レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年07月22日
- 登録日時
- 2019/08/13 16:52
- 更新日時
- 2020/06/13 11:07
- 管理番号
- 塩尻426
- 質問
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未解決
英語で"BYO"という略語がある。"Bring Your Own (Bottle)"の略で、意味は「レストランにワインを持ち込み可能」だそう。この"BYO"の発祥はオーストラリアやニュージーランドという説があるが、塩尻市内の観光用チラシ「BYOマップ」を作成する関係で、実際はどこの国発祥なのかを知りたい。
- 回答
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「"BYO"は"Bring Your Own (Bottle)"の略で、レストランにワインを持ち込み可能のこと」という言葉の意味は複数の事典・辞書類で確認できた。【資料1】~【資料5】その他
「"BYO"発祥の地」については諸説ある。(1960年代~1970年代あたりに、オーストラリアやニュージーランドでアルコール提供のライセンスを持たない飲食店が「店へワイン持込可」の意味で使うことが定着した説など。背景となる理由は「酒類提供ライセンスの審査が厳格」とか「コスト高」が挙げられている。)
他の説を凌駕するほど明確に詳細まで書かれた信頼性が高い資料は発見できなかった。
現在調べられた限りでは、オーストラリア単独の記述、もしくはオーストラリアとニュージーランド併記の記述があることから、オーストラリアにひとつの起源があるとは言えそうだ。比較的信頼性が高い【資料4】ワイン事典ではオーストラリア説とニュージーランド説を併記している。
ニュージーランドに関しては「発祥の地」かどうかは不明だが、他の欧米諸国に比べると早いうちから広まったようだ。現在"BYO"サービスが定着し、複数の旅行ガイド的なWebサイトで紹介されている。語源、発祥という点ではオーストラリアと併記されることが多く、ニュージーランドのみを発祥の地として挙げる記述が現時点では見当たらず、「確実にオーストラリア発祥説を打ち消す」ほどの資料は見つかっていない。
- 回答プロセス
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・語源について言及している大きな英語辞典にあたった。
・データベース「ジャパンナレッジ」で各種百科事典・辞典類にあたった。
・当館「ワイン」コーナーの資料にあたった。
当館がある塩尻市はワイン醸造が盛んで国内外で受賞するワインを多く輩出していることから、
図書館本館に「ワイン」コーナーを設け、ワイン関連の本・雑誌・灰色資料・パンフレットなどを収集している。
・インターネットでも「BYO」を調べた。
- 事前調査事項
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BYO発祥はオーストラリアかニュージーランドではないか
- NDC
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- 食品工業 (588)
- 英語 (830)
- 参考資料
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【資料1】竹林滋[ほか]編『研究社新英和大辞典 第6版』研究社, 2002.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000003646964-00 , ISBN 4767410266 (「BYO, b.y.o.」(p.353)・・・語源として((豪・NZ))と書かれている。
((豪・NZ)) 酒類持ち込み可のレストラン((酒類販売免許はもっていない)).) -
【資料2】小学館『ランダムハウス英和大辞典』(データベース「ジャパンナレッジ」より (c)Shogakukan Inc.)
「BYO」の項目・・・語源として((豪・NZ))と書かれている (1 持ち寄りパーティー:参加者が飲み物・食べ物を持ち寄って開くパーティー.
2 ((豪・NZ)) 酒類の持ち込みができる無免許のレストラン. (また B.Y.O.)[b(ring) y(our) o(wn)]) -
【資料3】小西友七, 南出, 康世.『ジーニアス英和大辞典 : [並装]』大修館書店, 2001-04.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000074-I000305139-00 , ISBN 4469041319 (「BYO(B), b.y.o.(b.)」(p.322)・・・「酒類持ち込みレストラン」の項に語源として((豪))と書かれている。
[略](米・豪-俗)Bring your own bottle [booze, beer].
1.(招待状で)酒は各自持参のこと[で].
