版社 2015.1)
(3)『大阪府史 第1巻 古代編』(大阪府史編集専門委員会/編集 大阪府 1978)
(4)『シンポジウム「地質が明かす吹田の環境」』(林隆夫/[ほか]資料編集 吹田地学会 2004.12)
(5)『地質模型と絵で語る吹田の自然史物語』(秋元宏/ [著] 模型と画像で歴史を語る研究会 [2007])
- 回答プロセス
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当館の地域資料コーナーで該当する資料を探したところ次の資料が見つかった。
(1)『吹田市史 第1巻』(吹田市史編さん委員会/編集 吹田市役所 1990)「吹田市史」にゾウの化石が載っていたことを思い出し確認したところ第1巻p16に掲載されていた。p15~p21には化石発見の経緯とその年代「洪積世(こうせきせい)」の自然環境が記載されていた。
データベース「ジャパンナレッジ」で「洪積世」を検索したところ『日本国語大辞典 第二版』(小学館)に次のように書かれていた。
「地質時代の区分の一つ。新生代第四紀に属し、約一七〇万年前から一万年前までをいう。地球上の気温の高低が顕著で、四回の氷期と三回の間氷期が訪れ、氷河時代と呼ばれる。マンモスなどの哺乳類が栄え、はじめて人類が出現した。現在では、一般に更新世(こうしんせい)の語が用いられる。」以上のことにより、約170万年前は猿人の時代で日本に人類は不在であり、”歴史書“としてはゾウの化石や自然環境、地層について書かれたものくらいになると質問者に伝えた。
当館の検索機で件名「地層・地質-大阪府」「歴史-大阪府」で検索し「洪積世」でゾウやワニの化石が多く出土している大阪層群(おおさかそうぐん)についての記述がある(2)~(5)を提供した。
(2)『大阪府の歴史』(藤本篤/[ほか]著 山川出版社 2015.1)p11「[コラム]大阪にもワニがいた」
(3)『大阪府史 第1巻 古代編』(大阪府史編集専門委員会/編集 大阪府 1978)p27「大阪府自然史編年表」p35~53「大阪層群」の地質やその時代の自然について記載されている。
(4)『シンポジウム「地質が明かす吹田の環境」』(林隆夫/[ほか]資料編集 吹田地学会 2004.12)
(5)『地質模型と絵で語る吹田の自然史物語』(秋元宏/ [著] 模型と画像で歴史を語る研究会 [2007])
また、(6)~(9)の資料にゾウの化石の写真が掲載されていることがわかった。
(6)『郷土吹田の歴史 第2版』(吹田市総務部市史編さん室/編集 吹田市役所 1990)p3~p4ステゴドンゾウの記述・写真。
(7)『吹田の歴史学習資料集(研究紀要 第44号)』(吹田市立教育研究所/編集 吹田市立教育研究所 1979)p5ステゴドンゾウの化石の記述・写真。
(8)『吹田の歴史年表 わかりやすい吹田の歴史別冊』(吹田市立博物館/編集 吹田市立博物館 2008.3)p1アケボノゾウの記述・化石のカラー写真。
(9)『大阪層群』(市原実/編著 創元社 1993.6)は、大阪平野を中心とした地層群の研究成果がまとめられており、p219~221には長鼻類の化石について言及されていることがわかった。
ジャパンナレッジで「ステゴドンゾウ」を検索したところ『日本大百科全書』(小学館)に次のように書かれている。
「日本におけるステゴドンゾウとしては、鮮新世の大形のミエゾウまたはシンシュウゾウ、更新世前期の小形のアケボノゾウ、更新世後期の中形のトウヨウゾウが代表的である。瀬戸内海の海底、とくに明石 (あかし) 海峡からは、古くからたくさんの骨や歯の化石が漁網にかかって引き上げられ「アカシゾウ」ともよばれてきたが、ショウドゾウ、カントウゾウなどとともに、1915年(大正4)に松本彦七郎 (ひこしちろう) (1887―1975)によって命名された石川県産のアケボノゾウと同種であることがわかって以来アケボノゾウの呼称が一般的となっている。」
以上のことにより、資料によってゾウの名称が違うが、同一種であるとわかった。
- 事前調査事項
- NDC
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- 近畿地方 (216 10版)
- 地史学.層位学 (456 10版)
- 参考資料
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吹田市史編さん委員会/編集. 吹田市史 1. 吹田市役所, 1990.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I053358655-00 -
藤本篤, 前田豊邦, 馬田綾子, 堀田暁生 著. 大阪府の歴史 第2版. 山川出版社, 2015. (県史 ; 27)
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I026062026 , ISBN 978-4-634-32271-4 -
大阪府史編集専門委員会 編. 大阪府史 : 古代編 1 第1巻. 大阪府, 1978.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000001-I09111100535421 - 林 隆夫 /資料編集, 秋元 宏 /資料編集. シンポジウム「地質が明かす吹田の環境」. 吹田地学会, 2004.12. (自館請求記号 ス456.9)
- 秋元 宏/〔著〕. 地質模型と絵で語る吹田の自然史物語. 模型と画像で歴史を語る研究会, 2007. (自館資料番号 ス456.9)
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吹田市総務部市史編さん室/編集. 郷土吹田の歴史 第2版. 吹田市役所, 1990-03.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I075636886-00 - 吹田市立教育研究所. 研究紀要第44号 吹田の歴史学習資料集. 吹田市立教育研究所, 1979.
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吹田市立博物館/編集. 吹田の歴史年表 : わかりやすい吹田の歴史別冊. 吹田市立博物館, 2008-03.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I052203222-00 -
市原実編著 , 市原, 実(1925-). 大阪層群. 創元社, 1993-06.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000074-I000101904-00 , ISBN 4422220039
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吹田市史編さん委員会/編集. 吹田市史 1. 吹田市役所, 1990.
- キーワード
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- 吹田市(すいたし)
- 大阪府(おおさかふ)
- 洪積世(こうせきせい)
- 更新世(こうしんせい)
- 大阪層群(おおさかそうぐん)
- ゾウ
- ステゴドンゾウ
- アケボノゾウ
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000319803