レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019/03/31
- 登録日時
- 2023/07/08 00:30
- 更新日時
- 2023/09/13 11:36
- 管理番号
- 所沢椿峰-2023-003
- 質問
-
解決
「土篇に塞(そく)」という字の意味がしりたい。(漢字が文字化けしてしまい、以降の文章が消えてしまうので、「土篇に塞」と表記しています。以降【土篇に塞】と表記します。)
- 回答
-
下記資料に記載があります。
○『大辞泉 下巻』 松村明/監修 小学館 2012年
○『大辞泉 上巻』 松村明/監修 小学館 2012年
○『広辞苑』 新村出/編 岩波書店 2018年
○『漆芸事典』 光芸出版/編 光芸出版 2004年
○『漆の文化史』 四柳嘉章/著 岩波書店 2009年
○『漆 1』 四柳嘉章/著 法政大学出版局 2006年
○『漆 1』 農山漁村文化協会 2018年
○『漆塗りの技法書』 十時啓悦/著 誠文堂新光社 2015年
○『漆とジャパン』 三田村有純/著 里文出版 2005年
- 回答プロセス
-
1.所蔵資料の内容確認
○『大辞泉 下巻』 松村明/監修 小学館 2012年
p.2128に「【土篇に塞】」の記載あり。「乾漆」への参照あり。
○『大辞泉 上巻』 松村明/監修 小学館 2012年
p.819「乾漆」の項目に、「1 漆(うるし)の液が、長期間の保存で乾燥し固まったもの」「2 奈良時代に盛行した漆工芸の技法。中国の夾紵(きょうちょ)が起源。古代では【土篇に塞】(そく)などと呼ばれた。技法には脱活乾漆(脱乾漆)と木心乾漆の2種があり、前者は粘土の原型の上に麻布をいく重にも漆を覆い固めて成形し、乾燥後、中の原型を取り去るもの。後者は心木に布を漆ではり重ねて成形する。」と記載あり。
2.後日調査の追加事項
○『広辞苑』 新村出/編 岩波書店 2018年
p.1705「【【土篇に塞】・塞・即・則】」の項目に、「奈良時代に唐から伝来した漆工技法。中国で夾紵(きょうちょ)といい、いま俗に乾漆という。麦漆(生漆と麦粉とを練り合わせた漆糊)で麻布を張り重ねて素地とし、上塗りを施し仕上げたもの。仏像・器物に応用され、平安初期まで行われた。」と記載あり。
○『漆芸事典』 光芸出版/編 光芸出版 2004年
p.35「前編」「素地のいろいろ 安倍郁二」の項目に、「(前略)唐の文化が奈良時代に導入され、多種多様の素地製作法が生まれた。乾漆(【土篇に塞】・夾紵)・漆皮・籃胎・金胎などがあって、正倉院にその遺品が多く残されている。(後略)」と記載あり。
p.46の「前編」「素地のいろいろ 安倍郁二」の項目に、「朝鮮の楽浪郡趾から発掘された日用漆器の中に乾漆素地(夾紵)のものがあるので、漢時代以前から夾紵の製作が行われていたと思われる。わが国では仏像製作の中にこの技術が見られ、飛鳥時代かなら天平時代にかけて広く作られた。この像は塞像、【土篇に塞】像、あるいは即像、夾紵像ともいわれている。(後略)」と記載あり。
p.236「後編」「漆芸用語集 光芸出版編」「【土篇に塞】(そく)」の項目に、「乾漆の奈良時代における呼称。【土篇に塞】は塞、即、則とも書かれた。唐から伝わった技法で、原型に麦漆で布を貼り重ねて素地とし、型を抜いてから下地、上塗を施して仕上げたものである。仏像製作に盛んに応用された。」と記載あり。
○『漆の文化史』 四柳嘉章/著 岩波書店 2009年
p.54「第二章 漆器が語る古代国家」「夾紵の棺」の項目に、「(前略)とくに古墳時代の終末、七世紀に入って出現する「夾紵」の技法は代表的な漆工技術である。夾ははさむ、紵は麻布のことで、型に沿って生漆や麦漆(小麦粉と漆を混ぜ合わせたもの)を塗った麻布を何枚も貼り重ねてから型を外す。わが国では即(【土篇に塞】)とよばれ、堅牢なことから貴人の棺に使われた。(後略)」と記載あり。