2.(学生などの行なう)飲み代持ちよりのくだけたパーティー
3.((豪))酒類持ち寄り[持ち込み]レストラン<<自前の酒類を持ち込んでよい,酒類販売免許がないレストラン>>) -
【資料4】edited by Jancis Robinson , assistant editor, Julia Harding『The Oxford companion to wine Third edition』Oxford University Press, 2006.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I025117283-00 , ISBN 9780198609902 (「BYO」の項目で、BYOの起源について以下のように述べている。“BYO stands for 'Bring Your Own'(wine) and is a type of restaurant most common in Australia and New Zealand, where the term was coined. The term is associated with maximum wine-drinking pleasure at minimum cost to the restaurant-goer (in tandem with reduced profit to the restaurateur). New Zealanders claim that the BYO name and concept was born in 1976 when the New Zealand authorities, still notably cautious about the distribution of alcoholic drinks, devised the Bring Your Own license for restaurants at which diners would be allowed to take their own wine. Australians in the state of Victoria, also famously restrictive in its legislative attitude to alcoholic drinks, maintain that Melbourne had BYO establishments in the 1960s.”) -
【資料5】 比較的信頼性が高いと思われるWebサイトで、「BYO」起源に多少の言及があったもの (最終確認2019年7月22日)
(■酒造メーカー「サッポロ」
タイトル:お気に入りのワインをお店でも楽しめるBYOとは
URL:https://www.sapporobeer.jp/wine/wine_opener/article/byo/
記述:「自分の好きなワインを飲食店に持ち込むことをBYOといい、これはオーストラリアで独自に生まれた文化です。」
■ワインレビューWebサイト「カーヴ(Cave)」
タイトル:ワインを持参!BYO (Bring Your Own) レストランの楽しみ方|カーヴ(Cave)日本最大級のワインのレビューサイト
URL:https://cavewine.net/contents/4176
記述:「オーストラリアはBYOの発祥の地であり、これは多くのレストランにおいてとても重要なシステムです。
なぜかというと、オーストラリアではお酒を扱うライセンスが厳しく取り締まられており、レストランオーナーはレストラン営業用の免許とは他にアルコールを取り扱う免許の取得も必要で、これには多大な時間とお金を要します。
そんな事からとても人気のあるレストランでも、お酒の取り扱いがビールすら無く、全て客が望むなら自由に好きな飲み物を持ってきて飲めるBYOが当たり前のようにあります。」
■生活総合情報サイト「All About」
タイトル:レストランの便利でオトクなシステム BYOってな〜んだ? [オーストラリア] All About
執筆者:平野 美紀
URL:https://allabout.co.jp/gm/gc/78055/ (p.1)、https://allabout.co.jp/gm/gc/78055/2/ (p.2)
記述:「オーストラリアのレストランでは、アルコール類を扱う(お客にお酒を出す)ライセンスの取得が厳しかったため、いちいちライセンスを取らずとも、客が自分で好きなお酒を持ち込んで、楽しく飲みながら食事ができたらいいじゃないかと考えてこういったシステムができた。(なんと、合理的な!)」
■オーストラリア大手のマーケティング会社Sensisの「Yellow Page」(Sensis is Australia’s leading platforms and marketing services company.)Our traditions stretch back to the creation of the first telephone book in 1880.
タイトル:What is the meaning of BYO and corkage_Yellow Page
URL:https://www.yellowpages.com.au/articles/restaurants/what-is-byo-and-corkage
記述:"First introduced in 1965, the BYO movement really took off in Australia in the 1970s. Many small restaurants were able to open without having to pay thousands of dollars for a liquor license. Dining out suddenly became affordable."
■ワイン通販「エノテカ」Webサイト - ワインの読み物
タイトル:BYOで好きなワインをお店に持ち込んで楽しもう!
URL:https://www.enoteca.co.jp/article/archives/2894/
記述:「BYOは、元々オーストラリア独自のワイン文化でした。アルコール販売の免許取得が難しかった飲食店が、客側に持ち込み許可を出し始めた事が始まりです。」)
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【資料1】竹林滋[ほか]編『研究社新英和大辞典 第6版』研究社, 2002.
- キーワード
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- ワイン
- 持ち込み
- 料飲サービス
- 酒類提供ライセンス
- 酒類販売ライセンス
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- BYO 言葉
- 質問者区分
- 団体
- 登録番号
- 1000260145