○『漆 1』 四柳嘉章/著 法政大学出版局 2006年
p.137「第八章 古代の漆器生産」「一 古代漆器の生産構造」「古代漆器の製作材料」の項目に、「(前略)布着せは奈良時代には則(【土篇に塞】)とよばれ、貲布(さよみ)、絁(あしぎぬ)、細布などがある。」と記載あり。
○『漆 1』 農山漁村文化協会 2018年
p.45「3章 漆の利用と技法」「素地の選定と木地づくりの技」「さまざまな素地に塗られる漆」の項目に、「(前略)乾漆は、彫刻の分野での名称であった。古くは中国では【土篇に塞】(麻布を漆で貼り合わせて造形するもの)、夾紵(心材を麻布で挟み造形したもの)と呼ばれていた。日本でも平安時代には【土篇に塞】という名称であったが、現在では乾漆と呼ばれている。(後略)」と記載あり。
p.63「3章 漆の利用と技法」「漆工品の装飾技法」「蒔絵とは」「蒔絵の歴史」の項目に、「(前略)漆工品で最も古い資料は、京都仁和寺所蔵の国宝「宝相華迦陵頻伽蒔絵【土篇に塞】冊子箱」(写真6)である。塵居(蓋表の陵線際に小さな段を設けたもの)のある被蓋造で、角丸の柔らかい曲線を持った長方形の箱である。素地は【土篇に塞】と呼ぶ、麻布を何枚も漆で貼り重ねたもので、いわゆる今でいう乾漆技法によりつくられている。(後略)」と記載あり。
○『漆塗りの技法書』 十時啓悦/著 誠文堂新光社 2015年
p.10「第1章 漆の基礎知識」「2 漆の歴史(縄文時代から現代まで)」「正倉院の宝物」の項目に、「(前略)そのほか正倉院蔵書には、「土塗」「【土篇に塞】塗」「花塗」などの用語が記載されています。「土塗」は下地仕事の錆付けのことを指し、「【土篇に塞】塗」は布を貼る仕事(布着せ)で乾漆の意味合いがあります。(後略)」と記載あり。
○『漆とジャパン』 三田村有純/著 里文出版 2005年
p.120~121「第三章 漆の歴史検証」「奈良時代【土篇に塞】」「興福寺阿修羅像」の項目に、「(前略)この脱活乾漆技法は、中国からわが国に伝来した造形技法(中国名、【土篇に塞】または夾紵と呼ばれる)であるが、(後略)」と記載あり。
3.記載のなかった資料
×『漆のお話』 熊野谿從/著 文芸社 2012年
×『漆学』 宮腰哲雄/著 明治大学出版会 2016年
- 事前調査事項
- NDC
-
- 辞典 (813 9版)
- 林産製造 (658 9版)
- 漆工芸 (752 9版)
- 参考資料
-
- B12014448 大辞泉 下巻 松村明/監修 小学館 2012.11 813.1
- B12014445 大辞泉 上巻 松村明/監修 小学館 2012.11 813.1
- B12647785 広辞苑 新村出/編 岩波書店 2018.1 813.1 978-4-00-080131-7
- B10154305 漆芸事典 光芸出版/編 光芸出版 2004.1 752 4-7694-0118-3
- B11636494 漆の文化史 四柳嘉章/著 岩波書店 2009.12 752.2 978-4-00-431223-9
- B11118813 漆 1 四柳嘉章/著 法政大学出版局 2006.2 752.2 4-588-21311-3
- B12672907 漆 1 農山漁村文化協会 2018.3 658.7 978-4-540-17116-1
- B12351812 漆塗りの技法書 十時啓悦/著 誠文堂新光社 2015.8 752 978-4-416-71535-2
- B10251748 漆とジャパン 三田村有純/著 里文出版 2005.7 752.2 4-89806-235-0
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 一般
- 登録番号
- 1000335699